A面とB面
コンパクトディスク(CD)が登場する前、レコードが花盛りだった。レコードの表と裏のことをそれぞれA面とB面と呼んでいた。交響曲などの長い曲はA面だけに収まらないこともしばしばだった。大抵は第2楽章と第3楽章の間で、よっこらしょっとレコード盤を裏返したものだ。レコード会社のマーケティングの都合で、収めようと思えば収まるのにわざわざ2面にまたがるようにしていたケースは少なくないと思われる。
ブラームスの交響曲は、おそらくどれも片面に収まるのだと思うが無理矢理両面に分けられていたと思う。中には片面に収められているレコードもあったが少数派だった。普段聴くときは途中での裏返しが面倒なので片面に収まったレコードが愛聴盤になったりしていた。ドイツレクイエムなどは両面でも収まらないこともあった。CDになった今も2枚組が散見される。
レコードを企画する際にはこのAB両面への曲の割り当てが知恵の絞りどころだったと思われる。A面に収まる長さの曲であれば、裏側のB面に収める曲を考えねばならぬ。この組み合わせが思案のしどころなのだ。何らかの意図ある配備が求められたのだ。カップリングという概念の発生だ。ビートルズのアルバムなどはAB両面への曲の配備が相当練り上げられていたと思う。A面トップとB面ラストはもちろん大切だが、A面ラストとB面トップにもある種のアクセントが設定出来るので、それを上手に利用していたと思う。CD化されて裏返し無く通して聴けるようになったのは、良いことだがこうした配置の妙は薄れた。
私が所属した当時、大学のオーケトラには奇妙な風習があった。何かと記念撮影をする機会が多いのだが、1枚目はみんな真面目に撮る。大抵「ハイもう一枚」となるが、この2枚目のことを「B面」と呼んでいた。シャッターを押すタイミングを狙って悪戯が仕掛けられるのだ。将棋倒しを狙って後ろから押す奴、横から中央にダイブする奴、好きな子の前に飛び出す奴さまざまだった。残された写真を見て思うのは、このB面の方が圧倒的に面白いということだ。
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