インタビューの証言
リヒター先生がカンタータの収録にあたってどんな楽譜を参照したのかわからぬと書いた。「旧バッハ全集」か「新バッハ全集」には違いないのだが悩ましい。
どこかにヒントはないものかと文藝別冊の「カールリヒター」を読んでいたらお宝情報があった。リヒター先生のインタビュー記事である。この中にで聞き手がリヒター先生に「どの楽譜が好きですか?」と直球の質問を投げている。インタビュー当時は「新バッハ全集刊行」から時間があまりたっていないので、愛好家には興味津々の話題だったのだろう。
リヒター先生の答えはなんと「旧バッハ全集」だった。
さらに聞き手は「新バッハ全集は最新の研究成果が盛り込まれてますが」と水を向けても、断固「旧バッハ全集」だと譲らないリヒター先生だ。「確かに研究成果は尊いけれど、誤植も多くてな」とは物騒な。「旧の方が印刷の具合もよくて、できばえが美しい」などと目からうろこのやりとりが続く。
収録にあたってどちらを参照したのかという二者択一ではなく、旧を基本に、必要に応じて新で確認したのかもしれない。
事は単純ではなさそうだ。
« リヒターの見た楽譜 | トップページ | ドーヴァーの7と11 »
コメント