ハンマークラヴィーアのエコー
ブラームスのピアノソナタ第一番ハ長調のことだ。ベートーヴェンの29番変ロ長調「ハンマークラヴィーア」と第一楽章の出だしが似ている。
そもそもブラームスは、最初の作品を出版すると決めたとき、手元には完成した作品が複数あった。それらのうちどれを「op1」にするか選択の余地があったということだ。ピアノソナタで申せば現在「op2」になっている嬰ヘ短調の方が先に完成していたとも言われている。クララシューマンの影響色濃く反映する嬰ヘ短調をop2にしたい意向が強く働いて、半ば消去法的にハ長調がop1となった形跡がある。これがヨアヒムに献呈されて1番を背負ったのだが、冒頭はハンマークラヴィーアソナタに似ている。
作品1の出版はどんな伝記でもそこそこ語られる上に、ベートーヴェンとブラームスの関係を云々する際には恰好のネタだ。
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