弦楽四重奏の夕べ
一昨日花見客で賑わう上野の山に行ってきた。東京・春・音楽祭2024の中、ヴィオラ奏者川本嘉子先生のお仲間が集う「ブラームスの室内楽Ⅺ」を聴いてきた。
東京文化会館小ホールは、ほぼ満席。演目はブラームスの弦楽四重奏曲全曲を番号順に一気。
チェロ向山佳絵子先生とともにがっちりと下から支えながらヴァイオリン2本が縦横にという構図。とりわけピアニシモの和音が繊細。3曲とも緩徐楽章の聴かせ方がとりわけ念入り。ピチカート1つを心の奥にそっと置きにくる感じ。
1番冒頭の旋律を第一ヴァイオリンがしずしずとアップボウで始めるのを見て生演奏はいいなと軽い震え。
むかーしから大好きだった2番のフィナーレの良さを再確認できた。ブラームスの意図がクリアに再現されてくる。ちょっとしたリズムのいたずらが整理されきっている。
休憩をはさんで3番。3楽章は期待通りの川本先生の独壇場。番号順の演奏だからこの曲が最後に来るのだが、やはり川本節をラストに据えるのは必然だと思わされる説得力だった。弦楽四重奏曲においてヴィオラを表に引っ張り出したブラームスの勝利。
で、毎度の結論はチェロだ。向山先生が要所を締める。それをスコア上に配したのはブラームスではあるのだが、意図をくみ取って音にしている向山先生の貢献度はもはや作曲者と五分五分だ。
昨年末からバッハ漬けだった脳みそにしんしんと染みこんでくるブラームスだった。
しあわせ。
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