帰属意識
自分はどこの国に属しているかという意識。私は当然日本だ。読者の多くは日本だろう。
ドイツ3大Bの一人と位置づけられているブラームスの帰属意識は「ドイツ」かというのが本日の疑問だ。
ドイツという国が成立したのは1870年から始まった普仏戦争によるところが多い。プロイセンの勝因はいろいろ言われている。普墺戦争勝利後、対仏戦争必至と見て周到に準備したビスマルクの作戦勝ちという評価が一般的だろう。フランス皇帝を捕虜にするという大戦果がこれを象徴している。
1833年ブラームスが生まれた頃まだドイツという国は無かった。1871年以前に自らの帰属を「ドイツ」とする意識を持つことが絶対にあり得ぬとは申さぬが、容易くもなさそうだ。
ブラームスの帰属意識はおそらくプロイセンかもしれぬ。ビスマルクへの帰依は割と知られているし、ホーエンツォレルン家への忠誠心も高かった。プロイセン主導による統一ドイツを心から支持していたことは確実だ。当時の中欧を席巻したプロイセンの強さの秘密は国民皆兵だという。1870年の普仏戦争開戦当時37歳のブラームスが兵役を志願する気になっていたことは割と知られている。開戦当初から戦局が有利だったために思いとどまったらしい。
1871年以降、ブラームスの返事は「ドイツ」であったに違いない。ビューローの有名な「3大B」の比喩も、バッハの復興も統一ドイツ成立前後の空気を敏感に反映していると考えたい。
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