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2026年3月17日 (火)

仄めかし

第3交響曲の話だ。第2楽章冒頭はクラリネット2本とファゴット2本に委ねられた牧歌。朴訥な旋律が粛々と進む。交響曲の楽章がこんな地味な編成で立ち上がっていいのだろうかと思うくらいだ。

不思議な現象が一つある。これら4本の楽器のうち1番クラリネットが最高音域の位置にあって旋律を受け持ち、他の3本はこれを包み込むという構造になっている。1番クラリネット担当の旋律は1小節単位のフレージングになっている。つまり小節の切れ目がスラーの切れ目だ。これを包み込む側の3本は、小節の切れ目がスラーの切れ目になっていない。四分音符3つでスラーが途切れ、4拍目から次の小節の3拍目までスラーがかけられている。

目立つという程でもないが不思議な光景だ。第2楽章が進むにつれて次第にタネが明らかになる。伴奏側に現れた「4123」というフレージングが実は曲中の主役なのだ。スラーの切れ目が4拍目直前に置かれるフレージングが主流になるし、C主和音が4拍目に置かれることもしばしばだ。拍節が1拍前にズレることを楽しむ意図さえ感じられるのだ。

楽章冒頭の不思議な光景は、この楽章がそうした拍節のズレを味わう音楽であることの仄めかしであると感じている。拍節のズレを楽しむ作品だからこそ、楽譜通り淡々と変な小細工無く演奏させたいとブラームスは考えていたと思う。

冒頭に敢えて「Semplice」(単純に、淡々と)と記した理由をそのあたりに求めたい。

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