モーツアルトは晩年といっても30代だが、バッハに触れたことで、さまざまな宝物を残してくれた。バッハのオルガン用のトリオソナタBWV525~530にも大きな関心を寄せていた。
2番ハ短調BWV526の第2楽章および第3楽章。3番BWV527の第3楽章を編曲しているらしい。
CDを探しているのだがちっとも見つからない。
1789年だから、モーツアルトが没する2年前の話だ。モーツアルトはウィーンの貴族リヒノフスキー侯爵と連れ立ってベルリンを訪問する途中でライプチヒを訪れた。4月22日にトマス教会でバッハゆかりのオルガンを自ら演奏するという挙に出た。
当時のトマスカントルはヨハン・フリードリヒ・ドーレスだった。バッハ本人から教えを受けたこともある人なのだが、モーツアルトの演奏を聴いてたいそう感激したとされている。モーツアルトの求めに応じて保管していたバッハ作品の草稿をモーツアルトに見せたという。モーツアルト一行は4月25日には、ポツダムに入っているから、ライプチヒ滞在はごく短期間だったものと思われるが、モーツアルトはこのバッハ体験が作品に反映することになる。「魔笛」「レクイエム」「ジュピター交響曲」などだ。
職場のオケの演目は田園とフィガロ。聞けばパート譜の調達には少々の時間を要するとのことで、焦った。早くに練習したい。譜読みだって始めたい。大げさに申せば死活問題とあって熟考の末、写譜に踏み切った。田園第一楽章526小節、フィガロ294小節をスコアを参照しながらヴィオラのパート譜を写譜しようということだ。
写譜自体は4日ほどでできたが、原本保存のためにコピーしたり、タイトルだけはそれっぽいフォントをプリントして貼り付けて製本したりと忙しかった。
これが実物。
元々写譜大好きだった。譜めくりを意識した小節の割り付けに苦労するが、醍醐味のうちだ。何より譜読みの準備にもなる。
何よりうれしいのは写譜や譜読みをするだけなら音程不安には気を揉まずにすむことだ。
なんということだ。10月18日リアルで出社となった日の朝、職場の上司がつかつかと近づいてきて「今度会社にオケが出来るんだけど、出てみない?」と驚きのお誘い。彼は達者なフルート吹きで、私がヴィオラを弾くことを知っている。
なんでも、社内で初めてオケのサークルが立ち上がる。熱心な発起人がいて、社内各部署での参加者募集が始まっているとのこと。管楽器とヴァイオリンは意外に見つかったが、ヴィオラは手薄で今のところ2人だという。社内には、合唱や茶道あるいは華道のサークルはあるらしいし、サッカーやテニスの体育系サークルも盛んだと聞いていたが、まさかオケとは。
今回の手術に至った目の異変に気付く2日前のことでもあり、ブランクを顧みず参加を表明しておいた。
その初練習が一昨日だったというわけだ。網膜剥離の手術もあって気を揉んだが何とか間に合った。
曲はモーツアルト「フィガロの結婚序曲」とベートーヴェン「田園交響曲第一楽章」。
激ムズ。
ドン引き。
こうなると手術のせいで練習不足という言い訳が出来て幸いだ。
オーケストラとしては前途多難だが、楽しかった。
音楽の友社刊行のシリーズものだ。手っ取り早く作品の基礎知識を調べたいときに重宝している。ネットで事足りるのだが、紙がないと落ち着かない性分だ
すでに下記を持っていた。
ここにこのほどハイドンが加わった。音源確保に次ぐ情報源というわけだ。買ってわかったのは、交響曲、弦楽四重奏、ピアノソナタ、ピアノ三重奏で、収載漏れが意外に多いということだ。
つまり280曲のうち104曲しか名曲認定されていないということだ。標題率が低いピアノソナタやピアノ三重奏でその傾向が強い気がする。よい曲多いのに気の毒。
一桁の整数9種類、ゼロを入れれば10種については、日常と結びついたイメージが浮かびやすい。人それぞれだろうが、10種の数字へのイメージを簡単に想起できる。
これが10を超えてもある程度は可能だ。貢献しているのはスポーツの背番号だ。サッカーでも野球でも番号にはイメージがつきまとう。とりわけアメリカンフットボールはポジションによって番号が割り振られるから、99番まで万遍なくイメージが設定できる。
ところが100を超えて3桁になると、背番号では行き詰まる。
そこで音楽だ。作品目録番号は悠々と3桁目に達する。ブラームスの作品番号は122が最大値だから背番号と変わらぬが、モーツアルトのケッヘル番号、バッハのBWV、ヴィヴァルディのRVなど3桁でもカバーできる。
1004は「シャコンヌ」だし、「626」はレクイエム、「269,315.293,297」はどこかIPアドレスではなく「春夏秋冬」だ。
テレマンの発番体系は特殊なので整数のイメージには直結しないのが惜しい。もし可能なら4ケタまで一部カバーできるからだ。
いやはや驚いた。連休中にはまったCDの話だ。「フィガロの結婚」の全曲版。エーリヒ・クライバー指揮のウィーン国立歌劇場。1950年代の録音でかろうじてステレオ。かの名高いカルロス・クライバーのご尊父の指揮ということで何気なく手に取ったが大当たり。フィッシャーディースカウとプライが丁丁発止でやりとりするベーム盤が長らく脳内定番だったが、それに匹敵。私の脳味噌にディースカウ補正がかかっていなければこちらに軍配かもしれぬ。慣れないと伯爵とフィガロが聞き分けられない点だけが課題だが、そりゃこちらの耳のせいだ。
ご子息カルロス・クライバーがこの作品の録音を残していないのは父を恐れてのことかもしれない。
おまけにだ。このほど部屋の整理をしていて「フィガロの結婚」のフルスコアが出てきた。黄ばみが激しいがこれで十分だ。
バッハの受容史を語るとき、「バッハの死後、一般聴衆からは忘れられていた」とされている。当時は息子たちこそが「バッハ」とされていたのだと。「一般聴衆からは」というところが強調されておらず、「忘れられていた」が強調されているニュアンスである。
だから、つまり忘れていない人々もいたということだ。誰が忘れていなかったのかというと、音楽の専門家たちの間では評価されていたということだ。一定の見識をもった音楽家・玄人筋はその価値を認めていたという。プロの音楽家はもちろん見識あるアマチュアも含まれている。その層が律儀に写譜をしたおかげで伝承されている作品も少なくない。
ウィーンの貴族ヴァンズヴィーデン男爵がその好例だ。彼はバッハの価値を認めていたばかりか、その作品を演奏する室内オーケストラまで組織していたという。モーツアルトは父に連れられれ8歳で訪問したロンドンで、バッハの息子ヨハンクリスチャンの音楽に接したことは確実だが、父ヨハンセバスチャンを知ったのはおそらくヴァンズヴィーデン男爵の屋敷が最初だったと目される。モーツアルトは男爵家の室内オーケストラために「平均律クラヴィーア曲集」の中からフーガいくつかを選んで編曲している。
本日はモーツアルトさんのお誕生日。
協奏曲中に挿入される演奏者の即興演奏のことまたはその部分。何故か時代が進むにつれて作曲家がこれを承認したがらなくなる。演奏と作曲の分業が進んだせいとも指摘されているが詳細は手に余る。
ブラームスは超一流の作曲家でありながら、同時に達者なピアニストだった。自作以外のピアノ協奏曲を公開の場で弾いたことも少なくない。そうした機会には自作のカデンツァを披露していた。
以上だ。
ブラームス側にカデンツァを作る気があっても、ロマン派の作曲家は演奏家の即興を認めていない。お許しがあればショパンやシューマンの協奏曲用にカデンツァの1つや2つひねり出すのは容易だったと思われる。
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