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2023年6月30日 (金)

カール・ズスケ

流れの中で言っておかないといけない。そりゃあシェリングに脳内補正がかかる私だが、昨今の常用USB作成の過程でコレクションの再点検を試みた中からの掘り出し物だ。ベートーヴェンのヴァイオリンソナタのお気に入りを掘り出した。カールズスケだ。スプリングソナタを何気なく聴いてていてスマホをいじる手が止まった。第一楽章が流れるではないか。

東ドイツで長く活躍したヴァイオリニスト。ライプチヒゲヴァントハウスのコンマス。シェリングとそん色ないかもとうなった。残念なことに10曲すべてがそろわぬが、よいではないか。

2023年6月29日 (木)

ポーランドコネクション

ベートーヴェンのヴァイオリンソナタにもまたお気に入りがあった。またまたヘンリク・シェリングだ。ブラームスのソナタだとルービンシュタインのピアノとセットで鉄板を構築する。ベートーヴェンでもこのコンビと申し上げたいところだが、もう一つうれしい選択肢がある。ピアノをイングリッド・ヘブラーに差し替えた録音。録音の状態としてもこちらが好み。

ヘブラーさんはモーツアルトのスペシャリストとして評価が高い。シェリングとのモーツアルトのヴァイオリンソナタも極上だけれど、ベートーヴェンも余裕でいける。とくにスプリングソナタ第一楽章の可憐なアルペジオは真骨頂だろう。

シェリングとヘブラー。どちらもポーランド出身だ。  

2023年6月28日 (水)

毎度毎度の食わず嫌い

ベートーヴェンに傾倒したと申しても、資金不足もあって深度は限定的だった。ヴァイオリンソナタでいえば、「スプリング」と「クロイツェル」だけを細々という状態がずっと続いていた。マイカー更新に端を発した常用USB作成の過程で、コレクション中のCDを一通り聞いてみると、5番、9番以外にも良い曲があるではないかと気づいた。聞かず嫌いはいけないとつくづくだ。

そしてそして同時に、愛するブラームスの3曲のヴァイオリンソナタが、いかにすごいか思い知った。

2023年6月27日 (火)

ヴァイオリンソナタの13人

ベートーヴェンとブラームスの交響は合わせて13になる。4+9である。実はヴァイオリンソナタも足して13という偶然を発見して驚喜した。10+3だ。ブラームスの1番を「ベートーヴェンの第10」だ評したビューローは、ブラームスのヴァイオリンソナタ第1番をベートーヴェンの「11番だ」とは言っていない。交響曲では誉め言葉だというニュアンスもあるが、ヴァイオリンソナタでは誉め言葉とは受け取られまい。

交響曲と同じく、13曲を我が家所有のCDから13名のヴァイオリニストを当てはめてみた。ピアニストも添えておく。

  1. フランチェスカッティ/カザドゥシュ
  2. ボスコフスキー/クラウス
  3. ズスケ/オルベルツ
  4. オイストラフ/オボーリン
  5. シェリング/ヘブラー
  6. シュナイダーハン/ゼーマン
  7. グリュミョー/ハスキル
  8. スーク/パネンカ
  9. ハイフェッツ/ベイ
  10. ゴールドベルク/クラウス
  11. ヘッツェル/ドイチュ
  12. デュメイ/ピリス
  13. ヌヴー/ヌヴー

以下ポイント。

  • 11はブラームスの1番、12はブラームスの2番、13はブラームスの3番。
  • なんとも古色蒼然としている。みんな私より年上で、存命者はたったの1人。
  • スプリングソナタはシェリング/ヘブラーでなければならぬ。
  • ピアノ側と合わせると女子が6人いるのは指揮者ではあり得ぬ。
  • ヘブラー、クラウス、ハスキル、ピリスというとなんだかモーツアルトっぽい。
  • ベートーヴェンは我が家のコレクションの層が薄くて選ぶ楽しみは低い。

 

 

 

 

2023年6月26日 (月)

優勝旗授与のための変奏曲

ベートーヴェンがチェロとピアノのために遺した変奏曲の題材はモーツアルトだけではなかった。

何気なく聴いていてピクッと耳が反応する。どこかで聴いた旋律。運動会の優勝旗授与のときのBGMだ。ヘンデル「マカベウスのユダ」から「勝利をたたえる歌」の主題による変奏曲。作品番号はついていない。

耳になじみの旋律を手際よく変奏処理した作品にはかなりな需要があったと思われる。チェロに超絶技巧が要求されているように聞こえないのはチェリストが達者なせいかもしれぬ。

2023年6月25日 (日)

チェロソナタの余白

ベートーヴェンの残したチェロソナタは5曲。さすがの私もこれはシェリングというわけにはまいらぬ。ブラームスのピアノトリオでシェリングさんにチェロで付き合うフルニエを聞く。伴奏がグルダというのもポイントの一つ。CD1枚では収まらぬが、2枚だと広大な余白が出るという中途半端な長さの5曲であるからと、あらかじめベートーヴェンがチェロとピアノのための変奏曲を遺してくれたかのよう。題材をモーツアルトのオペラ「魔笛」にとった2曲。聴いていてとても楽しい。最近はソナタよりむしろこっち。

それにしてもチェロソナタだ。ベートーヴェンの5曲にブラームスを足しても13にはとても届かない。そのブラームスの2曲はつくづくすごい。炎上覚悟で申すが、あわよくばボヤで止まるかとも期待する。

ヴァイオリンソナタとチェロソナタ。どちらもブラームスに軍配だ。行司差し違いのご指摘は広く受付中である。

 

 

2023年6月24日 (土)

フルニエ

1906年生まれのフランスのチェリスト。

ヴァイオリンのシェリング、ピアノのケンプと組んだベートーヴェンの三重奏は、長く長く私の愛聴盤だった。ピアノのケンプをルービンシュタインに代えてブラームスのピアノ三重奏もマイスタンダードの一番手になっている。チェロの高音域が優しいのが気に入っている。ベートーヴェンのチェロソナタになると、お相手がグルダに代わるけれど色褪せない。これがブラームスのソナタになるとピアノがバックハウスになるという華麗さだ。

本日6月24日は彼のお誕生日である。

2023年6月23日 (金)

無理矢理13曲

ベートーヴェンの大公トリオが第7番になっている。4番「街の歌」はヴァイオリンをクラリネットに差し替えた編成だというのに通し番号とされている。街の歌の編成をよく見るとブラームスのクラリネット三重奏曲と同じだ。となるとむくむくといたずら心が湧いてくる。

  1. 変ホ長調
  2. ト長調
  3. ハ短調
  4. 変ロ長調「街の歌」
  5. ニ長調「幽霊」
  6. 変ホ長調
  7. 変ロ長調「大公」
  8. ロ長調
  9. 変ホ長調「ホルントリオ」
  10. ハ長調
  11. ハ短調
  12. イ短調「クラリネットトリオ」
  13. イ長調

ベートーヴェンにクラリネット三重奏が混入してるなら、ブラームスのピアノ三重奏曲3曲、それからクラリネット三重奏とホルン三重奏を加えてしまえとばかりに足してみた。8番ロ長調以下がブラームスだ。最後のイ長調は1938年になって発見された代物。マッコークルでは偽作扱いされているが、この際加わってもらうことで、めでたく13曲になる。

2023年6月22日 (木)

大公トリオ

ベートーヴェンのいや、世の中のピアノ三重奏曲の代名詞たる位置づけと申しておいた方が公平なのだろう。

最初に買ったレコードはケンプ、シェリング、フルニエというメンツ。当時はこれがどれほどすごいかわからないまま、長く愛聴盤だった。これしか持っていないのだから仕方がない。とりあえずシェリングというノリだった。

一応7番という番号が付与されてはいるが、編成が違う「街の歌」を4番にカウントしての7番目という異例の扱い。当時は大公以外聴きもしなかったからさして気にもしていなかった。

2023年6月21日 (水)

ベートーヴェンの作品1

変ホ長調、ト長調、ハ短調の3つのピアノ三重奏曲によって記念すべき「作品1」が構成されている。1795年の出版だ。ベートーヴェンに傾倒した私は、大学ノートに作品番号順に全作品を書き出した。作品1を身が引き締まる思いで書き記したものだ。大学1年の春だったと思う。有名無名混在のそうした表が私が作曲家に根を詰めてアプローチする際には欠かせない。いつしかそれは手書きからエクエルに代わってゆくが、ノリとしては同じだ。写経に近い。

同3曲の初演にはハイドンが同席していた。3番に苦言を呈して、出版に難色を示したとされている。細かな事情はさておき、ハイドンにしたら愛ある忠告に決まっているのだが、ベートーヴェンの伝記で言及されると、ニュアンスが偏る。ましてや血気盛んな中学生読者だった私は、ハイドンのこうしたアプローチは、ベートーヴェンの出世の妨げにも見えた。

でも3番ハ短調の何が気に入らぬのか、今となっては同意しかねる。

2023年6月20日 (火)

交響曲は女性

「交響曲」は女性名詞だ。そのことを鮮やかに裏付けるエピソードがあった。

1886年1月17日は交響曲第4番のウィーン初演だった。これに言及したハンスリックの演奏評の中に、興味深い言い回しを発見した。1883年12月2日にウィーンで世界初演された第3交響曲と比較する文脈の中で、交響曲第4番を、第3番の妹と表現している。

交響曲を表す「Symphonie」が女性名詞であることを踏まえた表現だと思われる。

 

 

2023年6月19日 (月)

名詞の性別

名詞の性別はドイツ語の学習においてはある種の鬼門を形作っている。英語では意識することもない概念だった。フランス語にも男性名詞、女性名詞が存在するが、ドイツ語ではさらに中性名詞が加わる。「太陽」のようにフランス語とドイツ語で性別が逆転することさえある。外国人にとって厄介なだけの性別をドイツの人たちはとても大切にしているという。昨今の日本語同様に言葉の乱れも指摘される中、名詞の性別だけは頑なに使い分けられているらしい。

クラシック音楽で使われる楽器の性別を調べた。結論から申せば圧倒的に女性優位だ。

<男性名詞>

  • コントラファゴット
  • コントラバス

<中性名詞>

  • ピアノ
  • ファゴット
  • ホルン
  • チェロ

上記以外は全部女性名詞と思ってよい。ティンパニ、トランペット、トロンボーン、チューバも女性なのだ。金管楽器の中でホルンだけが中性、木管楽器の中でファゴットだけが中性なのだ。ハープやヴァイオリンが女性名詞だというのは感覚的にOKなのだが、意外な割り当てが多くて面食らう。

ちなみにシンフォニーもソナタもオーケストラも女性名詞なのにコンチェルトが中性だというからますます判らなくなる。

何故と聞いてはいけないらしい。ドイツでは名詞が3つに分類されている。シンプルに「1群2群3群」と考えるべきだという。「女性男性中性」と考えると「何故」と訊きたくなるからだそうだ。ライン川やマイン川は男性で、エルベ川やオーデル川は女性だという。おそらくドイツの人々でも説明不能ではあるまいか。

男性楽器だけを集めた室内楽があったりしたら面白いと思うのは外国人だけで、ドイツの人々は息をするように自然に当たり前に使い分けているのだろう。もちろんブラームスもだ。

2023年6月18日 (日)

性別の決定

ドイツ語の名詞の性について素朴な疑問がある。

外来語の名詞が新たにドイツ語に定着した際、名詞の性別はどのように決定されるのだろうか。元々名詞に性別がある言語から導入された場合、元言語における性別にしてしまうというのが考えられる。厄介なのは元々名詞の性別が無い言語から採用された場合だ。

日本語はどうだろう。外来語の導入が盛んだ。元の単語の発音やスペルを元にカタカナの綴りがあてがわれるだけだ。言語の構造として格や数量による語尾変化が無いのは好都合に思える。格の変化は名詞そのものではなく、後ろに添えられる助詞が表現するのだ。助詞「てをには」の難しさは別として、外来語の導入だけなら容易だと感じる。

 

 

2023年6月17日 (土)

混戦の調

記事「パズルセイバー」で、調性取り揃え系のパズルにおける鬼門の調を3つ挙げた。空白になってパズルが破綻するリスクだ。一方、特定の調に著名な曲が集中する傾向もある。1つに絞る苦しみを味わることになる。以下その一例だ。

  1. ハ長調 ジュピターとグレート
  2. ハ短調 たしか幻想。運命とブラ1もだ。サンサーンス3番。
  3. ニ長調 シベリウス2番、時計、巨人、ハフナー。そうそうブラ2も。
  4. ニ短調 第九と革命。宗教改革。
  5. 変ホ長調 エロイカ。ロマンティック、ライン、モーツアルト39。
  6. ホ短調 新世界、チャイコ5番、ブラ4、ハイドンの44
  7. ヘ長調 田園、ブラ3
  8. ト長調 ドボ8と軍隊。
  9. イ長調 イタリアとベト7。
  10. ロ短調 悲愴と未完成。

バッハがインヴェンションで採用した調とほぼ一致。つまり調の常用域。

2023年6月16日 (金)

パズルセイバー

昨日の記事「平均律交響曲集」の余韻。この手の「調性取り揃え系パズル」において鬼門なのが以下の3種の音。

  1. 嬰ハ=変二
  2. 嬰へ=変ト
  3. 嬰ト=変イ

これらを主音にすると長調でも短調でも作品数が少ない。今回マーラーの5番で嬰ハ、ハイドンの45番で嬰へ、エルガーの1番で変イがそれぞれ存在したおかげで、パズルが完成した。これらはパズルセイバーというわけだ。これらの調は難易度が高いということだ。調号としてのシャープやフラットがてんこ盛りされる。長調を前提にすると嬰ハはシャープ7個、嬰へだって6個必要だが、短調に挿げ替えるとそれぞれ4個と3個で済む。

一方嬰トは長調だとシャープ8個だ。6個と1個のダブルシャープにでもするんかいな。これは異名同音で変イとすることでフラット4個で収まる。

ピアノソナタや弦楽四重奏でやるにしても相当むずかしい。ヴァイオリン協奏曲だと絶望だ。

2023年6月15日 (木)

平均率交響曲集

パズル交響曲の13人 」が意外と楽しめたので、またパズル系のノリで。

本日はオクターブを構成する12の音全ての音について、それを主音にする交響曲を1つずつ選ぶことにする。第一楽章の調性をキーにすることに他ならない。ただし同じ作曲家を複数回採用しない。長調と短調を6種ずつ揃える。説明するより結果を見ていただく方が速かろうということで選定の結果を以下に列挙する。

  1. ハ長調  シューベルト第8番「グレート」
  2. 嬰ハ短調 マーラー第5番
  3. ニ短調  ショスタコービッチ第5番「革命」
  4. 変ホ長調 ブルックナー第4番「ロマンティック」
  5. ホ短調  ドヴォルザーク第9番「新世界より」
  6. ヘ長調  ベートーヴェン第6番「田園」
  7. 嬰ヘ短調 ハイドン第45番「告別」
  8. ト短調  モーツアルト第40番
  9. 変イ長調 エルガー第1番
  10. イ長調  メンデルスゾーン第4番「イタリア」
  11. 変ロ長調 シューマン第1番
  12. ロ短調  チャイコフスキー第6番「悲愴」

以上。

長短どちらも6種。作曲家に重複がない。バッハさんは平均律クラヴィーア曲集で12音全てで長短取り揃えたけれど、交響曲では難易度が半端なく高いので断念。最年長はハイドン先生。最年少はショスタコーヴィッチ。結果として交響曲の歴史をトレースしているような錯覚に陥った。サンサーンス、ベルリオーズ、ボロディン、シベリウス、プロコフィエフ、リヒャルト・シュトラウスなどの名前は見えぬものの無難な着地だ。

そうそう、ブラームスがいない。この12名にブラームスを足して13に仕立てようという巧妙な意図である。

2023年6月14日 (水)

13にこだわる

ブラームスとベートーヴェンの交響曲を足すと13になるといってはしゃいだ。「4+9」である。ハイドンやモーツアルトあるいはショスタコーヴィッチのような多作家では成立しないが、単に合計が13になるというだけなら、他にも思いつく。

  1. シューマンとドヴォルザーク 4+9
  2. メンデルスゾーンとシューベルト 5+8
  3. チャイコフスキーとシベリウス 6+7

マーラーでいえば、「大地の歌」の未発番や10番など未完作品の扱いが悩ましいけれど、固いことを言わずにパズルと割り切れば、人それぞれの13曲が楽しめる。

が、が、しかし、ベートーヴェンとブラームスは私の保守本流だ。

2023年6月13日 (火)

バルビローリ

パズル交響曲の13人 」で取り上げた指揮者に順に言及してきた。今日の13番つまりブラームスの4番でラストだ。これもまた初めて買ったレコードの演奏だ。バルビローリ指揮ウィーンフィルだ。

いろいろ聞き比べが可能になった今も、やはりこれ。クライバーという強敵が現れはしたが、まだまだ魅力を失わない。

6月1日のシャイーに始まって本日が13日。つまり「パズル交響曲の13人」の通し番号の通りに1番は1日、2番は2日、以下同文で13番ブラームスの4番が13日という毎度毎度の小細工である。

2023年6月12日 (月)

ザンデルリンク

今日もまた刷り込みの話。大学の近所の小さな小さなレコードショップ。ブラームスの第3交響曲のレコードを求めようと立ち寄った。第三楽章目当ての買い物。そこで買い求めたのはザンデルリンク指揮ドレスデンシュターツカペレの演奏だった。同曲異演のレコードを買う余裕もなく、長く愛聴盤になっていった。

今もこれで十分。よって「パズル交響曲の13人 」でも堂々の選出。

 

 

2023年6月11日 (日)

チェリビダッケ

パズル交響曲の13人 」で11番ことブラームスの2番を誰にするかは軽い難問だった。ベーム・ウイーンフィルが早々に圏外に去ったせいもある。チェリビダッケをどこかでなんとか取り上げたく思っていたのでブラ2をお任せすることにした次第。

彼にはまったのは社会人になってからだ。残された録音はけして多くないけれどいい感じ。第1楽章の結尾前の「in tempo ma piu tranquilo」が決定打となった。遅目のテンポでも退屈しないのはよいことかなと。

2023年6月10日 (土)

ミュンシュ

つくづく刷り込みは恐ろしい。「パズル交響曲の13人 」で10番つまりブラームスの1番は半ば自動的に決まっていた。シャルルミュンシュ指揮パリ管弦楽団である。この人一応フランス人ということなのだが、古来ドイツとの間で領有権が行き来していたアルザスの出身だから、ドイツ語の話者だ。

私のコレクションでいうなら、今までの9人はクライバーとフリッチャイ以外の6人みな、ベートーヴェンとブラームスの交響曲全集を持っている。ところがこのミュンシュはブラームスの1番しかない。13曲中たった1曲が選定されてしまうということだ。

大学時代にブラームスに目覚めたころ聴きまくった記憶には勝てない。

2023年6月 9日 (金)

フリッチャイ

パズル交響曲の13人 」の選定を決めた瞬間に、「第九」はフリッチャイと決めていた。申し訳ないがそれは、フィナーレのバリトン独唱がディートリヒ・フィッシャーーディースカウだからである。しかしだフリチャイがベルリンフィルを振ったその演奏はただ者ではない。

莫大な量の録音を残したフィッシャー-ディースカウ先生ではあるのだが、第九はフリッチャイ盤だけだ。世に出るアシストをしてもらった恩義かもしれぬ。彼の膨大なレパートリーからしたら間違えても本流とは言えないながら、他のバリトンたちを圧倒する歌唱。何度聴いてもすぐ彼とわかる。

それにしてもフリチャイだ。セル、ショルティに続きまたハンガリーだ。多くは米国のオケを振って名を成したが、この人が振っているのは、ベルリンフィルだ。若くしてこの世を去ったせいか、ベートーヴェンは3,5,6,7,9番だけしか残っていない。彼がベルリンフィルを振っているために、パズル的にカラヤンも、ラトルも、クリュイタンスもフルトヴェングラーも圏外に追いやることになる。

フリッチャイとディースカウ先生のコラボなら致し方あるまいと自分に言い聞かせている。

2023年6月 8日 (木)

ケンペ

そもそもベートーヴェンの8番にはよい記憶がない。ひよっこのヴィオラ弾きには取っ付きにくい。相当難しい。フィナーレがさっぱり形にならん。ベートーヴェンの落ち度ではないが、実は聴くのも避けていた。今回の「パズル交響曲の13人 」のために聴きまくった。

最後に残った椅子で、まだ取り上げていない指揮者とオケの中からという消去法でたどりついたのがルドルフ・ケンペだ。恥ずかしながら、昔はピアニストのウィルヘルム・ケンプと区別がついていなかった。指揮者でピアニストは珍しくないせいもある。

無理やり選んだ割にはよい。なだらか、すこやか、しなやか。8番たるものこのくらいがちょうどいいなどと自己満足している。

2023年6月 7日 (水)

父子鷹

/パズル交響曲の13人 」で7番はカルロス・クライバー。現在脳内首席指揮者の座に君臨中だ。

初めて聞いたのは社会人になってからかと。ブラームスの4番、ベートーヴェンの5番7番がウィーンフィルだ。遅れて画像を見た。ベートーヴェンの4番と7番をアムステルダムコンセルトヘボウを振った。やがてニューイヤーコンサートで決定的となり、それからあれこれ集めた。

きっかけは勘違いだった。「フィガロ」もあるんかいとばかりに買い求めたが、これはカルロスの父エーリヒの演奏だった。そう彼らは二代にわたる大指揮者だということであると遅ればせに気付いた。ご尊父の演奏は録音こそ古いものの、聴きごたえというか説得力はかなりな感じ。

オケはウイーンフィルではなく、バイエルン国立だ。バルビローリのブラームスがウイーンフィルなせいだ。とはいえカルロスクライバーの演奏が全13曲の中央、扇のかなめに鎮座する端正な結果に満足している。

2023年6月 6日 (火)

ワルター

企画「パズル交響曲の13人 」で選出した指揮者の中では1876年生まれのブルーノ・ワルターは最年長。この人のステレオ録音が残っていることは、すごいことだと思う。大学時代に仲間と多くを語らったころ、ワルター好きがいて、何度も聴かされて刷り込まれた。「なんか落ち着く」とでもいうのだろうか。

13番ブラームスの4番にウィーンフィルのバルビローリを採用したとばっちりでベームが圏外に去り、田園交響曲の選定がとん挫するところだが、ワルターがいた。フィナーレのほのぼのっぷりがツボを押さえきっている。

 

2023年6月 5日 (月)

ヴァント

クラシック音楽とりわけベートーヴェンに目覚めた。第5番「運命」は最初のレコードではあったが、今となっては演奏家を思い出せない。今回「パズル交響曲の13人 」選定にあたって、改めてじっくり聴き比べた。「オケ重複なし」「指揮者重複なし」という制約の範囲でお気に入りをそろえるというチャレンジは悩ましくも楽しい作業だった。

5番に選出したのはギュンター・ヴァント。大満足。楽章毎の演奏時間のバランスがクライバーに近い。13曲中唯一ハンブルクのオケだというのも地味に貴重。

2023年6月 4日 (日)

クーベリック

チェコの指揮者。いやはやすごいのは彼のベートーヴェンの交響曲全集だ。下記の通り9曲すべてオケが違う。

  • 1番 ロンドン交響楽団
  • 2番 アムステルダムコンセルトヘボウ管弦楽団
  • 3番 ベルリンフィルハーモニー管弦楽団
  • 4番 イスラエルフィルハーモニー管弦楽団
  • 5番 ボストン交響楽団
  • 6番 パリ管弦楽団
  • 7番 ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
  • 8番 クリーヴランド管弦楽団
  • 9番 バイエルン放送交響楽団

彼はチェコ出身なのにチェコのオケがない。共産主義化を嫌って西側に亡命するなど多難な事情によるものと思われる。ブラームスの交響曲では4種類のオケを率いてはいないのが残念。

「パズル交響曲の13人」では4番で選出。イスラエルフィルの弦楽器が美しい気がするという理由だ。

2023年6月 3日 (土)

ショルティ

20歳成人に達した私に、父はベートーヴェンの交響曲全集のレコードを買ってくれた。ショルティ指揮シカゴ交響楽団だ。英雄交響曲の最初のレコードではなかったが、もっともたくさん聴いた演奏だ。だから「パズル交響曲の13人 」ではかなり順当に「3番はショルティ」と決まった。

彼がシカゴ交響楽団とセットなおかげで、フリッツ・ライナー指揮シカゴ交響楽団の第九は、人生初の第九ながら落選となった。

ショルティをはずせない理由はもう一つ。ハネムーンで訪れたウィーンで彼らのマーラーの5番を生で聴いたからだ。そのライブ録音がCDで出ている。エンディングの拍手には私も参加していることになる。

 

2023年6月 2日 (金)

ジョージセル

セルは「Szell」と綴る。音楽に親しみ始めたころ、不思議に思った。英米独伊の名前だとなんとくスぺリングが想像できるのだが、ハンガリーやチェコは慣れも必要だ。ハンガリー出身の指揮者が活躍の場を米国に求めるというのはよくある。セルもその一人。「セル」「クリーヴランド管弦楽団」は半ばセットだ。その組み合わせでベートーヴェン9曲ブラームス4曲がしっかりコレクションになっている。

先の「パズル交響曲の13人 」ではベートーヴェンの2番での選出。決定打となったのは第1楽章主部が流れること。序奏が終わって第一主題が走り出す際の解放感がポイント。

2023年6月 1日 (木)

リカルド・シャイー

昨日の記事「パズル交響曲の13人 」で、ベートーヴェンとブラームスの交響曲全13曲について、「我が家所有のCD」「指揮者重複なし」「オケ重複無し」をルールに13曲を13の指揮者、オケで選定した。

リカルド・シャイーはライプチヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団を率いてベートーヴェンの1番での選定。私のコレクションでは最年少。1953年生まれだから私より7歳年長で最年少。職場では若い人に囲まれながらの仕事は大好きなのだが、演奏家はそうはいかない。困ったものだ。

ベートーヴェンとはいえ初期なんで、重たいテンポは合わない。シャイーはすっきりと流れる。

一方彼のブラームス交響曲全集は芸が細かい。全3枚組で4つの交響曲は2枚目までに収まってしまっているのに、わざわざ3枚目が追加された形だ。「ハイドンヴァリエーション」「大学祝典序曲」「悲劇的序曲」が加わるのはメジャーな話なのでさしたる驚きはないものの、さらに以下が添えられる。

  1. 第4交響曲第一楽章の別バージョン
  2. インテルメッツォop116-4の管弦楽版
  3. インテルメッツォop117-1の管弦楽版
  4. 愛の歌op52管弦楽版
  5. 第1交響曲第二楽章の初稿
  6. ハンガリア舞曲1番
  7. ハンガリア舞曲3番
  8. ハンガリア舞曲10番

以上。2,3はブラームス自身の編曲ではない。4は「木管五重奏+弦楽合奏版」だ。この3曲の音源は我が家でこれだけだ。

ハンガリア舞曲からこの3曲を選んでいるのは、これらだけがブラームス自身の編曲だからに違いない。

ブラームスやベートーヴェンの研究成果が盛り込まれているとでも申すべきか。

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