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カテゴリー「305 シューマン」の90件の記事

2023年8月 1日 (火)

作曲家別名曲解説

音楽の友社刊行のシリーズものだ。手っ取り早く作品の基礎知識を調べたいときに重宝している。ネットで事足りるのだが、紙がないと落ち着かない性分だ

すでに下記を持っていた。

  • ブラームス
  • バッハ
  • ベートヴェン
  • モーツアルト
  • シューベルト
  • ヴィヴァルディ
  • シューマン
  • ドヴォルザーク
  • マーラー

ここにこのほどハイドンが加わった。音源確保に次ぐ情報源というわけだ。買ってわかったのは、交響曲、弦楽四重奏、ピアノソナタ、ピアノ三重奏で、収載漏れが意外に多いということだ。

  • 交響曲 41曲/104
  • 弦楽四重奏曲 43曲/83
  • ピアノソナタ 16曲/52
  • ピアノ三重奏曲 4曲/41

つまり280曲のうち104曲しか名曲認定されていないということだ。標題率が低いピアノソナタやピアノ三重奏でその傾向が強い気がする。よい曲多いのに気の毒。

 

 

2022年2月28日 (月)

シュロ

漢字では「棕櫚」と書く。ほぼ「ナツメヤシ」のこと。

ブラームスの伝記の末尾、葬儀の記事の中、棺に棕櫚の枝が添えられていたと書かれている。一方シューマンの葬儀の記事の中にもやはり「棕櫚の枝」が現れる。

一体何かと思って調べたら昨日の記事「アトリビュート 」と大いに関係があった。西洋の絵画では人物が棕櫚の枝を持っていたらその人物は「殉教者」であることを意味するらしい。つまり棕櫚は殉教者のアトリビュートだった。殉教者とは一般に信仰に殉じた人のことだ。だからもちろんブラームスもシューマンも殉教者ではない。

けれども葬儀の際には棺に添えられていた。殉教者から派生して信仰厚き人を意味する小道具だったのだと思う。

2021年7月29日 (木)

シューマンをどうする

今日はロベルト・シューマンの命日である。この度の第二次歌曲特集の準備に際し、参照した作曲家は少なくない。シューベルトは別格としてシューマンはかなりな位置づけだ。ブラームスとの縁浅からぬという切り口ならシューベルトを軽く凌駕する。ブラームスを世に出した恩人でありクララの夫ということだけでも赤文字特筆大書の上にアンダーラインが要る。

ブラームスの歌曲を音楽史の流れの中で再把握するにあたり、シューマンの歌曲だってまとまった数聴いたのだが、シューベルトに比べると引っかからなかった。ブラームスの伝記にシューベルトの歌曲との関連をにおわせる記述が頻繁に現れるのに対し、シューマンの歌曲はスルーに近い。シューベルト歌曲の編曲にだってしばしば手を染めているのに、シューマンの歌曲を編曲したことは聞かない。

こと歌曲というジャンルにおいてはシューマンという切り口がキーにならないということなのだ。ほんの情報収集のつもりで聴きかじったシューベルトの歌曲にはみるみるうちにはまりこんだのとは対照的だ。

今は、その直感を信じることとする。ブログ「ブラームスの辞書」のゴールまでまだ12年ある。いよいよ記事に困ったとき、またシューマンに立ち戻るのもよいではないか。

2021年5月31日 (月)

シュトックハウゼン

ユリウス・シュトックハウゼン(1826-1906)はアルザス生まれのバリトン歌手。ブラームスの親友で、クララとも親交があった。ピアニストのクララやヴァイオリニストのヨアヒムに声楽で匹敵する大歌手だ。シューベルトの「美しき水車小屋の娘」を初めて公開の席で歌うという栄誉に浴した。これは歌曲集をチクルスという形で演奏する先駆けとなった。加えて1861年にはハンブルクでも同曲集を歌っているのだが、伴奏はなんとなんブラームスであった。かくかくしかじか欧州中で同曲集を演奏して回るのだが、ペテルブルクではアントン・ルービンシュタインが伴奏している。シューベルト歌曲のいくつかの管弦楽編曲をブラームスに依頼し、後に初演している。

リートの分野では19世紀最高のバリトン歌手と申してよい。その証拠にシューマンの演奏でも事情は似ている。いくつかの歌曲で初演の栄誉を担い、1861年にはブラームスを伴奏者に従えて「詩人の恋」を歌った。翌年には同じく「詩人の恋」を、クララのピアノで歌った。

ブラームス唯一の連作歌曲集「ティークのマゲローネのロマンス」op33はシュトックハウゼンに献呈されている他、出世作「ドイツレクイエム」の初演でバリトンを務めたのもこの人だ。

シューベルト、シューマンそしてブラームスの歌曲いずれについても深く濃く関与している。歌曲ネタを連ねる以上、外せない人である。

2019年12月23日 (月)

シューマンのクリスマス

学生歌を調べているうちに買い求めた「シューマン合唱曲全集」全4枚組に「Weihnachtslied」という作品が入っていた。作品番号は無い。アカペラの混声四部合唱。短いけれどとてもチャーミングで印象的だ。

テキストの作者を見て驚いた。Hans Christian Andersenと書いてある。童話で名高いあのアンデルセンと全く一致する。生没年や活躍の時代を考えると、このテキストがあの名高いアンデルセンだとしても矛盾は無い。

アンデルセン作詞、シューマン作曲のクリスマスソングだ。有り難味1割増しである。

2019年12月16日 (月)

賛辞

シューマンがブラームスを発見した喜びが、名高い論文「新しい道」に反映していることは有名だ。あるいは出会いの日以降のシューマン夫妻の日記はブラームスの記事で埋まっているし、シューマンの遺児もその様子を証言している。

さらに別な系統の証拠もある。それはシューマンからヨアヒムに送った手紙だ。周知の通り、ブラームスはデュッセルドルフのシューマン邸を訪れるにあたってヨアヒムからの紹介状を持参した。形の上ではヨアヒムの紹介により訪問したのだ。だからシューマンはその礼をヨアヒムに書き送る。「よくぞこいつを紹介してくれた」ということだ。「もしもう少し若ければ多韻律の詩を書いただろう」とブラームスと出会えた喜びを表現している。文学を志しただけのことはある。

さらに印象的なフレーズがある。「彼は40時間で地球の周りに輪を描ける男だ」というものだ。オリジナルのドイツ語がどういうものかわからないが、読めば読むほど魅力的な表現だ。

現在聴くことのできるブラームス作品のホンの数分の一の作品を聴いただけでこの熱狂ぶりだ。

2019年12月15日 (日)

立て続け

1853年9月30日ブラームスによるシューマン邸訪問は音楽史上のエポックになっている。このときブラームスはヨアヒムの紹介状を携えていたこともよく知られている。ブラームスよりたった2歳年長なだけのヨアヒムは既に相当顔が広かったということだが、シューマン夫妻との交流が始まったのは、そう古い話ではない。

1853年その年の低地ライン音楽祭に、シューマンとヨアヒムが出演して以来の付き合いらしい。シューマンはニ短調交響曲を指揮した一方、ヨアヒムはベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を演奏した。ヨアヒムのこのときの演奏は圧倒的な成功で、シューマン夫妻との親密な交流のキッカケになったという。

そしてヨアヒムがデュッセルドルフのシューマン邸を初めて訪ねたのは8月28日である。ブラームスによる訪問のほぼ1ヶ月前だ。当時の夫妻の日記にはヨアヒムを賞賛する記述が見られる。ブラームスの出現と同じ扱いを受けているが、ブラームスがしばらく滞在したのに比べ、ヨアヒムの滞在は3日だった。

ロベルトはヨアヒムについて音楽誌に寄稿などしていない。先のコンチェルトのブレークで22歳のヨアヒムは既に世の中に知られていたから、スクープ性は低かったと思われる。

 

 

2019年11月15日 (金)

奇妙な告知記事

どうやらクララは、ロベルト・シューマン作品の楽譜に記されたメトロノーム値を早くから疑っていた形跡がある。1855年「新ベルリン音楽新聞」に奇妙な告知記事が掲載された。

それは「シューマンメトロノーム値は不正確で、指示されたテンポは大抵、本人の意図より速くなっている」という趣旨だった。もちろん当時まだロベルト・シューマン本人は既に入院中であるから、この記事を読んだかどうかは定かではない。驚くべきはこの記事が、シューマン夫人の同意のもとに掲載されたということだ。

訂正含みのお詫び広告に近い。当代最高のシューマン解釈の権威であり、屈指のピアニストの肝入りである。クララには余程の確信と危機感があったに違いない。

 

 

2019年11月13日 (水)

墓碑の絵

1880年5月に完成したロベルト・シューマンの墓碑は、その前に存在した旧墓碑を撤去して設置された。その旧墓碑がブラームスの手によって建立されたことはすでに何度も述べた。その現物が今どこにあるのかという情報がなかなか得られなかったが、このほど驚くべき発見をした。

 

シューマン系のホームページの中に、旧墓碑の絵が掲載されていた。そこにはブラームスの建立云々という説明はなかった。

2019年11月12日 (火)

墓碑を贈る

記事「墓碑の完成披露」で、1880年にロベルト・シューマンの墓碑が完成したと書いた。シューマンの死は1856年だ。その間24年墓碑は無かったのかというとそうではない。1857年6月8日だから没後最初の誕生日に簡素な墓碑があった。「あなたの名前で建てました。故人を思うようにあなたを思いながら」とクララに書き送ったのは墓碑を建てたブラームスだ。

新しい墓碑が出来るまでの24年間、ロベルトの徳を慕って墓参りをする者は、ブラームスが建てた墓碑に頭を垂れたということだ。

新しい墓碑が出来たときこの簡素な墓碑は撤去されたとされているがその後どうなったのかなかなか資料に出会えない。

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