うち忘れ
うち忘れはかなくてのみ過ぐし来ぬあはれと思へ身に積もる年 SWV582
SWV577以降しばらく老いの身を嘆く歌が続く。22歳までの作品とわかっていても引き込まれる迫真の描写だ。積み上げる年齢を擬人化してそれに呼びかける趣向着想が実朝案件にふさわしい。時間がたてば老いるということさえ忘れていたということだ。それだって歳のせいなのだと。例によって現代語で説明を試みたらかなり錯綜するけれど、歌の形に整理されるとすんなり入ってくる。若き実朝がこれを詠むのは単に古典和歌の伝統に従っただけとはいえ、私自身がそうした年齢に差し掛かってきていることもあって、身に染みる。
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