深層ヘミオラ
ブラームスが自作に4分の6拍子を採用するとき、そこには2分の3拍子との緊張を利用したいという意図が隠れていることが多い。
第3交響曲の第一楽章4分の6拍子には、記譜面で不思議な現象が起きている。どのパートであれ、1小節の間隙間無く同じ音を充填する場合、4分音符6つをもっとも手っ取り早くあらわす「付点全音符」が用いられそうなものだが、ブラームスはその使用を頑なに避けている。第一交響曲の主部8分の6拍子では、まるまる1小節に同じ音を敷き詰める場合に、付点2分音符が用いられていることと対照的だ。
ためしに第3交響曲第一楽章の冒頭2小節を見るといい。どちらの小節においても全てのパートが「タイで連結した付点2分音符」になっている。「6個の4分音符」を「3つずつが2組」だと思いなさいということに決まっている。
ところが、第3小節目から放たれる第一ヴァイオリンの第一主題は、2分の3拍子の枠組みに聞こえる。「四分音符2個が3組」ということだ。冒頭2小節における音符の割付と違う枠組みの旋律がいきなり始まる。我がヴィオラはそれらどちらとも受け取れるシンコペーションを強いられる。
再現部120小節目になると、モットー2小節の後半に弦楽器が出ることで、「3個*2組」の枠組みがキチンと明示される。ことここに及んで、さては冒頭も「3個*2組」だったのかと思わせるという仕組みだ。
名づけて「深層ヘミオラ」。
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なんとおたずねしていいか。
全部に付点全音符!!!!
最初の頃の2分音符は転用の印だったんじゃあないかと。
この記事で、このようなご質問は想定していませんでした。
投稿: 実朝の弟子 | 2026年1月 2日 (金) 18時21分
はじめまして。
ブラームス交響曲第3番1楽章について質問です。
この楽章では、1小節を埋めるとき、はじめは付点二分音符×2を使うのですが、途中から付点全音符が登場し、最後の小節には全パートに付点全音符が書かれています。この2つは混在しているので、ブラームスはこの2つを書き分けていると思います。この書き分けの基準というか、なぜブラームスがここに付点全音符を書いて、同じ動きの他のパートには付点二分音符×2で書くのかがわかりません。
曖昧な質問で申し訳ないですが、教えていただけると大変嬉しいです。
最後に、ブラームスが1小節を埋めるとき、どこでどのように埋めているかを表にまとめてみました。
①にブライトコプフ社の「ブラームス全集」のページ数、
②にジムロック社の初版(いずれもペトルッチからお借りしました)
のページ数を載せました。見にくいですが、参考になれば幸いです。
① ② 小節数 パート
16 30 140,141 Cl.,Fg.,Hr.1 付点全音符
16 31 142 Fl.2,Ob.,Cl.,Hr.3,Vc. 付点全音符 Vn.1 付点二分音符×2
16 31 143 Fl.2,Ob.,Cl.2,Fg.2,Hr.,Vc. 付点全音符 Vn.1 付点二分音符×2
16 31 147 Va.,Vc. 付点全音符 Vn.1,Vn.2 付点二分音符×2
18 34 158 Fg.1,Vn.1,Va. 付点全音符
21 38 183,184 木管,Hr.,Trb.3 付点全音符 Cb. 付点二分音符×2
21 38 185 木管,Hr.,Trb.2,Trb.3 付点全音符 Cb. 付点二分音符×2
24 42 201(練習記号M) Fl.,Ob.,Cl.,Fg.,Hr.1,2,Trb 付点全音符 Cfg.,Vn.1,Vc.,Cb. 付点二分音符×2
25 43 211 Vn.1,Vn.2 付点全音符
25 43 214 Vn.1,Vn.2,Vc. 付点全音符
25 43 216 Hr. 付点全音符
26 44 217 Cl.,Fg.,Hr.,Trp.,Trb.,Timp. 付点全音符
26 44 218,219 Fl.,Ob.,Cl.,Fg.,金管,Timp. 付点全音符
26 44 220 Fl.,Cl.,Fg.,Hr.1,2,4 付点全音符
26 44 221-223 Fl.,Ob.,Cl.,Fg.,Hr.,Trp. 付点全音符
26 44 224(最後の小節) 全パート 付点全音符
それでは、良いお年をお迎えください。
投稿: | 2025年12月31日 (水) 15時26分