ステレオ
LPのレコードプレイヤーが我が家に来たのは、私が中学2年の頃だった。父が買ったものだ。私ためのものではなくて、一家に一台というノリだった。クラシック音楽に目覚め始めていた私は、指折り数えて待った。ステレオが届く日放課後の補習授業をさぼって帰宅して、後でコテンパンに叱られた。
はじめて買ったLPはベートーヴェンの運命交響曲と、シューベルト未完成交響曲が収録された1200円の廉価版だった。そのときはまだブラームスの存在を知らなかった。そこからしばらく5年間偏差値と適当につきあう生活をし、要領よく立ち回ったが、レコードはじわじわと増えていった。やがて首尾良く大学に潜り込んでオーケストラに所属したこともあって、生活の中にクラッシク音楽が蔓延した。
やがてそのステレオは私専用になった。中学の残りと高校大学の計8年間、文字通り酷使した。その結果こんな大人が出来上がったという訳だ。
コメント