三本柱
ベートーヴェンへの傾倒は交響曲から始まった。それでもずっと3番、5番、6番、9番の標題付きに7番を加えた5曲にとどまった。やがてこれにヴァイオリン協奏曲と皇帝が加わる。ピアノソナタは3大ソナタの次にワルトシュタインやテンペスト、あるいは告別など標題付きを飛び越して、後期に走った。ハンマークラヴィーアのあたりだ。そしてそれらに少々遅れて弦楽四重奏の森に踏み込んだ。
ベートーヴェンの創作の柱を「交響曲」「ピアノソナタ」「弦楽四重奏」とおぼろげながら自覚した。今、ブラームスとバッハに費やす時間と同等の時間をベートーヴェンに注ぎ込んだ。LPの購入、スコアの購入に加え音楽雑誌を含む書籍にも手を出した。断固として言えることは、当時はまだネットがなかったことだ。今では想像もできないことだが、情報収集のボリュームとスピードはどうにもならないくらい心細かった。いわば情報に飢えた状態がずっと続いた。音楽雑誌と解説書が宝物だった。
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