論争の主役
アルノルト・シェーンベルクは、著書の中で19世紀後半における論争の主役だったブラームスとワーグナー両方から学んだと回顧する。学んだといっても、実際に師事したわけではない。そんなことが出来た人はいないと申してよい。学んだというのは作品を研究してそのエッセンスを自分の作曲に生かしたということだ。
ところが業界を二分する論争の最中に、その主役2人に師事したというケースがあった。森鴎外だ。彼のミュンヘンでの恩師はマックス・フォン・ペッテンコーファーで、ベルリンでは名高いロベルト・コッホに師事した。この2人は当時ドイツ医学界を二分したコレラ原因論争の主役だ。
コレラ菌が原因とするコッホに対してペッテンコーファーは衛生環境が原因と主張した。ほどなくコッホ説が認められることになるが、都市環境の整備に果たしたペッテンコーファーの功績は大きい。
この2人から相次いで学ぶことが出来たのは大変なことだ。ブラームスとワーグナーから学んだようなものだ。







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