地味に大事なこと
昨日に続いてハンスフォンビューローのお話。ブラームスの親友。大指揮者であり大ピアニストであると同時に音楽評論家。バッハの平均律ピアノ曲集をピアノ音楽の「旧約聖書」とし、ベートーヴェンのソナタを「新約聖書」と称したり、現代まで語り継がれるエピソードには事欠かない。
ブラームスの歴史的位置づけを表す彼のことばがある。ブラームスの第一交響曲を「ベートーヴェンの第十」と呼んだことだ。交響曲史上におけるブラームスの位置づけをベートーヴェンをツールに言い表したと考えられる。
そのビューローは、ブラームスの1番のピアノソナタを「ベートーヴェンの33番」とは呼んでいない。弦楽四重奏も同じくブラームスの1番に「ベートーヴェンの17番」という称号を与えていない。ヴァイオリンソナタやチェロソナタ、あるいは協奏曲も同様だ。
ブラームスにもベートーヴェンにもバッハにも精通し、ピアノ演奏も超一流な上に現代指揮法の確立者であったビューローの歴史観の反映だ。交響曲だけが特異な扱いだとわかる。
噛みしめたい。
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