ppの使い分け
「ハイドンの主題による変奏曲」op56の話をする。
主題に8つの変奏曲が続き、最後にパッサカリアのフィナーレで締めくくられる。8つの変奏のうちの5番目と8番目は何かと共通点が多い。
まずは全体を支配する雰囲気。薄明かりの中を妖精が飛び回っているかのようだ。基本のダイナミクスは「pp」だ。断固「pp」である。第5変奏では時折「f」になることもあるが、1小節と持たずに「pp」に崩れ落ちる。以下の通り他にも共通点が多い。
- 「B-A-B」という音形で立ち上がる。
- 「8分音符6個」切り口を軸に、4分の3拍子と8分の6拍子もてあそぶ感じ。
- 曲の最後には弦楽器のピチカートが現れてけじめをつける。
相違点ももちろんある。調性は変ロ長調と変ロ短調になっている。発想記号は「Vivace」と「Presto non troppo」だ。第8変奏側にのみ弦楽器が弱音器を装着する。
もっとも興味深い相違点は、第5変奏の方には全編に「leggiero」がちりばめられているのに、第8変奏には全く現れないことだ。「ブラームスの辞書」執筆に先立つブラダス入力中に気付いた。どちらも薄明かりのような曲想だが、「leggiero」の配置についてブラームスが確固たる考えを持っていたことは確実である。
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