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カテゴリー「257 ピアノ四重奏曲第1番」の16件の記事

2015年8月27日 (木)

弱音器

一部の楽器に装着されるツール。装着を始める場所に「con sord.」と記され、使用解除の場所に「senza sord.」が置かれる。字義通り「音を弱める」という機能もあるにはあるのだが、音色の変更の側面の方がより強いとも感じている。

弦楽器の場合には駒に装着される。弦の振動をボディーに伝える通路に当たる駒に取り付けることによって、結果としてボディーへ伝達される振動を抑制することで音が弱くなる。しかしながら、音を弱くするだけならダイナミクス記号を調節すれば事足りると思われる。むしろ装着することによる音質の変化が狙いである場合がほとんどだと言えよう。あるいは、特定のパートを際立たせるためにその他の楽器に装着させるというような用法が一般的だ。

もちろんブラームスにもいくつかの実例がある。

  1. 交響曲第1番第4楽章31小節目のヴァイオリン。この一つ前の小節は「Piu andante」である。つまり第4楽章始まって以来の喧騒に終止符を打つべきホルンがアルプスの旋律をもって立ち上がったところである。「空気になれ」という意味の弱音器の装着である。ヴァイオリンとヴィオラに同様の役割を命じておきながら弱音器はヴァイオリンだけになっている。60小節目の3拍目まで、ずっと装着しているが、62小節目のアウフタクトからの名高い「歓喜の歌」の時には弱音器がはずされる。4拍の間に手際よくはずさねばならない。バタつかずにスマートにはずすのはなかなか難しい。ヴィオラの席から見ていると、ヴァイオリンの奏者たちが次々と手際よく弱音器をはずす光景は、なんだか春の訪れっぽい気がして美しい。
  2. ピアノ四重奏曲第1番第2楽章冒頭のヴァイオリン。チェロはもちろん6度下でパラレルに動くヴィオラにはお構いなしである。ヴァイオリンだけが弱音器装着の対象になっている。
  3. ハイドンの主題による変奏曲322小節目。第8変奏だ。コントラバスを除く全部の弦楽器に装着が求められている。フィナーレに突入する際に、取り外す必要がある。手際よくはずすのが難しい。バタバタとはずすのは興ざめである。
  4. ピアノ三重奏曲第3番第2楽章のヴァイオリンとチェロ。素朴な疑問がある。続く第3楽章にはヘンレのスコアにもマッコークルにも「senza sord.」と書かれていないが、みんなはずして演奏しているように思う。「con sord.」の効力は同一楽章内に限るということなのだろうか。
  5. 交響曲第3番第4楽章 再現部の入りが弱音器をあてがわれたヴィオラに振り分けられている。見せ場である。

最後にヴィオラ弾きとしては絶対に忘れられない箇所を一つ。弦楽四重奏曲第3番第3楽章だ。四重奏曲の4つの楽器のうちヴィオラを除く3つの楽器に弱音器装着が求められている。ヴィオラはお構いなしだ。協奏曲の独奏楽器クラスの持ち上げられ方である。ここでも続く第4楽章冒頭には「senza sord.」の書き込みが抜けている。

2015年8月22日 (土)

ヴィオラ弾きの祭典

大好きなピアノ四重奏曲第3番の売りは、ヴィオラ見せ場のてんこ盛りだ。そうでなくてもヴィオラへの偏愛を隠さないブラームスなのだが、同四重奏曲は本当においしい出番に満ちている。ヴィオラとピアノとの二重奏にはクラリネットソナタからの編曲によるヴィオラソナタが2曲あるのだが、出番としてのおいしさでは負けていない。

以下、我が家所有のCDをヴィオラ弾きをキーに録音年代順に列挙する。

①<Milton Katims>

  • 1952年録音。Vn:Josef Szigeti/Vc:Paul Tortelier/pf:Myra Hess
  • いやはや伝説の人。アメリカのヴィオラ奏者だが、楽譜の校訂や指揮でも名高い。1909年生まれ。
  • 錚々たるメンツ。私がヴィオラを習い始めたころ既に伝説だったヴィオラ奏者に加えてヴァイオリンもチェロもレジェンドだ。「スター掻き集め型」のメンバー構成。
②<Rudolf Streng>
  • 1956年録音。Vn:Walter Barylli/Vc:Emanuel Brabec/Jorg Demus
  • 早い話がバリリ四重奏団。これにデムスが加わるという黄金の布陣。2ndのオットーシュトラッサーが降り番で気の毒。良く見かける「常設カルテット-2nd+pf」なのだが、ウィーンフィルの1プルアンサンブルと見ることも出来る。
③<Wiliam Primrose>
  • 1958年録音。Vn:Szymon Goldberg/Vc:Nikolai Graudan/pf:Victor Babin
  • 大変珍しいピアノ四重奏専用の演奏団体フェスティヴァル四重奏団。アスペン音楽祭に集うマイスターが結成した。VnとVcは当時のベルリンフィルの主席奏者。
  • 私がヴィオラを習い始めたころプリムローズと言えば泣く子が黙った。
④<Micael Tree>
  • 1967年録音。Vn:Arnord Steihardt/Vc:David Soyer/pf:Artur Rubinstein
  • グアルネリ四重奏団とルービンシュタイン。「常設カルテット-2nd+pf」なのだが、一番のピアノ四重奏の録音では2nd奏者が弾いている。
⑤<Stefano Passagio>
  • 1968年録音。Vn:Eduard Drolc/Vc:Gorg Donderer/pf:Jorg Demus
  • ベルリンフィルの1プルアンサンブルだが、ピアノはチャキチャキのウィーン仕込というパターン。デムスはバリリとも協演していた。
⑥<Walter Trampler>
  • 1973年録音。Vn:Isidore Cohen/Vc:Bernard Greenhouse/pfMenahem Plesseler
  • ボサール三重奏団にトランプラーを招いたもの。「三重奏団+ヴィオラ奏者」というパターン。トランプラーは私がヴィオラを習い始めた頃既に、この道の権威だった。モーツアルトの五重奏では欠かせないメンバーだ。
⑦<Wolfram Christ>
  • 1982年録音。Vn:Thomas Brandis/Vc:Ottmar Borwitzky/pf:Tamas Vasary
  • ベルリンフィルの1プルアンサンブルだ。クリストの音、とても心地よく当時も今も憧れだ。今もまったく色褪せない。
⑧<Jaime Laredo>
  • 1986年録音。Vn:Isac Stern/Vc:Yo-Yo-ma/pf:Emanuel Ax
  • スターンとその仲間たち。いわゆる「スター掻き集め」型とも少し違って「お山の大将盛り立て型」とでもいうべきか。ラレドはヴァイオリンも達者。聴きどころはチェロのつもりで購入したが、ヴィオラも鳴っている。
⑨<Jiri Najnar>
  • 1988年録音。Vn:Pavel Hula/Vc:Vaclav Bernasek/pf:Jan Panenka
  • コチアン四重奏団をベースにした「常設カルテット-2nd+pf」だ。亡き妻の愛聴盤だ。
⑩<Bruno Giuranna>
  • 1996年録音。Vn:Isabelle Faust/Vc:Alain Meunier/pf:Derek Han
  • 国籍も世代もバラバラ。録音時20代の女流ファウストをベテランが取り囲むという「朝の連ドラ」型とでもいうべきか。
全10種。古い録音ばかりだ。

2015年8月20日 (木)

フェスティヴァル四重奏団

ピアノ四重奏専用の楽団。1955年ころ米国で結成された。

  • ピアノ ヴィクター・バビン
  • Vn シモン・ゴールドベルク
  • Va ウイリアム・プリムローズ
  • Vc ニコライ・グラウダン
いやはや珍しい。ピアノ四重奏曲演奏に特化した団体。ヴァイオリンとチェロはベルリンフィルのコンマスと主席チェロ奏者としてフルトヴェングラーの下で演奏していたという経歴。私はこのゴールドベルクが好きで、ヴァイオリンソナタのCDをよく聴いた。ヴィオラはプリムローズもこの道の名人だ。
ブラームスに限らず、ピアノ四重奏は、弦楽四重奏団を ベースにピアニストを別途連れてきて録音するか、スターソリスト4名をかき集めて録音するかどちらかであることが多い。この編成のためにわざわざ団体を結成するのは大変に珍しい。
遺されたブラームスのピアノ四重奏曲全3曲の録音は大変に素晴らしい。ひとことで何と言えば伝わるか難しいが、無理やり申せば「透明」かもしれぬ。つま先まで心配りが行き届いたとでも申すしか能が無い。どんな場所のいかなる「ff」でも均整を失わぬ演奏。3番の第三楽章に現れるブラームスが与えたチェロ最高の見せ場も、肩の力があり得ぬくらい抜けている。そそれでいて「pp」の引き出し数は数えきれない。
最年少のゴールドベルクでさえ49歳の頃の演奏。言ってみれば「親父四重奏」なのだが、澄み切った空を思わせる。果ては、こういう風に歳を重ねたいと。

2015年6月15日 (月)

電子ピアノの限界

転勤族をしている間、電子ピアノは重宝だった。サイズは手ごろだし、調律もいらない。

けれどもピアノ四重奏曲第1番第4楽章を練習しているとき、妻が困ったと言い出した。また鍵盤の数が足りない話かと思ったがそうでもない。いくら練習しても一定のテンポ以上早くは弾けないらしい。

ピアノでも電子ピアノでも一旦押した鍵盤から手を離すと、鍵盤は元に戻る。何度繰り返しても同じだ。電子ピアノは本物のピアノに比べてこの時の元に戻るスピードが遅いのだという。どんなに練習して早く弾けるようになっても、鍵盤が元に戻るスピードより早くは弾けないというのだ。ピアノ四重奏曲第1番第4楽章には46小節目でピアノにはじめて16分音符が現れるが、このことを言っている。80小節目以降115小節目までの16分音符も相当なモンである。

CDで聴く限りアルゲリッチなどは相当なテンポで弾いている。この曲に限らねば速いテンポの16分音符はもっとある。キーシンのハンガリア舞曲も大変なものだ。つまり猛烈なテンポで弾かれるそばから、次々と鍵盤が元の位置に復帰しているということなのだ。ピアノはピアノで、そのグレードによって性能に違いもあるのだろうが本物のピアノは大したものである。

ピアノのメカニックの精度と耐久性には今更ながら驚くばかりである。

そうそう、今日は亡き妻の誕生日だ。

2015年6月14日 (日)

どこがジプシー風

ピアノ四重奏曲第1番ト短調op25のフィナーレ第4楽章は、「Rondo alla zingarese」と書かれている。古来「ジプシー風ロンド」と解されている。「ジプシー風」の定義は、わかる人にはわかると言わんばかりに明示されていない。

32小節目に初めて現れる音階は以下の通りだ。

  • 嬰ヘ
  • 変ロ
  • 嬰ヘ

普通の旋律的短音階である。いわゆる「ジプシー音階」にはなっていない。ジプシー音階であるなら、「ハ」が「嬰ハ」に、「ホ」が「変ホ」でなくてはならない。属音「ニ」を半音で囲む必要がある。このあと同楽章には、この音型が繰り返し現れるが、「ジプシー音階」になっているところは一か所も無い。

同楽章が「ジプシー風」と呼ばれている根拠は音階以外の別の部分に求めねばならない。

2015年6月13日 (土)

3連続3拍子

シューベルトの「未完成交響曲」が未完である理由が「3楽章連続の3拍子」であるという説に触発されて、ブラームス作品にその例がありはせぬかと調べてみたのが記事「未完の理由 」だった。単一楽曲内において連続する3つの楽章が3拍子になるケースは1例も発見できなかった。

ところが、これに抵触する怪しいケースを新たに発見した。ピアノ四重奏曲第1番だ。

  • 第一楽章 4分の4拍子
  • 第二楽章 8分の9拍子
  • 第三楽章 4分の3拍子
  • 第四楽章 4分の2拍子

記譜上の拍子は上記のとおり。3拍子は3楽章に1個あるだけだ。ところが、この2楽章は特殊な音楽。3拍子系の複合拍子だから、振るなら3つ振りだ。メヌエットとスケルツォの融合ともいうべき構造になっている。広い意味では間違いなく3拍子だ。

加えてフィナーレも興味深い。記譜上は4分の2拍子なのだが、冒頭からしばらく、3小節単位のフレージングが続く。1小節を1拍と数えて、3つ振りするとはまる。

つまり第二楽章から3つ連続事実上の3拍子になっている。

2015年6月12日 (金)

un poco crescendo

poco意訳委員会の裁定に従えば「いくぶんクレッシェンド気味に」とでも解されよう。

  1. シューマンの主題による変奏曲op9 253小節目
  2. ピアノ四重奏曲第1番op25第2楽章107小節目
  3. ピアノ四重奏曲第1番op25第2楽章299小節目
  4. ピアノ五重奏曲op34第4楽章450小節目

上記の4箇所が存在するだけのレア指定である。一目で気付くのは初期の作品に限られていることだ。しかも全用例を通じて前後のダイナミクス表示が変化しない。つまり「un poco crescendo」は「pp」を「p」にしたり、「p」を「mp」にしたりも出来ないほどの微妙なダイナミクスの揺れと解し得る。起点のダイナミクスは上記の1番が「pp」であるが、残る3例は全部「p」になっている。つまり「f」系には縁のない指定だということになる。

「un」が脱落した「poco crescendo」は全部で90箇所を数える。用例が多いだけに分析の手がかりも多い。同時に存在する複数のクレッシェンドに度合いの差別化をする機能がはっきりと認められるのに対して、「un」が付着してしまうとその傾向もうかがえない。

この微妙さが、普段見過ごされていないか少し心配である。

2015年6月11日 (木)

何が異質か

昨日の記事「様式法則に対する悪行」で、ピアノ四重奏曲第1番ト短調が「様式法則に対する悪行」と形容されていると書いた。日本屈指の音楽系出版社の解説書でそう断言されているが、私は同意できないとも書いた。同意できない理由は3点。1つは「悪行」という語感について。2つ目は具体的根拠を欠く記述についてだ。3点目は、この表現の位置づけ。2番のオーソドックスさを強調する手段として言及されている点だ。

嘆いてばかりもいられない。

ブラームスの室内楽全24曲を俯瞰してみて、ピアノ四重奏曲第1番が抱える特異性をあれこれと挙げることは可能だ。

  1. ト短調の室内楽はピアノ四重奏曲第1番だけ。ロ長調やヘ短調、ニ短調だって1曲しかないから、あまり重視しなくてよい。
  2. 第一楽章提示部にリピート記号を欠く室内楽はこれがこれが初めて。これはマジ。
  3. 第一楽章展開部冒頭でリピートのフェイクがある室内楽はこれだけ。これもマジ。
  4. 第一楽章再現部が冒頭主題で始まらない。これもマジ。
  5. 第二楽章に舞曲楽章が来る。これも実例がないわけではないので参考程度。
  6. 第二楽章の様式。スケルツォとメヌエットの混合形。他に類例がない。
  7. 第二楽章の調。ト短調ソナタの舞曲楽章の調としてハ短調は異例だが、ブラームスの室内楽にあっては異端でもなんでもない。
  8. 第二楽章の形式 「Intermezzo」とある。室内楽では唯一だ。
  9. 第三楽章 テンポ「Andante con moto」は最速の緩徐楽章だ。
  10. 拍子。2~4楽章が実質的に3連続3拍子だ。これはマジ。
  11. 長さ。ピアノ三重奏曲第1番初版を除けば、最長の室内楽だ。

最低上記のような特色には、一通り言及した上で同四重奏曲が「特異だ」と言わないと、不親切だ。思い切った断言をするなら当然の措置である。

それにしてもなぜこれが悪行なのか理解できない。

2015年6月10日 (水)

様式法則に対する悪行

音楽之友社刊行「作曲家別名曲解説」第7巻ブラームスの230ページに存在する厄介な記述。ト短調ピアノ四重奏曲を指して

「様式法則に対する悪行」と言われたくらいにアブノーマル。

と記述している。同社刊行の「作曲家別名曲解説」は、ブラームス作品の全貌を手軽に俯瞰するには便利で、大変貴重だ。広く一般に浸透していると思われるが、時々大胆なことを根拠を示さないまま断言することがあり、面食らう。本件はその実例だ。

「様式法則に対する悪行と言われた」という書き方から見て、「過去に誰かが言っていた」ということなのだろうと推測する。カルベックのブラームス伝あたりは、こうした突発的な表現が多いから、あるいはという気もする。

これだけなら、「過去の批評家が言っていた」だけとも受け止められるが、そう楽観的でもない。なぜならこの「様式に対する悪行」という表現は、ピアノ四重奏曲第1番の解説ではなく、その次の2番イ長調を解説するページに存在するからだ。2番イ長調のピアノ四重奏曲が、かなりオーソドックスな形式で書かれていることを対比強調するために、1番ト短調を「形式法則に対する悪行」と形容しているのだ。1番ト短調について筆者は「自分も変だと思う」ということが前提だからこそ、それに対するノーマルな2番と言っているのだ。「過去の誰かが言っていたけどオレもそう思う」ということに他ならない。

一方同書におけるピアノ四重奏曲第1番についてのページを隅から隅まで見渡しても、何故「様式法則に対する悪行」と言われているのか書いていない。これだけ大胆に断言しているのに、根拠を示さないと同解説書の読み手は消化不良だろう。

私はそうは思わない。仮にカルベックが出典元だったとしても私はこの表現には同意しない。少なくとも「悪行」という表現は当たらないと感じている。

今日から、3番目の室内楽、ピアノ四重奏曲第1番。

2007年11月 2日 (金)

奇数小節フレーズ

ブラームス節の柱の一つ。ブラームスの書く主題は、奇数小節のフレーズから構成されることが多い。

2小節で動機、動機が2つ集まった4小節で小楽節を構成し、さらに小楽節が2つ集まって8小節の大楽節を形成すると、大抵の音楽入門書に書かれている。私も中学時代にそう習った。例外も存在するが18世紀中盤からの100年間、欧州特にドイツ系の音楽にあてはまると補足されている場合もある。

つまりブラームスの創作年代の少なくとも前半は、その100年間にかすっていると言っていい。ドイツ音楽のガチガチの継承者と認められながら、ブラームスは自作の主題に奇数小節フレーズを用いることが無視しえぬ頻度で起きている。

すぐに気付く箇所を試しに列挙してみたい。

  1. ピアノ四重奏曲第1番第4楽章 3小節フレーズ
  2. ハイドンの主題による変奏曲冒頭 5小節フレーズ
  3. 第1交響曲の第3楽章第1主題 5小節フレーズ→7小節フレーズ
  4. 弦楽四重奏曲第2番第4楽章 3小節フレーズ
  5. クラリネット五重奏曲第3楽章 5小節フレーズ

このほか晩年のピアノ小品の中にも奇数小節フレーズが溢れている。

他の作曲家の例を良く調べないと「ブラームスの特色だ」などとは断言できないが、ブラームスの魅力の源泉の一つであることは疑い得ない。2-4-8の積み重ねで得られる整然とした形式感を敢えてはずしたフレージングが彼の狙いだと思われる。シンメトリーな美しさを意図的に壊して得られる破調を、表現のツールにしていたものと考えている。奇数が2で割り切れぬことから来る頑固なイメージも想定のうちだろう。

俳句や短歌の達人が、時として意図的な「字余り」で予期せぬ効果を狙うのと同根だと思われる。

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フォト

ブラームスの辞書写真集

  • Img_0012
    はじめての自費出版作品「ブラームスの辞書」の姿を公開します。 カバーも表紙もブラウン基調にしました。 A5判、上製本、400ページの厚みをご覧ください。
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