こうもり序曲
マイシアターが実現したせいで、ショップのDVD売り場を徘徊する癖がついた。都内某ショップにて驚くべき発見があった。
裏面を見ると収録曲は、「こうもり序曲」と「魔弾の射手序曲」2つだけ。それではDVDの収録時間に広大な余白が出てしまう。そう、これはリハーサル風景を収めたDVDだったのだ。即買い一択。
オケは南ドイツ放送交響楽団。1970年前後の収録なのでクライバーは40そこそこ。「こうもり」も「魔弾の射手」もクライバー指揮のCDは持っている。「こうもり」はDVDもある。序曲はニューイヤーコンサートのDVDにも入っている。それらのリハーサル風景とは、クライバー好きにはたまらん内容だ。
転げ込むように帰宅して、手洗いうがいもそこそこに再生。
そりゃあ画面はモノクロだけれど、若き日のクライバーが躍動する。90年代の演奏と枠組みは変わっていない。楽団員への働きかけ、説明がキレッキレだ。ドイツ語でのトークだが、字幕がうまくニュアンスまで伝えてくれてありがたい。「みなさんが楽しんでください」「私は方向性ときっかけをあたえるだけ」などとクライバー節が随所に炸裂する。精神面、技術面の両面にわたる踏み込んだ説明なのだが、もたれないのは最早名人芸だ。説得力がすごいのだろう。注意の前と後ではオケの鳴りが変わる。
ストーリーの見せ場が手際よくという類のオペレッタの序曲だからか、クラーバーはストーリーの進行や場面に寄り添って説明する。喜劇ならではの大げさ感を求める。「クラシックであることは忘れて」「酒場で弾いてる感じで」など。
細かい突込みどっころはまだある。ヴィオラの二列目、チェロとの境目付近に、サウスポーがいる。左手で弓を持ってビオラを弾いている。気になりだすと気になる。
「こうもり」では練習番号が数字だったのに対し「魔弾の射手」ではアルファベットになるようだ。練習番号「G」を「Gustav」と呼んでいるのがおしゃれだ。
で、最後に演奏会の様子も収録されている。
飽きない。
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