三大弦楽四重奏
世の中「三大なんとか」が好きである。ベートーヴェンのピアノソナタがすぐに思い浮かぶ。「月光」「悲愴」「熱情」だ。しからば弦楽四重奏ではどうなっているのか。全16曲から3曲選べばいい。ピアノソナタほどの決定版は今もって流布していない。つまり3曲に絞れないということなのだろう。標題もあるにはあるがロシアの貴族の名前ではとっつき易さには直結しない。
しからばと私が選ぶが、これがまたかなりの難題だ。無理やり下記を絞り出す。ピアノソナタと同じく全部短調だ。
- 4番ハ短調
- 14番嬰ハ短調
- 15番イ短調
相当苦しい。ポピュラリティがまったくついてこない。「月光」「悲愴」「熱情」の盤石感には到底及ばない。
- ハイドン「皇帝」
- シューベルト「死と乙女」
- ドヴォルザーク「アメリカ」
この方がずっと説得力がある。標題の有無ばかりが原因とは思えない。演奏会にしたらこちらの方が絶対にチケットが売れるだろう。大好きなブラームスの3番が割って入る隙もない圧倒的な安定感だ。
ベートーヴェンの弦楽四重奏にはこうした議論を寄せ付けない近寄りがたさがあるような気がする。
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