いざ来ませ 異邦人の救い主よ
「Nun komm,der Heiden Heiland」という。リヒターの全集冒頭を飾る。待降節第一日用のカンタータである。リヒターさんはBWV61を収録して教会暦順全集の冒頭に据えている。これは1714年の待降節用だからライプチヒ着任前、ワイマール時代の作品。1724年用に作曲したのがBWV62だ。同タイトルが2つあるということ。
リヒター盤の何がすごいかってそのメンツだ。
ソプラノ:エディット・マティス、テノール:ペーター・シュライヤー、バス:ディートリヒ・フィッシャーディーシカウ。
鉄壁だ。バスは4曲目のレチタティーボにしか出番がない。CDのトラック1分15秒の出番のために、フィッシャーディースカウを起用出来るというのがリヒターの威光なのかはわからぬが、まぶしい。がしかし、第3曲のテノールのアリアも美しい。ハ長調8分の9拍子は、どこかで聴いたことがある懐かしさ。BWV147いわゆる「主よ人の望みの喜びよ」を彷彿とさせる三連符の連続だ。繰り返し「komm」と呼びかけるのが印象深い。
全集が立ち上がるにふさわしい。
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