グールドはゴールド
昨日の記事「映像事始め」で、懐かしい映像ソフトを列挙した。本日はそれとは別に、最近入手したDVDの話。大好きなピアニスト、グレン・グールドの演奏。バッハ作曲のゴールドベルク変奏曲のスタジオ録音。グールドさんが没する前年の収録だという。
いやもう驚いた。やっぱりというか案の定というか暗譜。噂には聞いていたが演奏時の姿勢が目の前に蘇る。極端な前傾姿勢。ハミングも聞こえる。変奏曲の各々のキャラに寄り添った体の動き。
冒頭名高いアリアの主題はニュアンス1個の出し入れにこだわって丹念に言い聞かせるかのよう。主題提示が終わって第1変奏に移るときの気分の入れ替えが鮮やか。第8変奏のフゲッタ。冒頭左手独奏の間、右手は指揮をしているアクション。主題が次々に呼応するフーガ感が、いともたやすく実現している。ラスト第30変奏の大好きな大好きな「クオドリベート」の説得力たるや、筆舌に余る。そこを聞かされたあと、冒頭アリアへの回帰には涙腺が緩む。全曲を終えてがっくりとうなだれるような姿勢まで鑑賞の対象だ。
全部見せ場。何度見ても飽きない。
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