これぞ中期
大作曲家と呼ばれる人たちは、生涯にわたって作品を生み出しそれらが、現代に至るも聴かれ続けているのが普通だ。作品の完成時期をキーに創作時期が区分されていることも多い。ベートーヴェンがその代表だ。「初期」「中期」「後期」という言い回しをよく耳にする。op55の英雄交響曲がよい目安なる。これ以降が中期とされている。あるいは「傑作の森」とも言われる。初期から中期への作風の飛躍こそがベートーヴェンをベートーヴェンたらしめていると断言しても、ボヤで収まるだろう。第三交響曲と第四交響曲に挟まれたop59に3曲の弦楽四重奏曲があってこれが弦楽四重奏曲の中期を定義していると言われている。
3つの弦楽四重奏は献呈したロシアの貴族にちなんでラズモフスキー四重奏曲と通称される。一番ヘ長調「ラズ1」を高校時代に初めて聞いたときの衝撃は今もって鮮明だ。第一印象は「長い」だ。第一楽章がエロイカ然としている。刻みに乗ってチェロが走るからだ。正直第一楽章だけで満腹だった。
ヘ短調の第二楽章はブラームスの弦楽五重奏第二番の第二楽章の祖先かもしれぬ。
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