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カテゴリー「315 ヘンデル」の4件の記事

2018年2月23日 (金)

音楽の母

日本の初等教育においてヘンデルを指す通り名だ。

小学校の音楽室に飾ってある肖像や年表のもっとも端にいるのが、バッハとヘンデルだ。片方のバッハには「音楽の父」という称号が奉られてるいる。同い年でドイツ生まれのヘンデルは、男であるにもかかわらず「音楽の母」と呼ばれている。当時の音楽家はカツラをつけていて長髪に見えるから、同級生の間では「ヘンデルは女だ」と信じている奴もいた。

この言い回しの根拠はどこにあるのだろう。当時は純心だったが今となっては、眉に唾の一滴も塗りたくなる。ドイツ音楽偏重の音楽史観だと思う。後期バロックの2人が始原と位置づけられているだけで相当な怪しさだ。

まあよい。

ヘンデルのオルガン作品はオルガン協奏曲に偏っている。いわゆるオルガンコラールは見かけない。独奏曲はフーガが少々あるだけだ。

本日2月23日はヘンデル生誕333年のメモリアルデーだ。

2011年5月31日 (火)

サウル

ヘンデルのオラトリオのタイトルだ。ハンブルク時代の若きブラームスはこの作品に親しんでいた。

1862年9月ウィーン進出を決意したブラームスは、故郷ハンブルクを立つに当たって父親にこう切り出す。

「ことがうまく行かなくなった時の最高の慰めは、決まって音楽です」「ただ私の『サウル』の中だけはよくご覧になってください」「必要とするものがきっと見つかります」

ブラームスはヘンデルのオラトリオ「サウル」の総譜の中に、まとまった数の紙幣を挟んでおいたのだ。29歳の息子は故郷を立つにあたって、父にへそくりを置いてきたというわけだ。まだブレーク前とは言え、このときまでにささやかな蓄えがあったと考えられる。何だか遠回しなところがブラームスらしい。

家族への経済的援助は、その後も終生続くことになる。

2009年2月24日 (火)

アリア

「Aria」と綴られる。オペラなどの声楽曲にあって、叙情的旋律的な独唱曲のことだ。転じて旋律的な器楽曲にもタイトリングされる。バッハ管弦楽組曲第2番の中、人呼んで「G線上のアリア」はその代表だ。あるいは不滅の変奏曲「ゴールドベルグ変奏曲」の冒頭も「アリア」とされている。

生涯オペラを書かなかったブラームスには縁のない言葉だと思いきや、「ヘンデルの主題による変奏曲」の主題が「Aria」と記されている。英語形の「Air」となっている楽譜もある。

原曲はヘンデル作の、クラヴィーア組曲第2巻の第1番変ロ長調HWV434の主題である。タイトルは「Aria con variazioni」となっている。つまりヘンデルのオリジナルも「主題と変奏」になっているのだ。実際にCDを聴いてみると、ブラームスは主題提示において完全に原曲を再現していることがわかる。時はロマン派真っ只中。その時代にヘンデルから主題を拝借して平然と変奏曲を書いてしまうブラームスは、やっぱり浮いていたんだと思う。

曲を聴いたワーグナーの感想は名高い。「古い形式でも取り扱いを心得た人にかかると生き生きと蘇らせることが出来る」

額面通りに受け取るのは無邪気が過ぎるかもしれない。強烈な皮肉である可能性をいつも心に留めている。

2009年2月23日 (月)

花の1685年組

1685年2月23日つまり324年前の今日、ドイツはハレでゲオルグ・フリードリヒ・ヘンデルが生まれた。バッハは同年3月21日アイゼナハで生まれているから、2人は同い年ということになる。日本風に言う学年も同じだ。

ブラームスのバッハへの傾倒はブログ「ブラームスの辞書」でもさんざん言及した。カテゴリー「65 バッハ」に集約されている。

本日話題のヘンデルもブラームスに因縁がある。作品24を背負う巨大な変奏曲のテーマをブラームスに供給したのがヘンデルその人である。バッハとならぶバロック期の巨匠に対してブラームスも相応の敬意を払っていた。ヘンデル研究の第一人者クリュサンダーとブラームスの交友は有名だ。このクリュサンダー編による「ヘンデル全集」の全巻を予約している。

実はブラームスが贔屓にしていた作曲家の中にもう一人1685年生まれがいる。10月26日にイタイア・ナポリで生まれたドメニコ・スカルラッティだ。残念ながらバッハやヘンデルと学年は違う。

作品72-5の歌曲「とてもかなわない」は冒頭にスカルラッティのテーマが引用される。古楽譜収集家ブラームスの自慢のコレクションの一つにスカルラッティのソナタの初版本が含まれている。さらにピアノレッスンの教材としてスカルラッティのソナタをしばしば選んでいる。

ブラームスはざっと150年先輩の1685年組への敬意を片時も忘れず、自らの創作にいきいきと取り入れていた。

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