マンフレート・クレメント
オーボエに軸足を移してカンタータを聴き始めてすぐのことだ。
きれいな音。華麗な出番がキレッキレであるというよりも、単なる伸ばしの音がきれいな人だなと思った。リヒター先生のカンタータ選集のブックレットを見るとマンフレート・クレメントとある。そのつもりで聴き進めるとなんだかすごい人だと感じ始めた。同時にどこかで聞いた名前とも感じたが思い出せぬ。
旧東独生まれで、ドレスデンで研鑽を積み、ライプチヒゲヴァントハウスで主席奏者になったのが二十歳の頃とかいう強者だ。さる演奏会を機に西側に亡命してミュンヘンに居を構え、バイエルン国立歌劇場の主席奏者に就任。バルセロナからレアルマドリーに移籍したようなものかと。我が家にあるCDでいえば、クーベリックやコリン・デーヴィスのブラームスで出番があったはずだ。
こうしたミュンヘンでの経歴からかリヒター先生のバッハ管弦楽団にも参加したに違いない。三顧の礼で迎えられたかどうかは不明ながら、重要なソロが吹かせてもらえている。バスのディートリヒ・フィッシャー・ディースカウ先生に匹敵する位置付けかと納得している。
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