ワルトシュタインの見せ場
そりゃ昔は、ワルトシュタインの冒頭が印象的だった。8分音符の和音連打。やがては16分音符に推移。所せましと走り回るという風情。旋律ではなくモチーフの堆積でソナタ楽章を組み立て上げるというベートーヴェンに特有の現象と説明されてすんなり納得していた。
ところが、歳のせいか最近、フィナーレが気になっている。第2楽章がほとんどフィナーレの序奏という扱い。走り回る第一楽章とは対照的だ。テンポ指定も「Allegretto moderato」という収まりっぷりだ。きれいな旋律が16分音符の絶え間ない流れによって修飾される。地味に左右の手が交差させて弾かれるのだが、聴いている限りは平明な印象。このロンド主題が都度都度違う伴奏を引き連れて現れる。華麗なスケールがとりわけ印象深い。なんせグールドがこの曲の録音を残していない。私的ランキングの1位はレーゼル。第一楽章に重心をおいて聞いているとグルダなのだが、フィナーレを中心に聴くとレーゼルだ。音がきれい。
15歳のブラームスがどう弾いたのか。
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