入院の友
治療計画の段階で、さまざまなリスクは想定されてはいた。手術後の経過によっては再手術もある云々だ。10人に一人くらいらいと言われると身構えもする。1割打者がヒットを打つのをよく見るからだ。
とはいえ、まあ術後の経過観察は長くて10日程度と開き直った。問題は、経過が順調でも術後1週間は入院となる。順調であればあるほど暇ということだ。
その暇の対策にポータブルCDプレイヤーを持ち込むことにした。3000円少々でプレイヤーを買うことで解決なのだが、問題はどのCDを持ち込むかだ。膨大なCDコレクションから48枚をチョイスしてケースから取り出してファイルに収める。この48枚は厳選されなければならない。人生滅多にない7日連続の広大な暇をどうやって埋めるのかだ。1日に入院が決まって6日に入院するまでそのチョイスに時間を費やした。
その結果がこれである。プリントアウトしてこれも持ち込んだ。
病床で何が聴きたいか自問した結果だ。
作曲家は下記を採用。
- ブラームス
- バッハ
- モーツアルト
- ベートーヴェン
- シューベルト
- ヴィヴァルディ
- ヨハン・シュトラウス
ドヴォルザークは無念の落選。むしろこだわったのは演奏家だ。「誰の演奏で聴きたい」ということだ。
指揮者はカルロスクライバーとカールベーム。オケはウィーンフィルで鉄板。歌手はディートリヒ・フィッシャーディースカウでまたまた鉄板。ヴァイオリニストは何といってもヘンリク・シェリング。シェリングが抜けるヴィヴァルディをアッカルドとビオンディで埋める感じ。
ピアニストは、グレングールドがバッハとベートーヴェン。ペーター・レーゼルはベートーヴェンとシューベルト。イングリッド・ヘブラーはとベートーヴェンとモーツアルト。デトレフ・クラウスはブラームス。この4人にシェリングの相棒としてのアルトゥール・ルービンシュタイン。
チェンバロがキース・ジャレット、ヘルムート・ヴァルヒャ、グウタフ・レオンハルト。
チェロは迷いに迷ってフルニエ。バッハの無伴奏チェロ組曲が3枚組になるミシャ・マイスキーは落選。あとガンバソナタだけはヨーヨーマだ。
ハインツ・ホリガーのオーボエと、ザビーネ・マイヤーのクラリネット。
それからアマデウス四重奏団。
実はこの手のご無体な選択ごっこは嫌いではない。
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