恐るべき辻褄
「ppp」の話をする。ブラームスが作品に用いた最弱のダイナミクスである。71箇所の用例が存在するが、交響曲には7箇所だ。そのうち4箇所が第4交響曲の中に現れる。律儀なことに各楽章に1つずつ割り当てられている。
「ブラームスの辞書」の中では「ppp」に「響きの底」を手際よく指し示す機能を想定している。全楽章ソナタ形式の第4交響曲にあって、そうした機能を遺憾なく発揮している。
- 第1楽章243小節目(展開部)弦楽器
- 第2楽章106小節目(コーダ)ファゴット、ホルン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス
- 第3楽章163小節目(展開部)弦楽器
- 第4楽章120小節目(展開部?)ファゴット、ホルン、トロンボーン
いずれ劣らぬ見せ場になっている。第2楽章以外の出番すべてが展開部になっている。第2楽章が展開部の省略されたソナタ形式であることを考えるとまさにソナタ形式における「響きの底」になっている。
さらにこのうち真正のソナタ形式を採用する第1楽章と第3楽章に注目したい。上記リストではどちらも弦楽器になっているが、実はこの他にも不気味な共通点がある。
- 旋律という切り口におけるアンサンブルのリーダーシップがチェロにある。
- 一連のフレーズの到達点に弦楽器のピチカートがある。
- そのピチカートが合図になって再現部が始まる。
この種の恐るべき辻褄がまさにブラームス節の根幹を形成していると考えられる。







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