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カテゴリー「239 二重協奏曲」の3件の記事

2011年1月 3日 (月)

ライプチヒの誇り

11月26日の記事「都市対抗初演ダービー」の優勝をライプチヒに決定する。受賞理由は以下の通りだ。

  1. 対象7曲全てに加えピアノ協奏曲第1番を含めた8曲全てを、完成後初のシーズン中に取り上げている。
  2. ヴァイオリン協奏曲の世界初演を開催している。
  3. 4つの協奏曲全てが1月に演奏され、とりわけ対象となる3つの協奏曲の初演が全て元日になっているこだわりがある。偶然ならなおのこと凄い。
  4. ピアノ協奏曲第1番に寄せられた、不評を覆す大方針転換を感じさせる。

上記4にも書いた通り、1859年1月27日のピアノ協奏曲第1番の初演は、大抵の伝記が言及している大失敗だった。さらに第一交響曲も他の都市に比べて冷ややかな反応だったっと伝えられている。加えてライプチヒを本拠とする大出版社ブライトコップフとは、弦楽六重奏曲第2番にからむトラブルから絶縁状態に至っていた。

ライプチヒの鮮やかな方針転換の原因は何だろう。

1879年1月1日のヴァイオリン協奏曲の初演ではないかと感じている。本来初演は1878年のうちに別の都市で済ますはずが、作曲の微調整が長引き結果としてライプチヒに初演のお鉢が回ってきたと推定した。それが良いキッカケになったのだ。バッハが永らく奉職したことで知られる、ライプチヒ・トマス教会が、ブラームスにカントル就任のオファーを出したのが、まさにその年1879年だった。

1886年2月18日にはピアノ協奏曲第2番がライプチヒで演奏された。第1番のリヴェンジを果たす大成功となった。

おめでとうライプチヒ。

2011年1月 1日 (土)

元日症候群

昨日大晦日の記事「越年」で、ブラームスのヴァイオリン協奏曲の初演が越年したと書いた。1879年1月1日ライプチヒが初演だった。奇妙な偶然がある。一昨日の記事「皆勤都市」を注意深く読むと判る。

初演ダービーの対象となった3つの協奏曲のライプチヒ初演を見るがいい。

  1. ヴァイオリン協奏曲 1879年1月1日(世界初演)
  2. ピアノ協奏曲第2番 1882年1月1日
  3. ヴァイオリンとチェロのための協奏曲 1888年1月1日

全部元日だ。これが交響曲ともなるとライプチヒ初演は全て元日ではない。だから協奏曲がいっそう際立つ。私好みの偶然。この話を本日公開したいがために、「ワイン特集」の次に「初演特集」を持ってきたおめでたい脳味噌。今年もまたこの手のおバカなこだわりと共に。

あけましておめでとうございます。

2006年3月 4日 (土)

三歩下がって師の影を踏まず

大好きな言葉である。ブラームスのヴァイオリンとチェロのための協奏曲第二楽章を聴くとこの言葉を思い出す。

ホルンの信号に続いて歩みを始める弦楽器のダイナミクスを見るがいい。2本の独奏楽器には「f espressivo」が奮発される一方で、オーケストラ側の弦楽器には「poco f  ma dolce」が置かれている。独自の動きを採るコントラバスやヴィオラはともかく、独奏楽器とユニゾンのヴァイオリンやチェロまで「poco f ma dolce」で統一されている。

「少し強く、くれぐれも優しく」と解されよう。この「ma」を逆接の意味「しかし」と解することは心情的に許せない。断じて強調の「ma」でなくてはなるまい。

この場面、主役の独奏楽器はオーケストラのヴァイオリンやチェロと同じ音域にとどまっている。総奏に埋没しかねない状況なのだ。この状況にあってなお、ソリストたちは独奏楽器たる誇りを保ち続けなければならない。そこで一計が案じられている。独奏楽器をユニゾンで取り囲む弦楽器たちに特段の配慮を求めるという意味がこの「poco f ma dolce」にこめられているのだ。つまり「三歩下がって師の影を踏まぬこと」が求められている。

恩師たる独奏楽器の影を踏まぬかのような万全の配慮が弦楽器群に求められてはいまいか?そうした絶妙のバランスの上でのみ、このユニゾンが成り立ち得ると考えている。独奏楽器の「f espressivo」と弦楽器群の「poco f ma docle」の二つの言葉の微妙なせめぎ合いまでもが鑑賞の対象だと思われる。

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