お留守な領域
中学で定期購読を始めた雑誌の指揮者特集をむさぼり読んだ。当時の横綱はベルリンフィルのカラヤンとウイーンフィルのベーム。バーンスタイン、クライバー、ショルティが売り出し中だったか。それよりむしろフルトヴェングラー、トスカニーニ、ワルター、クレンペラー、ミュンシュ、ムラヴィンスキー等々、古い方の紹介がメインであった。父は断固カラヤン推し。中学生の私はうろうろするばかりであった。
誰を聞いても同じに聞こえていたのだ。いいと言われればよく聞こえていたと申していい。はっきりってテンポしかわからん。ステレオかモノラルしかわからぬ。誰で聴いても浮かび上がるベートーヴェン節について議論したいのに、指揮者間の細かな違いに汲々としている感じが少し窮屈だった。情報量としてそちらが圧倒的に多かった記憶がある。
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