春の転調
ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ第5番は「春」という題名がついていることもあってか、割と早い段階で聴いていた。最初はミュージックエコーの付録だったかもしれない。第一楽章冒頭の旋律を聞いて驚いた。「運命」を書いた同じ人の作品かという驚きだ。出だしの旋律が「春」そのものだと感じたものだ。旋律がピアノに弾きつがれた後、ヴァイオリンに現れるアルペジオを聴いてなんとも幸せな気持ちになった。ベートーヴェンってなんでもすごいんだなと。
鑑賞経験が浅く、ソナタ形式もへったくれもなかった時代ではあったが、主旋律が戻るところが聴きどころだと感じてもいた。冒頭旋律がピアノに回帰してルンルンしていたら、ヴァイオリンに引き継がれて2小節目の途中から短調にすり替わった。
いやもう衝撃でしたわ。もっと心地よい旋律を聴いていたいのに、キュンとなった。人生で初めて転調に感動した瞬間だ。
ツボをおさえまくった転調はブラームスのお家芸でもあるけれど、最初はこの「春の転調」で始まった。
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