Es muss sein
「そうでなくてはならない」と和訳されて、最後の弦楽四重奏曲第16番のフィナーレ第一主題部に鎮座する。もっというと質問形「Muss es sein」は楽章冒頭にある。つまり自問自答だ。
爛熟を極めた後期弦楽四重奏もこの期に及んで規模だけは縮小するものの、この自問自答があるおかげで難解さだけは温存された印象。だから昔からフィナーレが一番好きだった。あのころは13番、14番、15番にばかり目が行っていたが、どうしてどうして今ではこちらも捨てがたい。
もともと「かくあるべし」感が前面に出るベートーヴェンだから、この断言はたいそう気持ちがいい。いっそのこと「自問自答」というような標題がついていたらもっとポピュラーになっていたかもしれない。
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