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カテゴリー「232 交響曲第2番」の28件の記事

2017年11月 3日 (金)

もしかしてC

昨日の記事「Dという根幹」で、ブラームスの4つの協奏曲には「D」を主音とする楽章が必ず一つは含まれると書いた。同じ事を交響曲で考えるとどうなるかというのが本日の話題だ。

全ての交響曲で顔を出す調は無い。惜しいのが「C」だ。第2交響曲以外の3曲で全て顔を出す。1番は両端楽章でキッチリ現れる。3番は第2楽章がハ長調で、第3楽章がハ短調である。第4番は第3楽章がハ長調になっている。「C」系と「D」系があるような気がする。もちろん協奏曲は「D」系だ。

大学祝典序曲はハ短調だから「C」系だなどと笑っている場合ではなかった。それと好一対をなす悲劇的序曲はニ短調つまり「D」系だった。

2017年8月14日 (月)

叩き分ける

交響曲第2番の第4楽章アレグロ2分の2拍子も大詰め、405小節から弦楽器が8分音符で音階行きつ戻りつを始める場所で、ティンパニもまた8音符でD音を叩く。一段落の413小節目では、これが「tr」に変わって3小節半続く。そしてクライマックスの417小節目からは、6連符になって2分音符を6つに割る。

アレグロで疾走するホンのわずかの間に、8分音符、トレモロ、6連符という具合に刻み方が変わる。音程はラとレだけ、単に刻みの密度だけが表現の手段だ。CDによっては、この変化がクッキリと、聞こえてこない時があって興ざめすることがある。

遠い昔、大学オケで初心者のヴィオラ弾きだった私は、ブラ2のクライマックスのこの場所のティンパニを聞きながら、必死だった。ティンパニの刻み分けをヴィオラの位置から聴くのは、楽しみの一つだった。

2017年7月 9日 (日)

ウインブルドン

テニス全英選手権は、140年前の今日1877年7月9日、第一回が開催されたという。テニス4大大会では最古の歴史を誇る。

その年、ブラームスは6月9日からオーストリア南部の保養地ペルチャッハで夏の滞在に入っていた。9月17日にリヒテンタールに移るまでの長い滞在の間、おそらくテニスなんぞ眼中になかったはずだ。第二交響曲作曲が佳境にさしかかっていたからだ。

2015年8月 9日 (日)

逆転の3度進行

3度好きのブラームスにあっては、旋律が3度でパラレルに進行することは珍しくない。おいしい場所であることは折り紙付きだが、あまり頻繁に見かけるので、さすがに「ブラームスの辞書」でも全部を数えるなどという芸当は出来ていない。

さて3度で旋律を進行させる場合、3度を形成する各々の声部にどのような楽器をあてがうかも興味深い。一般通念上低いとされる楽器が上の声部を担当するケースがしばしば出現して、マニアを狂気させている。

もっとも有名なのが第2交響曲第1楽章の82小節目だ。いわゆる第2主題といわれる部分。チェロの3度下にヴィオラが潜り込んでいる。「This is Brahms」という表現がピッタリの芳醇な響きがする。おまけにどちらのパートにも大変珍しい「Cantando」という言葉が奉られていて、ここが並みの場所でないことが明示されている。上で旋律を弾くチェロもだろうが、チェロの下に潜り込むヴィオラの快感もただ事ではない。

まだある。弦楽四重奏曲第2番第1楽章の第2主題だ。46小節目で初めて提示されるときには両方のヴァイオリンが3度で進行する。もちろん上の声部は第1ヴァイオリンだ。62小節目で提示の確保が行われるときには、旋律はオクターブ下に移されてヴィオラが奏することになるが、ヴィオラを3度下から支えるのは一回目と同じく第2ヴァイオリンなのだ。同じ旋律が響きを微妙に変えて提示されていて興味深い。まさに逆転の3度を味わうためにある部分なのだ。

ヴィオラがチェロの下に潜っては大騒ぎ、セカンドヴァイオリンの上に出たと言っては大はしゃぎの、いけないヴィオラ弾きである。

2014年6月20日 (金)

4番の位置

交響曲1つ1つに独立したカテゴリーを付与した結果、それら各曲の言及回数が図らずもランキング化されることになった。本日現在の本数を以下に列挙する。

この結果は、ブログ開設以来無意識に積み上げたものだ。1番への集中は、のだめネタも貢献している。無意識だっただけに、これらの数値には意味がある。本日以降、この数値が刷り込まれてしまうため、必ずしも公正とは言えなくなる。

案の定次女がブラ4に挑戦すると知っただけでテンションが上がってしまい、鉄道特集を4日も中断してしまった。この先次女のブラ4ネタが膨れ上がると、鉄道特集のエンディングが年末にずれ込む可能性が出てきた。嬉しい悲鳴。

2014年6月19日 (木)

プレゼント返し

昨日言及した第3次カテゴリー改訂の目玉は「交響曲独立カテゴリー体制」の導入だ。

既存のカテゴリー「205 交響曲」にはブラームスの4つの交響曲が雑多に放り込まれていた。2033年までの継続を考えるとそれを放置するのはしのび難い。さらにそこには、ブラームス以外の作曲家の交響曲を話題にした記事も混入している。だからそれを整理したと書いた。

しかしそれだけでは必ずしも正直ではない。

次女が大学オケデビューでブラームスの第4交響曲にチャレンジすることが決まったことが大きなモチベーションになった。過去の記事をあたって、それらに交響曲各々のカテゴリーを再付与するのは、簡単ではない。一通り読まねばならないから時間がかかる。必要性を感じながらも、手が出せずにいた。

このたび次女のブラ4挑戦は、またとない機会だ。4番関連記事だけを抜き出すことも考えたが、テンションが上がっているうちに全4曲で実施することにした。

初めてブラームスの4番に挑戦する次女へのプレゼント。既に今日までに第4交響曲に関連する記事は40本を超えていた。それらを一括して閲覧することが可能になった。父の日のお返し。

次女のブラ4にブラームスのご加護を。

2010年3月25日 (木)

舞曲楽章の掟

昨日の記事「舞曲メーカー」でドヴォルザークの交響曲の第3楽章だけを抜き出してiPodで聴いていると書いた。程なく気付くのだが、ドヴォルザークの交響曲の第3楽章は、みな先頭楽章と同じ調になっている。例外は6番と8番で、どちらも第1楽章の同主短調になっている。どうやらこれは、古典派にあってのお約束らしい。ベートーヴェンだって7番を除いて皆、これを守っている。

ところが、ロマン派になるとこれを守らぬ輩が増殖する。シューマンは2番と4番だけ守っている。ブラームスはと見ると、意外と大胆で4曲全部守れていない。

  • 1番ハ短調→変イ長調
  • 2番ニ長調→ト長調
  • 3番ヘ長調→ハ短調
  • 4番ホ短調→ハ長調

そもそも楽曲の形式を見れば、舞曲楽章と呼ぶのさえはばかられる。実質的に「管弦楽のためのインテルメッツォ」に等しい位置付けた。ブラームスは表向きカッチリとソナタ形式にとどまりながら、内側から解体している感じがする。

交響曲に関して申せば、ドヴォルザークは意外と律儀である。

2009年10月 8日 (木)

ハバネラ

中米キューバに起源を持つ舞曲で「Habanera」と綴られる。そういえばキューバの首都はハバナだった。やがて船乗りの手によりスペインに伝えられ、そこを起点にブレークする。その独特なリズムが欧州を席捲しスペイン以外の地域では、スペインの舞曲であるという勘違いまで起きた。

申すまでも無く名高いのはビゼーの歌劇「カルメン」に登場するハバネラだ。人呼んで「恋は野の鳥」である。奔放なヒロインのキャラを一瞬で説明する圧倒的な説得力が売り物だ。パリ市民がスペイン情緒を楽しむための小道具でもある。

ここで終わってしまうと「どこがブラームスと関係があるのか」という疑問が生じてしまう。

カルメンの楽譜「ハバネラ」のページ冒頭には「Allegretto quasi Andantino」と書かれている。音楽用語の大御所「Allegro」や「Andante」が、縮小語尾によってモデファイされている上に、解釈が難儀な「quasi」に橋渡しされている。曖昧でつかみ所のない用語キャラがそのまま、どこか移り気なカルメンというキャラにかぶって見える。

「Allegrretto」と「Andantino」の拮抗は、ハバネラだけにとどまらずカルメン全体に露見している。ハイライトに取り上げられるような有名な歌には「Allegretto」や「Andantino」が多い。さらに「アルルの女」第2組曲の中、フルートのソロで名高い「メヌエット」は「Andantino quasi allegretto」だ。どうやらビゼーはこのあたりの微妙な出し入れが好きと見たが、もっと詳しく楽譜を当たらないと断言は出来ない。「ビゼーの辞書」でも書かねばいけない。

私が「ビゼーの辞書」とまで思い詰めるには、訳がある。「Allegretto」と「Andantino」の拮抗ならブラームスにもある。

交響曲第2番の第3楽章冒頭だ。「Allegretto grazioso quasi andantino」と書かれている。「アレグレット・グラツィオーソ」がほとんど「アンダンティーノ」だとおっしゃっている。ブラームス交響曲の第3楽章に特有の曖昧指定だ。

どちらも「Allegretto」と「Andantino」の拮抗を味わう音楽だとひとまず解しておく。

いつにも増して強引。

2009年3月 7日 (土)

ウイーンフィル

もちろんウイーンフィルハーモニー管弦楽団のことだ。サッカーの世界のようなオーケストラランキングがあったら間違いなく上位の常連である。

1842年創設のウイーンフィルは、幾多の指揮者とともに数えきれない伝説を残している。ブラームスが後半生に身を置いたウイーンのオケだからブラームスとの関係は大変密接だ。2番と3番の両交響曲がハンス・リヒターによって初演されている。ウオルター・フリッシュ著、天崎浩二訳「ブラームス4つの交響曲」(音楽之社刊行)の63ページに興味深いデータがある。

1842年の創立から1974年までの132年間で、さまざまな交響曲をウイーンフィルが取り上げた頻度だ。第1位はベートーヴェンの5番で52回だ。ブラームスの各交響曲は以下の通りである。なんだか少ない気もするが、他の作品との相対比較なら問題なかろう。

  • 1番 33回
  • 2番 33回
  • 3番 26回
  • 4番 33回

これらの上を行くのはベートーヴェンの終わりの7曲とシューベルトのグレートの計8曲だけだそうだ。1870年代の後半になるまでブラームスの交響曲は生まれていなかったことを考えると、驚異的である。

4番33回のうちに数えられているか不明だが、1897年3月7日のハンス・リヒター指揮による演奏は名高い。体調不良のブラームスを会場に迎えたのだ。ブラームスの命はこの時残り1ヶ月を切っていた。

満場の聴衆はブラームス本人の来場を知り万雷の拍手でブラームスを讃えたという。この演奏会に言及する記事はどれをとっても感動的である。

今からちょうど112年前の今日の出来事だ。

2008年11月20日 (木)

フリーラン果汁

ワイン製造に関わる用語だ。果実を搾る工程の前に重力によって自然にしたたり落ちる果汁を指す。フリーラン果汁を回収した後、果実を搾ることで得られる果汁とは区別される。これを原料としたワインは一般に苦味を伴わないピュアなワインになるため大変珍重されるという。

ブラームス自身が知人に語ったところによると、楽想が湧いたらメモにとってしばらく放っておくと、いつのまにか自然に形が出来て行くという意味のことを言っている。また「大抵は最初に思いついたものが最善で、あれこれいじり回すと悪くしてしまうことのほうが多い」とも言っている。ここでも「フリーラン」が珍重されているようだ。この文脈でうっかり第2交響曲を例に挙げると、第1交響曲が相対的に地位を下げかねないが、何だかあのニ長調はフリーランの香りがする。

ブログの記事も同じだと思う。自然にほとばしり出るネタが一番だ。ネタを搾り出すようでは、記事の質も怪しいと思わねばなるまい。

フリーラン果汁だけから作るワインもいいが、時にはしっかり搾って、じっくり寝かせた記事も欲しいところである。推敲しておかしくしてしまわないのもテクのうちだと思う。万が一おかしくしてしまったら、有無を言わせず廃棄というブラームス風の潔さとセットならば問題はあるまい。月並みな結論だが、要はバランスと見た。

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