語尾の重複
「pp dolcissimo」を声に出して読んでみていただきたい。
何か変だと感じた方は日本人っぽい。文字で書いただけでは気づきにくいのだが、声に出すと最上級の「イッシモ」が重複していることがひっかかる。「最も弱く、最も優しく」と解することで破綻は生じまいが、語呂がよろしくない。
日本語で文章を書く場合、同様の語尾が前後に近い文で重複すると語呂が悪くなる。特段の事情が無い限りはそれを避けるのが普通だ。そのために日本語には同意別語が山ほど存在する。「だ、である」調と「です、ます」調の混在は耳障りだが、かといって「である」の連発も同じくらい気になるものなのだ。ブラームスの母国語であるドイツ語や音楽界御用達のイタリア語で、このあたりの事情はどうなっているのだろうか。
実際に「pp dolcissimo」という表示は下記の三箇所に実在する。
- ピアノソナタ第1番op1第1楽章139小節目
- 「愛と春」op3-3 21小節目のピアノ
- インテルメッツォop116-5 28小節目
イタリア語でもこうした重複が忌避されているから少ないのか、単なる偶然なのか判然としない。
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