面白さ格上
バッハのインヴェンションは元々クラヴィーア用の作品だというのに、これをヴァイオリンとヴィオラの二重奏に編曲したブライトコップフのグッドジョブに惹かれて、ひっそりと日々の練習に取り入れたところだ。これが想像の斜め100m上を行くヒットだった。
その楽譜にはパート譜がついていない。上下二段のスコアが15曲分見開き2ページに淡々と収載されている。
パート譜がないからこの状態の楽譜を見て練習するとヴァイオリンの動きがいやでも目にとまる。その上短い。無伴奏チェロ組曲ヴィオラ版や、無伴奏ヴァイオリ作品のヴィオラ版に比べると1曲1曲がとてもコンパクトだ。それなのに曲としての起承転結があり、調ごとのフィンガリング上の特性も律儀に収まっている。
15の作品を見渡すとシャープやフラットは最大4個止まり。長調8で短調7という見事なバランス。長大な休みはなく、ほぼずっと弾きっぱなし。テンポ指定はないからゆるりと指ならしをするに最適。拍子もさまざま。8分の3や8分の6、8分の9など3個一組系の作品も適度に混じる。
はっとするような転調。増4度の罠。要所に配置される装飾音符。こんなに短いのに見所盛りだくさん。
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