皇帝の栄枯盛衰
標題音楽優先の基準に従って、ピアノソナタ、交響曲の次にかじったジャンルはピアノ協奏曲。英雄交響曲と同じ変ホ長調を戴く堂々たる第5番「皇帝」のご利益だ。第一楽章冒頭の管弦楽だけの提示部に先立って華麗なピアノの出番がある。「皇帝」はベートーヴェン本人の預かり知らぬ命名ながら、さすがの説得力だ。がしかし最初に買ったレコードの記憶がない。
やがて脳内リーディング協奏曲の座をヴァイオリン協奏曲に明け渡す。高校時代の終わるころには、第4番ト長調にも抜かれた感じ。それでもまだ第二楽章だけは今でも大好きだ。第一楽章の変ホ長調に対してシャープ5個のロ長調だ。当時は「何たる遠隔調」などとは思わなかった。生まれて初めて見た「調号シャープ5個」だ。訳がわからんまま「なんだかロマンティックだな」と思った。「変ホーロ」という関係は、よくよく見ると「長3度」だと気づいたのはブラームスに目覚めた後のことだ。
長3度下の長調は、第一楽章がハ短調なら、運命交響曲も悲愴ソナタも同じなのだが、これを第一楽章が長調でやらかすととなると、なるほどロマンティックなわけだ。
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