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2023年3月 5日 (日)

我が家の一番長い日

先週の日曜日、長女の結婚披露宴が行われた。昨年4月に入籍して新居に移り住んでいたから、ほぼ10か月遅れの挙式披露宴となった。亡き妻、あるいは父のご加護か、一日中好天に恵まれた。

我が家の一番長い日は、車で母と次女を6時半に美容院に送り届けるところから始まった。更新したばかりのマイカーを仕立てて長男と合わせて4人で都内の某ホテルに向かって出発したのが9時。渋滞なしの快適なドライブ50分で地下駐車場に滑り込む。ロビーに待機すること30分、一日我が家族の面倒を見てくれるという係の女性が、優雅に名乗り出てくれた。端正に引き締まった挨拶をされて、さっそくこの後の大雑把な流れの説明に続き、最初の課題はお父様である私の着替えだと知らされた。不慣れなモーニングに着替えねばならぬ。そ、そ、そうだった。私は新婦の父だ。思いのほか簡単に着替えが出来て、親族控室に通された。

親族紹介と写真撮影が11時30分から。互いの親族を新郎新婦が紹介する例のあれである。カメラマン3名。花嫁のドレス整え係と化粧係の2人が片時も新婦から離れない。いったん控室に戻って歓談するも、我が家担当の女子が次なる指示をと忙しい。

12時30分。挙式。エレクトーン、ハープ、チェロの伴奏に4名の女声アンサンブルがBGMを敷き詰める中、新郎が先に挙式会場入りしてワンテンポ置いて母のベールダウン。新婦側の親族の涙腺決壊。一部が新郎側にも伝播した。2歳1ケ月で母を亡くした長女のベールダウンに祖母が間に合った。今年88の祖母が、杖も車椅子も使わずに、凛としてベールダウンに臨む光景は、間違いなく本日前半のクライマックス。背伸びして背伸びしてベールダウンする祖母を気遣って、頭をできるだけ低くする長女、一旦下りたベールのしわをさりげなく整える祖母にまだ涙はない。続くヴァージンロードウォークは、緊張した。スピーチなら15分だろうと1時間だろうと全く緊張しない私だが、このウォークはがちがちに緊張した。ほぼ一日中カメラマンに徹していた長男が後から「三苫の1ミリ」ならぬ「父の15m」と命名したが、インパクトとしては祖母のベールダウンにはかなわぬ。

そりゃあ今どきの披露宴だ。プロの司会者の手慣れた進行。媒酌人なしはもちろん、職場の上司もいない。親戚と仲間が抽出された宴席。新郎新婦作成のウエルカム映像に、キレッキレの音楽で開宴。乾杯の発声はあったものの、友人代表のスピーチが1名分。出席できない仲間のビデオメッセージが続く。入れ代わり立ち代わり出席者が新郎新婦に近づいては声がけと撮影。笑顔笑顔笑顔。

新婦お色直し退場をエスコートするのは次女。次女の簡単なスピーチ。この時祖母も加わった3名で写真撮影。祖母はもう号泣である。

お色直しで二人とも離籍した後、二人の生い立ちを紹介する映像が流れた。そういえば長女が我が家のアルバムから熱心に材料となる写真を探していた。亡き妻や母も一部写っているのを見てまた泣き出す祖母。

お色直し後のドレスはワインレッド。同色のお花を手に、全テーブルを回る。母の号泣はまだ続く。

さて、食べて飲んで笑ってが120分を過ぎたころ、新郎新婦の両親がスクリーン前に立つ。我が家はもちろん私と祖母だ。音楽と明かりが消えた。我々と新婦だけに明かりが注がれる中、結びのプログラムが始まった。コミカルにテンポよく進行していた司会者は声のトーンを厳粛なものに変えて「新婦がご家族への感謝の手紙を朗読します」と切り出す。淡々とした長女の朗読が始まった。私、祖母、兄、妹の順に気持ちを伝えるという形式。とりわけ深いのは祖母へのトーク。「幼いころ母をなくした私には母の記憶がありません。もし母が存命だったらと考えたこともありましたが、おばあちゃんの手塩にかけられてここまでこれたからこそ、彼とめぐりあうことができた。だから今幸せです」と静かにしかし決然と断言した。祖母は両手で顔を覆っている。笑いよりによっていた席の雰囲気が新婦のこの朗読で厳粛なものに昇華した。朗読とはいえ、そのテンポ、音の張り、抑揚のバランスは見上げたものだった。「自ら泣いてお涙頂戴にしたくない」という強烈な意思に支えられたスピーチ。親バカの誹りはいかようにも受ける覚悟で申し上げている。続く新郎のスピーチは原稿なしだった。列席者へのお礼に続いて何を言い出すかと思えば、当日一日進行の裏方に徹してくれたホテルスタッフへの感謝を口にした。このとき壁際に控えるホテルスタッフの面々が同時に頭を垂れたのは感動的だった。事前に打ち合わせや練習でもしたのかと思うほど、角度タイミングのそろったお辞儀だった。家族への感謝は新婦の手紙朗読に任せ、新郎は周囲への感謝に的を絞っていた。見事な業務分担だ。

お開き。当日夜は我々家族4人は会場となったホテルに宿泊した。新郎新婦が仲間との2次会で盛り上がっているはずの、お開きから3時間後、ホテルのラウンジで我が家だけの2次会。たった今終わった披露宴の、いや一日の余韻に浸る話に花が咲いた。

我が家の一番長い日。

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