杉社
今造る三輪の祝りの杉社過ぎにしことは言はずともよし SWV652
「過ぎたことはとやかく詮索せんでもいい」程度の意味。上の句は「序詞」だ。第三句の「杉社」が「過ぎにし」を語り起こすきっかけになっているということとまずは理解する。三輪は奈良県の名高い歌枕。「祝り」は「はふり」と訓じて「神官」のことだ。「これから作る杉に囲まれた神社」程度の意味と心得ておけばいい。となるとだ。未来を暗示していると考えられる。下の句側の「過去」と対比させているから、軽率に単なる序詞と踏んでは実朝の狙いを見誤る。「未来を見据えれば、過去のことをいつまでもうだうだ詮索するなよ」というモノローグだ。詞書も歌が作られた詳しい背景には触れていないから、状況はわからぬが、未来志向の歌だ。
PKのことはもはや忘れます。
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