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カテゴリー「309 シューベルト」の178件の記事

2024年6月 1日 (土)

新幹線の友2

先日、またまた福岡まで新幹線で往復してきた。

暇つぶしにバッハのゴールドベルク変奏曲を聴きまくった話もしてある。あのとき 以来の企てだ。

今回はシューベルトに挑戦だ。

弦楽四重奏全集全6枚を持ち込んで聴いてきた。ドーヴァーさんのフルスコアも一緒である。片道3枚でちょうどいい感じ。番号順に聴いた。「死と乙女」「ロザムンデ」など知名度の高い作品は帰路であった。

それらの前12番にさしかかったとき、凍り付いた。ブックレットによれば単一楽章で、第一楽章相当分が断片として出版されていて云々。本作出版にブラームスが関与している。ブラームスはウイーンに進出した直後、シューベルトの遺作を所有する出版社と懇意であった。シューベルトの兄が相続した楽譜が大量に所蔵されていて、写譜に励んだという。その中から一部出版に回っているということだ。1870年のことらしい。

ブラームスの遺品となったその楽譜が楽友協会に保管されている。

2023年8月 1日 (火)

作曲家別名曲解説

音楽の友社刊行のシリーズものだ。手っ取り早く作品の基礎知識を調べたいときに重宝している。ネットで事足りるのだが、紙がないと落ち着かない性分だ

すでに下記を持っていた。

  • ブラームス
  • バッハ
  • ベートヴェン
  • モーツアルト
  • シューベルト
  • ヴィヴァルディ
  • シューマン
  • ドヴォルザーク
  • マーラー

ここにこのほどハイドンが加わった。音源確保に次ぐ情報源というわけだ。買ってわかったのは、交響曲、弦楽四重奏、ピアノソナタ、ピアノ三重奏で、収載漏れが意外に多いということだ。

  • 交響曲 41曲/104
  • 弦楽四重奏曲 43曲/83
  • ピアノソナタ 16曲/52
  • ピアノ三重奏曲 4曲/41

つまり280曲のうち104曲しか名曲認定されていないということだ。標題率が低いピアノソナタやピアノ三重奏でその傾向が強い気がする。よい曲多いのに気の毒。

 

 

2023年3月17日 (金)

三大弦楽四重奏

世の中「三大なんとか」が好きである。ベートーヴェンのピアノソナタがすぐに思い浮かぶ。「月光」「悲愴」「熱情」だ。しからば弦楽四重奏ではどうなっているのか。全16曲から3曲選べばいい。ピアノソナタほどの決定版は今もって流布していない。つまり3曲に絞れないということなのだろう。標題もあるにはあるがロシアの貴族の名前ではとっつき易さには直結しない。

しからばと私が選ぶが、これがまたかなりの難題だ。無理やり下記を絞り出す。ピアノソナタと同じく全部短調だ。

  • 4番ハ短調
  • 14番嬰ハ短調
  • 15番イ短調

相当苦しい。ポピュラリティがまったくついてこない。「月光」「悲愴」「熱情」の盤石感には到底及ばない。

  • ハイドン「皇帝」
  • シューベルト「死と乙女」
  • ドヴォルザーク「アメリカ」

この方がずっと説得力がある。標題の有無ばかりが原因とは思えない。演奏会にしたらこちらの方が絶対にチケットが売れるだろう。大好きなブラームスの3番が割って入る隙もない圧倒的な安定感だ。

ベートーヴェンの弦楽四重奏にはこうした議論を寄せ付けない近寄りがたさがあるような気がする。

2022年5月16日 (月)

ディースカウ没後10年

昨年の大みそかまでおよそ半年続いた第二次歌曲特集は、事実上シューベルト特集だった。なんだかもうかなり昔のことのような気がしているけれど、ディートリヒ・フィッシャーーディースカウ先生のご著書がガイドブックだった。本日は先生の没後10年のメモリアルデーである。

令和の大整理の記事を昨日で一区切りにしたのは、ひとえにフィッシャーディースカウ先生のためである。

 

2022年2月23日 (水)

リヒテンタール違い

シューベルトさんはウィーン生まれ。少し詳しい伝記ならリヒテンタールだと書いてある。現在では市内だが、当時は近郊であった。

ところが、ブラームスの伝記にもリヒテンタールが出てくる。こちらはドイツ南西部。保養地で名高いバーデンバーデン近郊だ。クララ・シューマンの避暑地で、ブラームスがしばしば訪れたとされている。

慣れるまでは注意が要る。

2022年2月 4日 (金)

小さな奇跡

お気づきだろうか。

これらが3日連続するのは奇跡だ。ブログ「ブラームスの辞書」はこうした、偶然を軽視することなく丹念に拾い集めることで出来ている。

両端の2人は生誕で、挟まれた妻だけが命日だ。これで冥福を祈るのだからある意味幸せ。通算120万アクセスへの到達がこれに花を添えた。もしかすると先月末の異例のアクセスラッシュ で1月中に120万に到達したのは、亡き妻からの返礼のメッセージかもしれぬ。今年はきっと良い年。

2022年1月31日 (月)

生誕225年

シューベルトのお生まれは1797年1月31日だから、本日は生誕225年の記念日だ。

事実上のシューベルト特集8か月の中に、お誕生日が入っていないのが心残りなので、本日無理やり記念日として言及する。

2021年12月31日 (金)

啓示

本日この記事をもって「第二歌曲特集」をお開きとする。この7か月本当にお世話になったフィッシャーディースカウ先生の著書「シューベルトの歌曲をたどって」を今一度引用する。

先生はブラームスがシューベルトを終生変わらず、しかも理解に満ちて崇拝していたと評する。そして極めつけの瞬間が458ページにやってくる。「シューベルトの歌曲において、何かを学び取れない作品は一つもない」と言ったブラームスの言葉を引きながら、「こう言ったこと自体がブラームス本人の名誉になっている」と断言しておられる。

このブラームスの言葉は弟子のグスタフ・イエンナーがブラームスから作曲を学んだ時の記憶として証言しているもの同じ系統にある。当時のウイーンでのシューベルトの扱われ方まで微妙に反映しているとにらんでいる。つまりブラームスの周りにシューベルトを評価しないか悪く言う人がいたり、そうしたネガティブは評価がブラームスの耳にも弟子の耳に届いていたことの反映だろう。「シューベルト舐めてんじゃないですよ」のニュアンスを含むと思っている。こうした背景をよく噛みしめて今一度フィッシャーディースカウ先生の言葉を見直すといい。

「シューベルトの歌曲において、何かを学び取れない作品は一つもない」と、評したことそれ自体がブラームス自身の名誉である。

含蓄がある。深い。泣きたい。

弟子にも自分にも世間にもシューベルトを擁護を言い聞かせるブラームスだが、そのこと自体が発言者ブラームスの見識の深さと懐の深さの証拠になっているとは。それをバッサリと断言するフィッシャーディースカウ先生の言葉を紹介してお開きの挨拶といたします。

 

2021年12月30日 (木)

今年の3人

今年とは2021年だ。

未曽有のコロナパンデミックに振り回されたと記憶されるに違いない今年を象徴する3人。

一人は将棋の藤井四冠。19歳にしてこの偉業。将棋の強さだけではない。対戦相手への敬意、いや将棋への敬意なのだろう。AIの取り込みぶりがやけにクローズアップされるが、破綻のないインタビューへの対応にもただただ感服する。高校球児たちと大して変わらぬ年齢で、言葉遣い語彙とも見事なものだ。甲子園で勝利のインタビューを受ける球児のあどけない発言と対極にある。こうした立ち居振る舞いはAIなんぞでは身につくまい。

お次はMLBロサンゼルス・エンジェルスの大谷翔平。もはや業績は繰り返すまい。彼の活躍のニュースで何度目覚めただろう。受賞の栄誉は10冠とも11冠とも聞く。

いかんいかん若い2人のヒーローに夢中になった。

3人目を忘れるところだった。

それはフランツ・シューベルトだ。

ブラームスさんにもバッハさんにも根回しを終えている。二人とも賛成してくれた。事実上のシューベルト特集は明日まで。

2021年12月28日 (火)

王子の座

大好きなブラームスの歌曲を、歌曲の歴史の中においてみたいと思い立ち、手っ取り早くシューベルトをツールに探求を続けてきた。片や歌曲の王で創作数575曲。ブラームスは民謡を入れても300に届かない。

でどうだったのか述べたい。自分の好みの上位50曲どうしならなんらそん色はない。がしかし、総数で半分以下では、品ぞろえがどうしても負ける。シューベルトが百貨店なら、ブラームスは専門店だ。シューベルトの品ぞろえの一部を取り出してそこに集中したのがブラームス。そのジャンルは有節歌曲だ。ドラマ性が勝ってしまうバラードや叙事詩には距離を置き、民謡と見まがうような有節歌曲を拡充した。品ぞろえで王に勝てぬのは承知の上で専門性で勝負した。テキストの重複を避けるべく、三大詩人は意図的に回避して差別化を図ったようにも見える。

アッと驚く新機軸は最後にとっておいたのだろう。「4つの厳粛な歌」では聖書から自由にフレーズを抜き出すという荒療治に打って出た。シューベルトにはない発想。交響曲の4つの楽章をなぞってはいまかという妄想も膨らむ。

 

 

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