シンメトリーの多面性
もっぱら「対称性」と解されて疑われぬ言葉だ。我がブログ「ブラームスの辞書」もときどき「シンメトリー」というキーワードで検索される。アクセスが増えるのは歓迎なのだが、実は少し落ち着かない。
シンメトリーと一口に申してもいろいろ種類がある。中学校でさえ既に「線対称」「点対称」と2種類を習う。線を折りたたむか点を中心に回転させるかである。何が基準かによって対称になったりならなかったりするのが普通だ。
だからである。「シンメトリー」でブログ「ブラームスの辞書」にたどり着く人が、どんなシンメトリーを想定しているか解らないことが落ち着かない理由である。
ブラームスの作品はしばしばバッハとともに「シンメトリー」という切り口での議論の対象になることが多い。落ち着かないとばかり嘆いていないでそれらを整理することにした。
<旋律のシンメトリー>このパターンは楽譜上の音符の配置を考えると明らかになることが多い。
- 旋律が「ドレミレド」と動けば。ミを中心としたシンメトリーと解される。ブログ「ブラームスの辞書」が「ブラームスターン」と名付けた「CHC」の音形もこの一種だ。
- 旋律が「ドレミ」と動き、バスが「ドシラ」と動けばこれも「ド」を中心としたシンメトリーと解される。バッハの「鏡像フーガ」はこの典型だ。
- 第2交響曲第4楽章の第1主題第2句は、提示部と展開部で鏡像を成す。同時ではないがシンメトリーだ。第1交響曲第1楽章第一主題と小結尾主題もまた鏡像関係にある。という具合に実例はいっぱいある。
<調のシンメトリー>
- フラット3個の短調であるハ短調と、シャープ3個の短調である嬰ヘ短調は、どちらもクララに関係がある。イ短調を中心としたシンメトリーを形成する。
- 同様にフラット2個のト短調と、シャープ2個のロ短調をシンメトリーと見るとき、2つのラプソディーop79はピタリとこの調関係にある。
- 第一交響曲は第2楽章がホ長調でシャープ4個、第3楽章は変イ長調でフラット4個だ。つまりこれも調号無しのハ長調を中心としたシンメトリーだ。
<形式のシンメトリー>
- ドイツレクイエム全7曲は第4曲を中心としたシンメトリーと解されることが多い。
- ブラームスのピアノ小品ほとんどが採用する三部形式自体がABAというシンメトリーと解し得る。
これらのうちのどの話がしたいのか、実際の客人であるなら真っ先にお尋ねするところである。







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