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2024年3月31日 (日)

キリストは死の縄目につながれたり

やっとたどり着いた。今日はイースター。「Christ lag in Todesbanden」BWV4の話が出来る。ルター作のコラールに基づく事実上の変奏曲。パッヘルベルからの影響も取り沙汰される。ライプチヒ着任以前の初期カンタータ。

ウイーンジンクアカデミーの指揮者だった時代、ブラームスは本作を演奏会で取り上げていた。

全8曲すべてが「ハレルヤ」で終わる。

なんといっても推しは第6曲バスのアリアだ。「der Wurger kann uns nicht」のところ。ヴァイオリンの16分音符を従えた11拍分の伸ばし。あたりを打ち払う、黄門様の印籠的なフレーズ。ほどなく「ハレルヤ」の連呼で曲を結ぶ。全曲のヤマ。

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またもまたも盤石なフィッシャーディースカウ先生の見せ場。

2024年3月30日 (土)

バッハの受難曲

そもそもバッハは生涯に5つの受難曲を作曲したことになっているらしい。

ひとまず4つはすぐわかる。BWV244がマタイ、以下BWV245がヨハネそして、247がマルコという具合。欠番の246は今では偽作と判明しているルカ受難曲だ。

先に購入した「BWV3」にも巻末にそれらについて記載がある。ルカ受難曲については、ブラームスは親友でバッハ学者のシュピッタに食ってかかっている。「もし、真作だとするならきっとバッハが赤ん坊のころの作品に違いない」と皮肉を交じりにつっかかる。

BWV246という番号が附番されているのは、真作ではないと判明したのがBWV1の発刊後ということだ。

2024年3月29日 (金)

さすがにマタイ受難曲

明後日がイースターだ。だから本日は聖金曜日。イエスが処刑された日。受難の日だからマタイ受難曲BWV244を取り上げる。19世紀のバッハ復興は、1829年3月11日にメンデルスゾーンが同曲を再演したことで加速した。成立や初演には諸説あるので深入りはするまい。

ブラームスの関心はこの通り深い。

愛聴盤はリヒターだ。がしかし、私自身鑑賞の敷居はとても高かった。腰を落ち着けた状態で聴き始めないといけないからだ。

 

2024年3月28日 (木)

東庄いちごロード

「東庄」は「とうのしょう」と読む。千葉県の北東部・銚子に隣接する東庄町には、いちご農園が密集する。佐原から銚子に向かう街道が同町に差し掛かるとあたりが「東庄いちごロード」となる。先日旬のいちごを買い求めてきた。

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特産の「やよいひめ」が「甘い」「大きい」などとはしゃいでいる場合ではなかった。

この地は鎌倉時代、東氏の所領だった。同氏は桓武平氏の流れをくむ千葉市の庶流で、開祖頼胤は、源頼朝側近・千葉常胤の6男で、この地・東庄を治めることとなり、東氏を名乗った。その頼胤の嫡男が重胤という人物。源実朝の側近である上に、和歌の素養がある。いやいや逆だ。和歌の素養があるから、実朝に重用されたのだ。この東氏からは室町時代に常縁(つねより)を輩出することになる。和歌の古今伝授の創始者だ。

実朝は重胤が所領「東庄」にこもってしまい、鎌倉に出てこないことを嘆き歌で参上を催促をしても応じなかったため立腹すると、今度は重胤が歌を献上して許しを請うたという話も伝わっている。つまり仲良しということだ。実朝暗殺直後に出家したと考えられているほどだ。

利根川の流路が現在と違っていた当時、ここいらは広大な香取湾に面する交通の要衝だった。そこを収める東氏の位置づけが相当のものだったとわかる。重胤が引きこもったと思しき屋敷もきっとこのあたりだったはずだ。

明日は聖金曜日だというのに、なんと言う話の振幅。けれど実朝の弟子としてはスルーもできぬ話。カンタータネタに余裕で割ってはいるべき話題だ。

2024年3月27日 (水)

大天使ガブリエル

昨日の記事の中で、ブラームスが編曲した民謡「白い小鳩」が、「受胎告知」の内容を仄めかしているのではないかと書いた。その周辺について調べているうちに興味深いことに気付いた。

マリアに受胎を告げるのは大天使ガブリエルとされている。そのガブリエルが「天使の狩人」WoO34-14に出てくる。そのテキストは以下のように歌われる。

すぐれた狩人が天の高みから狩に出る。荒野で出会ったのが美しい乙女マリア。彼はガブリエルという天使と共に狩をしている。

天使ガブリエルがマリアに出会ったことは明らかだ。

WoO34を背負った「14のドイツ民謡集」は、どうも宗教的な色彩のテキストが多い。WoO34-7には「ラファエル」も現われる。どこかにミカエルがいれば三大天使の揃い踏みになる。

 

 

2024年3月26日 (火)

受胎告知

キリスト教圏においては大切な祝日。聖母マリアが主役を張るというのはどちらかというとカトリック系の香りがする。ブラームスはプロテスタントだったから、無関係などと思ってはいけない。1864年に刊行された「14のドイツ民謡集」WoO34の中の5番目に「白い小鳩」という作品がある。オリジナルは「Taubchen weiss」(aはウムラウト)だ。

冒頭のテキストが大変興味深い。

「白い小鳩が、天使の衣をつけて美しい乙女の許に舞い降りた」これに「彼女の魂は清められ、肉体は祝福された」と続く。

どうもこれが「受胎告知」を表現しているような気がする。マリアに受胎告知をしたのは「大天使ガブリエル」ということになっている点、鳩が天使の衣を着けて舞い降りたことと奇妙に符合する。手許の訳の中には「受胎告知」の文言は出現しないがどうも怪しい。

 

 

2024年3月25日 (月)

暁の明星はいと美しきかな

はえあるBWV1である。オリジナルは「Wie schon leuchtet der Morgenstern」という。マリアの受胎告知用のカンタータはこの作品のみ伝わる。タイミング的に枝の日曜日と重なりやすく、復活祭の前1週の間にこの日が来ると、本曲の演奏は枝の主日に差し替えられた。バッハの時代からいろいろ工夫されていたようだ。とりわけ本曲初演の1725年は3月25日と枝の主日が重なるという巡りあわせだったという。

同曲にはバスの出番がある。第4曲のレチタティーボだ。トラックの時間にして1分19秒でしかないが、先に作成したフィッシャーディースカウ先生の手製アリア集の冒頭に収録されている。

これに続く第5曲アリアはテノール・ペーターシュライヤー先生の見せ場。

 

2024年3月24日 (日)

天の王よ汝を迎えまつらん

「Himmelskonig,sei willkomen」BWV182は枝の主日用カンタータ。枝の主日は復活祭の1週間前の日曜日と決められている。1714年3月25日初演。ということはつまりライプチヒ着任より前だ。初期カンタータの代表作。枝の主日用のカンタータはこの作品だけだ。

ここからいよいよ受難節が始まるという入り口にふさわしい、イエスのエルサレム入城を暗示する。

がしかし、リヒター版ではバス独唱がフィッシャーディースカウ先生になっていない。

 

2024年3月23日 (土)

リヒターのブランデンブルク

ブランデンブルク辺境伯への就職活動のツールと言っては元も子もない。これら6曲に添えられていた手紙の日付が1721年3月24日だった。だから明日はブランデンブルク協奏曲の記念日。

私が初めてブランデンブルク協奏曲に出会ったのは大学1年の冬。所属する大学オケ恒例の春の室内楽演奏会でブランデンブルク協奏曲第5番の演奏にヴィオラで参加することになったからだ。達者なピアにニストが同学年にいて、なんとチェンバロをレンタルすることになった。楽譜が配られもしたが、ひとまず演奏を聴きたいとレコードを買い求めた。カールリヒター盤だ。その後長く長くマイスタンダードの座に君臨することになるリヒターだが、当時は唯一の所有で、いろいろ聞き比べる余裕なんぞなかった。

やがてCDの時代になって買い替えた。今ではブランデンブルク協奏曲のCDは10種類くらい持っているにはいるが、やはりリヒター盤は別格。第1番のホルンがヘルマン・バウマンだし、第5番のフルートにはオーレル・ニコレもいる。

その後、第6番に趣味が移りはしたがやはりリヒター盤の威光は不変。リヒターさんはその5番と6番でのみチェンバロを弾いてくれている。

時は巡り、昨年秋に次女が結婚により巣立ったことによるマイルーム計画が発動。自室で心置きなくDVDが聴けるようになってリヒターのDVDを入手した。CDより3年新しい1971年盤は、どこぞのシュロースでの録音。

見て気づいたのは、リヒターさんの指揮がえらくかっこいいことだ。カルロス・クライバーに匹敵する感じ。DVDのご利益。5番や6番でも弾き振りっぷりも必見だ。

しみじみ、ほのぼの。

2024年3月22日 (金)

1か月経過

「バッハ作品目録2022年版」通称「BWV3」を入手して1か月経過した。暇さえあれば眺めている。ぼんやりと眺めている。けして得意とは言えないドイツ語が脳内を自然に走る。たった1小節の譜例が本当にありがたい。

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付箋紙がヘンレですみません。

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ブラームス先生もあきれ顔だ。

実はひっそりとカテゴリー「612 シュミーダー」を追加しておいた。バッハ作品目録系のネタを取りそろえることが目的だ。

2024年3月21日 (木)

固定春分

復活祭の計算のことは既に述べておいた

春分の日が起点になる。今年は3月20日だ。天文学的には固定されていない春分の日だがしかし、教会暦のイースターの計算根拠として使うときは3月21日に固定される。

バッハの誕生日だからか。

2024年3月20日 (水)

春は信濃路

先日ロングドライブに行ってきた。目的地は小布施・善光寺だ。栗の季節をはずした小布施でのんびりするためだ。とはいえモンブランははずせぬし、善光寺門前の七味唐辛子や、おそばなど見せ場には事欠かない。

遠くの山に雪が残る景色に癒されてきた。

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目的は他にもある。

カンタータのUSBにお気に入りの歌手たちの出番集を作ったが、じっくりそれらを聴くためのドライブだ。なんせフィッシャーディースカウ先生だけでも4時間半もかかるからだ。日帰りにはきつい700km強のドライブで、シュライヤー先生やアメリンク先生の分までたっぷりと聴きこむことができた。

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こちら長野にある銀行。明治になって近代金融体制を定着させるために政府主導で銀行が開設され、順に発番された名残りとも聞くが、こちらは第19銀行と第63銀行が訳あって合併した際、19と63の和「82」を行名にしたという。

私の脳みそは、バッハのカンタータ第82番「Ich habe  Genug」を最優秀カンタータと位置付けているから、こんなものにピピっと反応してしまう。

笑われる覚悟はできている。

2024年3月19日 (火)

バッハの居場所

居室ベッドの足元にブラームスの絵を飾ったと書いた。もし私がこのベッドで息を引き取るなら、ブラームスに看取ってもらえると考えた。

この度、ベッドの枕元にバッハの絵も飾った。ライプチヒバッハムゼムで買い求めた絵葉書を額に収めて置いただけだ。これにてバッハにも看取ってもらえるということだ。

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よく見るとブラームスもいる。

2024年3月18日 (月)

歌はいいな

昨日の記事ではないが、歌はいい。自分で歌うにも聴くにもいい。

なぜか。

歌以外、器楽だと、演奏家がわからぬ。大好きな演奏家による演奏だとしても、100%聞き分けられない。極端な話「聞き分けられもしないのに好きも何もない」のだが、歌、とりわけ独唱は、だれが歌っているのかわかる。グールドの唸り声も貴重だ。

特に、ディートリヒ・フィッシャーディースカウ先生は百発百中である。ほんっとにありがたい。

2024年3月17日 (日)

I love singing with Barenreiter Blue

「ベーレンライターと歌うのが大好き」と訳しては堅苦しい。某楽譜ショップで見つけて衝動買いしたエコバッグに書かれていた。

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下の方に小さく「Urtext」とあるのは「原典版」の意味。ベーレンライターは言わずと知れたドイツの楽譜出版社だ。我が家にもある。そういえば表紙は青系統の色だった。あの色を「ベーレンライターブルー」というのかという軽い驚き。

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写真左のパッヘルベルの色が地で、右側バッハの楽譜の色が文字ということなのだろう。

暖かくなったらこのバッグを持って街に出たい。ハミングが似合いそうだ。

英語ではなくドイツ語で「Ich liebe云々」だったらもっと良かったなどと贅沢は言うまい。

2024年3月16日 (土)

どっぷりとカンタータ

ディースカウ先生の出番ばかりを集めたフォルダーを作った勢いで、同じことをペーターシュライヤー先生とエディット・マティス先生でも行うことにした。この2人はレチタティーボを除外して簡略化する他はディースカウ先生のときと方法は同じだ。

シュライヤー先生は全44曲で3時間25分。マティス先生は全46曲で、3時間41分。

うーん。聴いてみてわかるのは「やっぱりディースカウ先生はすごい」ということだ。

2024年3月15日 (金)

独唱用カンタータ

ディースカウ先生の出番をUSBにした。連続再生はできるが、これらはさまざまなカンタータからの寄せ集めになる。神聖なカンタータを切り張りにする後ろめたさはどこかに飛んでいた。ところが、その大歌集の中には、「Ich habe Genug」BWV82からは全5曲が入集している。同USBを連続再生するとBWV82だけは「アリア」から始まって「レチタティーボ」「アリア」「レチタティーボ」「アリア」という原曲通りの順番で聴くことができるのだ。

BWV82が名高いバス用アリアというのはこのことだったのだ。全編これバスの出番なアリアはこの曲だけだ。ほかにBWV56がわずかにフィナーレを欠くだけなど惜しい曲もあるが、BWV82のありがたみはほかにない。

こうしたことに気づくと、バス以外の声種用のアリアがどうなっているかも知りたくなる。

2024年3月14日 (木)

華のデュエット

昨日の記事の続き。USB上に「ディースカウ先生の出番集」を作った話だった。独唱だけでなく他の歌手との重唱まで取り込んだから、一部テノールのペーターシュライヤー先生の出番も混じる。意外なことに、ディートリヒ・フィッシャーディースカウ先生とシュライヤー先生の重唱はたったの2回。

BWV33の第5曲とBWV11の第7曲だけだ。しかもBWV11はレチタティーボに過ぎない。このほか、BWV116-4がソプラノのエディット・マティスさんを加えた三重唱があるだけ。

貴重な貴重なデュエットだ。

 

2024年3月13日 (水)

手製アリア集

「またまたしょうもないことを」というお叱りならもう覚悟できている。一昨日から紹介を始めたカンタータ用USBのことだ。

歌手たちの妙技を味わうという点に的を絞ってひとまず深入りを始めることにした。話はリヒター盤に限定する。全25ディスクの中から大好きなディートリヒ・フィッシャー・ディースのカウ先生の出番だけをピックアップして抜き出し、BWV番号順に連続再生できるようなファイルを作ることにした。本日の記事はタイトルこそ「手製アリア集」だが、収録の対象は「アリア」だけにはとどまらない。レチタティーボはもちろん、他の独唱者との重唱までも対象に加える。事実上「ディースカウ先生の出番集」である。

これがなかなか複雑な作業だ。バス独唱に出番のあるカンタータを抜き出し、そこからディースカウ先生が出演しているかどうかを見極めねばならない。慎重を期するためにエクセル沙汰にすることにした。CDのブックレットを見る。DISC1から順に、編成と独唱を一覧化してしまうのだ。全DISCでこの作業を終えてしまえば、あとはエクセルの「並べ替え」でソートが思いのままだ。BWV番号順に並べ替えて、ディースカウ先生の出番有りの作品リストが手に入る。

このリストを見ながら、先のUSBを開ける。保管中のフォルダーから目的のBWV番号、曲名を頼りに手製アリア集の専用ファイルにコピーするだけだ。

壮観だ。BWV1の第4曲のレチタティーボからBWV187の第4曲のアリアまで全87曲が整然と並ぶ。全部再生すると4時間41分34秒かかる。CDなら4~5枚分だろう。本当に本当に楽しくて楽しくて。いやもう極楽。

私だけのディースカウ先生のバッハ全集の出来上がりだ。

 

2024年3月12日 (火)

結局リヒター

カンタータ頭出し用USBを作成した。その作成を昨日紹介したが、文章から受ける印象とは違う。「面倒臭そう」と感じさせてしまったとしたら、それは私の筆力不足だ。実のところ作るのはとても楽しい作業だった。それが通じねばならぬところだ。バッハのカンタータ全曲、どの曲でもたちどころに聴けるのは最低限の環境だ。楽譜の取り揃えは無理とあきらめたが音源確保だけは譲れぬということだ。

出来上がってあれこれ聴いてみて感じたことは、「やはりリヒター」が性に合うということだ。長い付き合いだから、こちらの耳や脳味噌にリヒター補正がかかってしまっているということかもしれない。ほどなくリヒターが録音していない作品をどの演奏で聴くかが肝だと気づかされた次第。

網羅性でリリンクが第一候補である。その選り好みのどさくさから、思わぬ次元が開けた。

そもそもリヒターもリリンクも指揮者だ。ディスクの個体識別のため指揮者名で呼ぶけれど、私がリヒターに惹かれる原因はどうも、歌手陣だと気づくのにさしたる時間はかからなかった。とりわけディートリヒ・フィッシャーディースカウ先生だ。ここにシュライヤーやマティスが加わる陣容は、ベッツとフリーマンに大谷翔平が加わるドジャースに匹敵する。悩ましいのはソプラノのアメリンク、コントラルトのシュトゥッツマンくらいだ。

いやもうそれはそれは極楽。

2024年3月11日 (月)

インデックスUSB

聴き比べファイルを作るうちに、USBファイルの操作にも慣れてきた。バッハのカンタータを追いかける1年でもあるので、カンタータをすぐに聞ける体制を整えにかかった。カンタータ全200曲の頭出し用USBである。本日はその作成の手順を紹介する。

まずはUSBの購入だ。奮発して128GBのものを準備した。

我が家のカンタータのCDコレクションをパソコンに取り込む。取り込みにかかる時間はディスク1枚あたり5分程度。まずはリリンク盤すべてを取り込んだ。これだけで60枚だ。次いでリヒター盤25枚。さらにはリステンパルト盤。あとはバッハゾリスデン、ロッチュ、クルトトーマスのライウチヒトマスカントル関与を次々と。併せて40枚程度にはなる。そしてミュンヒンガー、レッパード、BCJ、ガーディナー、コープマン、ビオンディなど目的に合わせて一本釣りで取り込む。かれこれ15枚ほど。

今度は最終的な取り込み先のUSB側の準備に移る。USBの中にフォルダーを作る。USBをパソコンに装着して、「フォルダーの新規作成」を200回繰り返し、それらにBWV001からBWV200までの名前を付ける。もっとも今では偽作と判明して欠番となっている番号は控除する。

そののち、パソコンからUSBに同期する。パソコン側のミュージックのファイルに、フォルダーが自動生成されて取り込み済のCD毎に保管されているから、それを丸ごとUSBに移す作業だ。この作業を同期といいCD1枚なら5秒という早業だ。

同期を終えるとその結果、USB側にファイルが自動生成されている。先に生成済のBWV001からの200のファイルとは別保存になっている。CD毎になっているものをBWV番号を参照しながら、一致するBWV番号のファイルに移動する。移送先のBWVファイル内に格納したら、そこにまた下位ファイルを生成して指揮者名を付与しておく。移送が終わって空になったファイルは、削除しておくといい。

BWV番号で探し、そこを開けると指揮者別に格納されているという状態を作り出すことに他ならない。お気に入りの「Ich habe Genug」BWV82のファイルには、十数種類のファイルがひしめいている。

USB内の音楽ファイルを再生するのは、再生機種によって、勝手が違う。一般のCDプレイヤーだと表示窓の制限からか使い勝手が悪いけれど、マイカーのプレイヤーだとタッチパネルからサクサクと目的の曲にたどり着く。

大容量の恩恵で、まだこれでも3分の2低度余力がある。

これで目的のカンタータをたちどころに聴ける。話題がどう飛ぼうと一瞬だ。

 

2024年3月10日 (日)

罪に手向かうべし

「Wiederstehe doch der Sunde」BWV54だ。復活祭前第三日曜日用のカンタータだ。

しかしだ。カールリヒターさんの全集からは漏れている。

珍しく3曲から構成される。レチタティーボをアリアが挟むだけという異例の構成だ。どれも主役はアルト独唱だ。

我が家のコレクションは3種。

ヘルムートリリンク、ヘルヴェッヘ、グッドマンの3人。ヘルヴェッヘ盤では独唱がアンドレアスショルというカウンターテナー。お気に入りはグッドマン盤で、独唱がシュトゥッツマン。フィッシャーディースカウ先生不在のこのカンタータに君臨している。

2024年3月 9日 (土)

圧倒的とはこのこと

改めてディートリヒ・フィッシャー・ディースカウ先生の話。聴き比べファイルを繰り返し鑑賞してつくづくだ。すごい人だ。

私と彼の初めての接点はもちろんブラームス。

ドイツレクイエムがスタートだ。次が「4つの厳粛な歌」。そしてブラームスの歌曲に拡大して一区切り。オペラ「フィガロの結婚」の伯爵で再認識した後、一連のシューベルト特集でやはりまた度胆を抜かれた。歌だけではない浩瀚な書物に心底驚いた。グラムフォンのシューベルト全集はきっと一生の宝だ。フリッチャイと共演した第九もまた軽くない衝撃だった。

そこにだ。そこにこの度バッハが加わった。

なんという人だろう。

泣きたい。

2024年3月 8日 (金)

26歳43歳58歳

「Ich habe Genug」BWV82の第3曲と第5曲で作成した聴き比べファイルで、1人の歌手が複数現れるのはディートリヒ・フィッシャー・ディースカウ先生ただ一人だ。以下の通りである。

  • 1951年 カールリステンパルト指揮
  • 1968年 カール・リヒター指揮
  • 1983年 ヘルムート・リリンク指揮

フィッシャーディースカウ先生は、1925年生まれなので、それぞれ26歳、43歳、58歳の録音ということになる。リステンパルト盤は古いのでそれなりの音だが、気にはならぬ。最も若い時の演奏が一番勢いがあるのかといとそうでもないところが奥深い。総合的にはリヒター盤がいいとは思うけれど、僅差だ。

2024年3月 7日 (木)

選曲の妙

我が家の「Ich habe Genug」BWV82コレクションのうちの最古の録音の話。バリトン独唱はディートリヒ・フィッシャーディースカウ先生で、指揮はカール・リステンパルト。もう一つのバリトン用カンタータである「Ich will den Kreuzstab Gerne tragen」BWV56が収録されていることはよくある組み合わせなので驚くにはあたらない。それらの余白に収録されているのがブラームスの「4つの厳粛な歌」op121になっているのには意表を突かれた。

周知の通りそれはブラームス最後の独唱歌曲。しかもバス声部用だ。聖書のフレーズからブラームスが抜き出してテキストに仕立てている。ブラームス最高の歌曲に推す向きも多い。録音は1950年1月とある。ディートリヒ・フィッシャーディースカウ先生25歳の録音。これまた周知の通り、ディースカウ先生のデビュウはこの作品とされている。

バッハのカンタータの後に聴かされて違和感がない。ヘンスラーというドイツのレーベルだけれど、センスが底光りしている。ブラームスだってこの大抜擢を喜ぶに決まっている。

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2024年3月 6日 (水)

Ich freue mich auf meinen Tod

ただいま没頭中の「Ich habe Genug」BWV82の第5曲のタイトルだ。第3曲「Schlummer ein,matten Auge」の聞き比べファイルを作った話は既にしてある。14トラックの再生におよそ2時間半かかるので、腰を据えて聞かないと比較ができない。なんとかならぬものかと思案して、この第5曲の聞き比べファイルを作ることにした。

3分半から4分の曲なので手っ取り早い上に、アンナマグダレーナバッハの音楽帳からの参入がないから、全部で9人のエントリーとなり、全部聞いても50分で事足りる。

かくかくしかじか、怪しい理由で着手したが、これがなかなかの収穫。

カンタータ全体が待ち焦がれたメシアに巡り合えたシメオン老人の感慨なのだが、このフィナーレは「もはやいつ死んでもいいわい」とばかりに、「死を喜んで受け入れようではないか」という趣旨。ハ短調8分の3拍子がヴィヴァーチェで駆け抜ける。

通奏低音付きの弦楽合奏とオーボエが付き添われてバス独唱が駆け抜ける。事実上の「オーボエとバスのための協奏曲ハ短調」だ。

ここでもフィッシャーディースカウ先生は圧倒的だ。16分音符のコロラトゥーラ、下支えの伸ばし、気の利いたトリル。どれをとっても完璧。

 

 

2024年3月 5日 (火)

聴き比べファイル

「Ich habe Genug」BWV82の第3曲「Schlummer ein,ihr matten Augen」への、のめりこみが嵩じてこれらを我が家所有のCDからUSBに切り取って連続再生する誘惑にかられた。

結果は以下の通りである。録音年、歌手、声種を添付する。

  1. 1966 エリー・アメリンク sop
  2. 2002 アンジェリカ・キルフシュラーガー MS
  3. 2002 イングリッド・シュミットヒュッテン Sop
  4. 2001 クラウス・メルテンス Bass
  5. 2000 イアン・ボストリッジ Ten
  6. 2000 マリヨン・ストリイク Sop
  7. 2000 ピーター・ハーヴェイ Bass
  8. 1998 ルネ・ヤコブス CT
  9. 1994 ナタリー・シュトゥッツマン CA
  10. 1991 トマス・コーイ Bass
  11. 1991 オラフ・ベーア Bar
  12. 1983 ディートリヒ・フィッシャー・ディースカウ Bass 
  13. 1968 ジェラルド・ゾウツァイ Bass
  14. 1968 ディートリヒ・フィッシャー・ディースカウ Bass
  15. 1961 ヘルマン・プライ Bass
  16. 1958 ディートリヒ・フィッシャー・ディースカウ Bass

以上だ。録音の新しい順なのだが、アメリンクは1トラックにレチタティーボが組み込まれている関係で先頭に持ってきた。アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳からの引用は、このアメリンクと2002年のシュミットヒュッテンだけだ。

ディートリヒ・フィッシャー・ディースカウ先生だけが重複。1983年がヘルムート・リリンク、1968年がカール・リヒター、1958年はカール・リステンパルトという具合に指揮者が変わる。

指揮者で申すなら、クラウス・メルテンスはトン・コープマン。ボストリッジはビオンディ。ハーヴェイはガーディナー。ベーアがシュライヤー。ゾウツァイがヴィンシャーマンである。

全部再生するとおよそ2時間半かかるが、楽しい。

2024年3月 4日 (月)

キルヒシュラーガーのアリア集

アンジェリカ・キルヒシュラーガーさんはドイツのメゾソプラノ歌手。彼女が歌うバッハのアリア集のCDがお気に入りだ。メゾソプラノのためのアリアの花束だ。BWV156「Ich steh mit einemu Fuss im Grabe」の第1曲シンフォニア目当てで手に取ったが、「Vergenugte Ruh」BWV170の第1曲など豊作だ。

さらにだ。

その中に「Ich habe Genug」BWV82の第3曲「Schlummer ein,ihr matten Augen」が収録されている。メゾソプラノ版のCDは我が家にこれだけだ。

2024年3月 3日 (日)

たとえばBWV82

「バッハ作品目録2022年版」の勢いや恐るべし。目次や索引あるいは凡例で盛り上がって、肝心の中身はということで、ずっとはまり込んでいる「Ich habe Genug」BWV82のページを覗いてみる。

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こんな具合だ。BWV82が「1,2,3」という具合に細分化されている。何かと思えば独唱の声種別になっているのだ。もっとも一般的なのは無論バス用でそれがBWV82-1だ。ソプラノ用がそれに次ぐBWV82-2で、あろうことかホ短調に差し替えられている。最後のBWV82-3はメゾソプラノ用でこれはバスと同じハ短調という具合だ。

第1曲から第5曲まで冒頭の1小節だけが譜例として掲載されている。テキスト作者の名前も見えるし、その原本の出版情報も詳しい。初演は「おそらく1727年2月2日」と読める。もちろんマリア清めの祝日だ。

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というわけでページをめくるとBWV82-2の譜例まである。これはソプラノ用なのでホ短調で記譜される。BWV-3のメゾソプラノ用はバスと同じハ短調というわけで省略かと納得。テキストなどはBWV82-1参照となっているのに、初演だけはBWV82-1とは違う日付になっている。1731年と1736年の2月2日だ。なんとしてもマリア清めの祝日ということだ。

BWV82-2の直下の「Besetzung」は編成だ。「S」はソプラノで、直後の「*」は独唱を表す。「VlⅠ/Ⅱ」はヴァイオリン1と2。つまりファーストヴァイオリンとセカンドヴァイオリン。「va」(ヴィオラ)の後の「BC」は紀元前ではなくて「バッソコンテヌオ」の略で「通奏低音」だ、などとのんきに読んでいてはいけない。その前の「Fl trv」が「フルートトラヴェルソ」だが、これが驚き。バス用やメゾソプラノ用では、オーボエになってるからだ。そういえば我が家のCDでもソプラノ用はオーボエの音がしないのでおかしいと思っていたが、これにて解決。

独唱がテノールのビオンディ盤もトラヴェルソだったということは、ソプラノ用の楽譜で歌っているのかと妙に納得。

この手の楽しみが延々と続いているということだ。

2024年3月 2日 (土)

唖然陶然

あれからずっとはまっている。「バッハ作品目録2022年版」通称「BWV3 」のことだ。見れば見るほどほれぼれする。全編にほとばしるドイツ語をものともせず浸りきっている。辞書片手とはいえ本当楽しい。

凡例だけで数ページある。パート名、楽器名の略称だったり、原典所蔵の博物館の記号だったり、これでもかとばかりの念の入れよう。この手の深入りの仕方は、ドイツ的と感じる。理詰めに次ぐ理詰め。シンプルなロジックの堆積が、明晰さと同居する。

変に日本語になっていなくてよかったとさえ思える。苦労して意味が分かった時の爽快感がその一例だ。点在していた複数の疑問が、ロジック1つの解明で鮮やかに連結するという体験は他では得られまい。

こうした音楽学の台頭は19世紀。実はブラームスの生きた時代に重なる。そしてそのきっかけはメンデルスゾーンによって立ち上げられたバッハ復興だ。没後一旦は忘れられていたバッハを掘り起こす過程でおきた。そしてブラームスの親友フィリップ・シュピッタの著わした「バッハ伝」こそがその最初の果実だ。作曲家の生涯や作品への体系的なアプローチが確立した。

あっと驚いたあと、恍惚がやってくる。この繰り返しだ。

2024年3月 1日 (金)

続くものだ

昨年12月1日に「バッハとたどる教会暦」と銘打って事実上のカンタータ特集を立ち上げてから、3か月経過した。

日曜日を中心に礼拝に関連するバッハのカンタータを取り上げるというコンセプトなのだが、それ以外の日にもバッハネタが敷き詰められている。我が家の家族ネタの他、訃報を含む時事ネタあるいは季節ネタを時々ちりばめてはいるものの、意外とバッハネタが続いたので驚いている。

しめしめ。こう見えて凝り性。

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