宿守
旅を行きしあとの宿守おのおのに私あれや今朝はいまだ来ぬ SWV636
二所参詣は、箱根権現と伊豆山権現をお参りすることだ。鎌倉在住の実朝がこれを試みるならば、ちょっとした小旅行で留守番には確かな者を立てたはずだ。それが宿守である。帰着翌朝、信頼厚い近習が出仕してこないなと詠んでいる。叱責する様子もなく、「おのおの何か事情があるのだろう」と一人で納得する征夷大将軍だ。近習は複数いて誰も来ていないのを寂しがるでもなく、咎めるでもない鷹揚な感じがする。初句と結句の字余りがなんだかほっとさせるものがある。
部下に慕われていたのかもしれぬ。
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