初6度
高校時代、ベートーヴェンの弦楽四重奏の脳内ランキング不動の1位が第15番イ短調op132だった。
とりわけ「病癒えた者の神への感謝の歌」と題される第3楽章である。冒頭旋律は「C→A」と6度上行で立ち上がる。しみじみだ。途中8分の3拍子の「新しい力を感じつつ」を挟んでまた復帰する際にもこの6度上行が見られる。この手の6度上行はブラームス節の根幹でもあるけれど、当時は全く意識もしていなかった。ただただきれいだなと。こういうベートーヴェンに傾斜する自分がいた。
そりゃあ、第一楽章だって第五楽章だって好きだけれど、この四重奏のヤマは断固第三楽章だと信じる高校生であった。人生初の6度である。
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