初カンタービレ
最初に買ったLPに収録されていた悲愴の2楽章に打ちのめされた。「あのベートーヴェンがこんなにきれいな曲を」という衝撃だった。運命交響曲の第2楽章以上の衝撃だ。どちらもハ短調の第1楽章に変イ長調の緩徐楽章が続く。調的枠組みが同じと気づいたのはずっとあとのことだ。
悲愴の第2楽章は今もその輝きを失わない。楽章冒頭には「Adagio cantabile」が鎮座する。生まれて初めてこうした楽語に興味を持った。この旋律を思いついたベートーヴェンが、演奏家に感覚を伝えるために選んだのが「Adagio cantabile」ということだ。「歌うように」という意味にもすぐにたどり着いた。その後50年今もブログ上で付き合っている音楽用語への最初の興味だ。
ベートーヴェンの他の作品にも頻発する「Cantabile」がブラームスでは不気味な空白区を作っていることに気付くのはさらに30年後のことだった。
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