歌われて納得
記事「作曲の経緯」で述べた通り、カンタータ「Ich habe Genug」BWV82は、当初アルト独唱を前提に着手され、第1曲完成後バリトン独唱に改定された経緯がある。
ロイグッドマン指揮ハノーヴァーバンドの演奏は、独唱にナタリー・シュトゥッツマンを迎えている。この人は大好きなコントラルト歌手。ブラームスのリートもCDで聴ける。男声用のはずの「4つの厳粛な歌」にだってチャレンジを忘れない人だ。店頭でこのCDを手に取った時は心が躍った。
実際に聴くと、納得だ。大好きなフィッシャーディースカウ先生に次ぐ第二集団に堂々と割って入る。指揮のグッドマンさんも多芸でオルガンやヴァイオリンまで弾いている。ピリオドヴァイオリンだというに、耳になじむ。
問題はバッハがなぜアルト独唱からバリトン独唱に切り替えたかだ。そのままアルト独唱にしておいたらアルト歌手たちの主戦場になっていたはずだ。
« 降りゆくものは | トップページ | カウンターテナーまで »
コメント