名詞の性別
名詞の性別はドイツ語の学習においてはある種の鬼門を形作っている。英語では意識することもない概念だった。フランス語にも男性名詞、女性名詞が存在するが、ドイツ語ではさらに中性名詞が加わる。「太陽」のようにフランス語とドイツ語で性別が逆転することさえある。外国人にとって厄介なだけの性別をドイツの人たちはとても大切にしているという。昨今の日本語同様に言葉の乱れも指摘される中、名詞の性別だけは頑なに使い分けられているらしい。
クラシック音楽で使われる楽器の性別を調べた。結論から申せば圧倒的に女性優位だ。
<男性名詞>
- コントラファゴット
- コントラバス
<中性名詞>
- ピアノ
- ファゴット
- ホルン
- チェロ
上記以外は全部女性名詞と思ってよい。ティンパニ、トランペット、トロンボーン、チューバも女性なのだ。金管楽器の中でホルンだけが中性、木管楽器の中でファゴットだけが中性なのだ。ハープやヴァイオリンが女性名詞だというのは感覚的にOKなのだが、意外な割り当てが多くて面食らう。
ちなみにシンフォニーもソナタもオーケストラも女性名詞なのにコンチェルトが中性だというからますます判らなくなる。
何故と聞いてはいけないらしい。ドイツでは名詞が3つに分類されている。シンプルに「1群2群3群」と考えるべきだという。「女性男性中性」と考えると「何故」と訊きたくなるからだそうだ。ライン川やマイン川は男性で、エルベ川やオーデル川は女性だという。おそらくドイツの人々でも説明不能ではあるまいか。
男性楽器だけを集めた室内楽があったりしたら面白いと思うのは外国人だけで、ドイツの人々は息をするように自然に当たり前に使い分けているのだろう。もちろんブラームスもだ。
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