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    2012年3月28日から4月4日まで、次女の高校オケのドイツ公演を長男と追いかけた珍道中の記録。厳選写真で振り返る。

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    自分で買い求めて賞味したビールの写真。ドイツとオーストリアの製品だけを厳選して掲載する。

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カテゴリー「311 マーラー」の51件の記事

2018年11月29日 (木)

合同ムゼウム

ブラームスムゼウムのすぐそばに、MQというムゼウムがある。

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これがその看板だ。ハンブルクゆかりの作曲家の合同ムゼウムという趣だ。マーラー、テレマン、CPEバッハ、メンデルスゾーン姉弟など華麗なメンバーである。ブラームスだけが独立したムゼウムを持っていたのは幸いだった。共通券で入場できるのも助かった。

テレマンの展示が薄いのが気になった。ショップの品ぞろえもテレマンは心細い。

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マーラーはウィーンに進出する前、ハンブルク市立歌劇場の音楽監督だったからハンブルクに深い関係がある。

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19歳のアルマだ。のちのマーラー夫人。こんなところで会えるとは。

テレマンやCPEバッハの業績に深く触れるには、ロマン派色が勝っている。特にショップにおけるテレマンのCDの品ぞろえにはがっかりした。「ターフェルムジーク」でお茶を濁す感がありありだ。

2016年7月14日 (木)

お盆のファンタジー24

勢いに任せてさんざん盛り上がっているうちに、どうやらマーラーさんもブラームスさんも5月のスペコンにも来ていたことがわかってきた。何故わかったかというとブラームスさんがこう切り出したことがきっかけだった。

「あの日ヴィオラのトップを務めた生徒さんは、アダージェットの後、おかしな動きをしていたね」。マーラーさんは「そうそう、バッハ、アダージェットと演奏し終えたあの時、未完成にむけてメンバーが配置換えをしたときだ」「ヴィオラのトップの少女は配置換えの必要もないのに立ち上がって後方に歩いて行った」と、やけに確信に満ちた口調で私に念を押してきた。

なんということだ。

二人とも知っていたのか。

「たしかに」と私。長女が私にハンカチを差し出す。

5月スペコンの冒頭2曲。ヴィオラのトップ奏者は自分の楽器をスペアの位置において、私が貸していた楽器を弾いた。「主よ人の望みのよろこびよ」と「アダージェット」だが、本当は「アダージェット」を私の楽器で弾くためだったと、事の次第を説明した。

「そりゃあいい話だ」とブラームスさんとマーラーさんが同時に叫ぶ。「だってトップのその生徒さんだって大切なマイ楽器なのだろ。大切な引退公演の冒頭、マイ楽器を持たずにあんたのヴィオラを手に入場したってことだろ」とブラームス。「我々ピアニストはホール備えつけの楽器を弾かねばならない宿命だが、オケのメンバーはみな、マイ楽器をそれはそれは大切にしている」と。

「そりゃあ、あんたに対する最上の敬意と感謝の表れに違いない」とはマーラーさんだ。「誰の発案か知らないが、どんなパートだろうと、トップが本番でアクシデントもないのにスペア楽器を弾くなんて、本人以前に、他のメンバーや指揮者が許さんだろ」「つまり他のメンバーも趣旨に賛同していたってことだよ」

「どおりで、すごいアダージェットなわけだ」「ただの厳しい練習だけでは絶対にたどりつけない音楽だった」「何かを背負っていなければ絶対に届かない世界」「出番のない管楽器奏者たちもみなヴィオラトップ奏者の意思を認めていた証拠だ」とまくしたてるブラームスさんの横で、固まっているマーラーさんを見ていたら、マーラーさんは慌てて奥様にラインで話を知らせたと言ってスマホを見せてくれた。

ブラームスさんはそれを聞いて「わしもクララに知らせよう」と言ってスマホを取り出した。

2016年7月13日 (水)

お盆のファンタジー23

「ところで」とブラームスが話題を変えてきた。

「ニュルンベルク公演の時、ロビーでCDが売られていたね?」と。

私が「はい」と答えると「2枚組3種類全部買ったよ」と言って見せてくれた。2010年、2012年、2014年のニュルンベルク公演のライブだ。

「お買い上げありがとうございます」と私が言うと、次女が「2012年は私がセカンドで参加していました」と名乗り出た。「スプリンクラーの暴発の年です」と付け加えることも忘れない。

「思いだしたぞ」とブラームス。「オルガンの独奏もだが、ショスタコ某の交響曲がすごかったな」。学校のオケということで毎回必ずメンバーが完全に入れ替わってしまうのに、醸し出されるトーンがいつも同じなのは「伝統の力」としか説明がつかんな」と独り言が止まらぬブラームスさん。

「ということは」と唐突にマーラーさんが割り込む。

「つまり2018年には今回のアダージェットのCDが販売されるということだな?」

「おお、鋭い」とブラームスさんが機敏なリアクションをかます。

「先行予約には何か特典がないのか?」とか「せめてコンミスの生サインがほしい」とか、単なるミーハーが止まらぬ感じになってきた。

「妻の誕生日プレゼントにしたいので、くれぐれも内密に」と言いながらマーラーさんが私に20ユーロを差し出した。

2016年7月12日 (火)

お盆のファンタジー22

「それにしてもあのイタリア奇想曲はやばいな」とはブラームスの独り言だ。「あのあとチャイコフスキーさんから「昨年の白鳥湖に続いてまたやってくれたな」とラインが入ってきたらしい。「第一部のラストでしかないというのに、あれよあれよと人々が立ち上がったのは前代未聞だ」とマーラーさんもうなずく。「妻も椅子を蹴って立ち上がっていた」と付け加えるマーラーさんを遮るように「もしテロでキャンセルになっていたら市民の暴動がおきていたかも知れんな」と真顔のブラームスさんだ。

市民全員でサプライズを仕掛けた感じがしたとマーラーさんがしみじみと一杯目を飲み干しながらつぶやく。「はい」「乙女たちはあれで涙腺が完全に決壊でした」と私も飲み干す。「あなたは乙女たちにヴィオラを貸していたのか?」と訳を知しったふうなブラームスさんがドヤ顔で尋ねてきた。

「古い話で恐縮だが」と私が切り返す。

「大学4年の最後の演奏会に備えて私は楽器を買った」「そこで演奏したのがマーラーさんの第五交響曲だったんですよ」「千葉県初演ですわ」「私はヴィオラ、亡き妻はセカンドヴァイオリンで、最初で最後の共演でした」「アンコールは第四楽章つまりアダージェットだよ」「そりゃあすごい演奏だったから、やがてうまれた最初の女の子にあなたの奥様の名前をいただいた」

「今では弾くことのないその楽器を乙女たちのオケに貸していたおかげで、あのニュルンベルクのステージにスペア楽器として置かれていたんだ」

マーラーさんは長女からビール瓶を受け取ると私に酌をしてくれた。

「あのステージに連れて行ってくれたこともだが、あんたの楽器が一年間どんだけ大切にされていたかわかるな」とマーラーさんが私に一気飲みを促す。

2016年7月11日 (月)

お盆のファンタジー21

ブラームスが連れてきたのはまたまた紳士だった。「フランスに勝っていたら決勝戦を観に行く予定だったのだが」と憮然とした表情のブラームスの後から、静かに入って来たのはグスタフ・マーラーだった。私のメガネを見て同じだといってブラームスが笑っている。

娘たちは今年も「だあれこの人」というリアクションだ。長女を紹介するとマーラーさんの目がひときわ輝いた。「妻と同じ名前なのか?」と訊いてきた。長女はこっくりとうなずく。「幼いころはなじめなかったけど、今はとても気にいっています。自己紹介すると一度で覚えてもらえます。就活の面接者に音楽愛好家がいて、貴殿の妻の名前だと悟られたことから話が30分続いたこともありました。小さいころから父に由来を聞かされてきたので、スラスラと答えることが出来ました」と嬉しそう。

オケをやっていた次女は、「指揮もなさるのですか?」などと怖いもの知らずの質問をしている。マーラーさんは余裕をかましながらニコニコとうなずいている。「3月には、あなたの後輩たちがニュルンベルクに来てくれたね」と早々と核心話を切り出した。次女は「今年はテロもあって心配しましたが、何とか開催できました」といつになく控えめ。マーラーさんは「ブラームスから絶対に聴きに来い」としつこくさそわれていたらしい。「遠い日本から高校生が来る。しかも女子ばかりということで妻も誘って出かけたよ」とマーラーさんは遠くを見つめるような目でつぶやく。「会場入りする人波を見て、半信半疑だった妻の顔つきがかわった」「堅実でクレバーな演目の中にアダージェットが無理なくおかれているのを見てうれしかった」などと話があふれ出す。「バッハからアダージェットを経て未完成に至る流れは実に端正だ」とブラームスが割り込んできた。

長女がビールを取りにキッチンに走る。

「すごいアダージェットだった」「これが10代半ばの乙女たちなのか」ビールも入っていないのにマーラーさんは矢継ぎ早だ。「見ての通り、高い音をはずしませんねとか、指が回りますねとか、重音がはまりますねとかいう切り口の曲ではないからな」と口を挟まずにはいられないブラームスさんだ。「出番がない管楽器奏者たちが定位置に座ったままという緊張感も音楽のうちだった」「自信に満ちたというにはあまりにエレガントなアダージェットだった」というブラームスの言葉にマーラーさんはすでに涙目だ。

「おまちどうさま」と長女がビールを持ってきた。次女がブラームスに長女がマーラーさんに酌をしている。注ぎ終わるかどうかというところでブラームスさんが「乙女たちのアダージェットに乾杯」と宣言した。

2016年3月28日 (月)

合唱版アダージェット

次女の後輩たちのドイツ公演の目玉の一つに、マーラー作曲「交響曲第5番」の第4楽章「アダージェット」がある。弦楽5部とハープだけの作品。新妻アルマの音楽的肖像ともうわさされる。全曲を貫く静溢な曲想は、彼女たちの本領発揮にはもってこいだと何度も書いてきた。先の卒業式でも披露され、敬虔厳粛な雰囲気の醸成に一役買っていたと聞く。

手元に驚異的なCDがある。マーラーの「アダージェット」のアカペラ合唱版だ。テノール独唱2、アルト、ソプラノ独唱各1が加わる。つま弾くようなハープのパートまでも合唱で再現されている。演奏はローレンス・エキルベイ指揮のアクセンタス室内合唱団。

テキストはアウグスト・フォン・プラーテン「Kein Deutscher Himmel」(いかなるドイツの空も)だ。ブラームスの生まれた年に没したドイツの詩人で、ブラームスもいくつかの声楽曲にテキストを採用している。

聴いてみる。

いやはや、斬新。弱音ベースでニュアンス1個の出し入れという点ではオリジナルと同じだが、もはや別世界。中間部のソプラノ独唱には息をのんだ。オリジナルよりも敬虔な印象で、よりいっそう祈りが勝つ感じ。その手もあったかという驚きに満ちている。

ただただ祈りたい気にさせられた。

2016年3月19日 (土)

アダージェット考

「Adagietto」と綴る。「ブラームスの辞書」には収録されていない。つまりブラームスは作品中で「Adagietto」を用いていない。

意味を考える。語幹はイタリア語「Adagio」だ。形容詞あるいは副詞か。「ゆっくりと」を意味するメジャーな単語である。あくまでも「遅い」側の意味だ。

問題は縮小辞「etto」が付与されていることだ。イタリア語特有の言い回し。たとえば「Spago」は「紐」を意味する。これに縮小語尾「etto」が付くと「Spagetto」だ。スパゲッティはこの複数形である。

「意味の縮小」とは、語幹に据えられた単語の意味を弱めることだ。「Adagio」+「etto」となれば、「Adagio」(ゆっくり)の意味を弱めることに他ならない。「ゆっくり」の度合いを弱めるのだから、「Adagietto」は「Adagio」より速いことになる。

さて困った。マーラー作曲の交響曲第5番第4楽章「Adagietto」の冒頭にはドイツ語で「Sehr Langsam」と書かれている。「非常にゆっくりと」だ。縮小語尾により「ゆっくりと」の意味が弱められているはずなのに、ドイツ語では「Sehr」(非常に)がついて意味を強めている。

「Adagio」の意味の再考を迫られる。「ゆっくりと」というテンポ規定機能という解釈では限界が露呈する。「Adagio」を名詞と考えるのだ。「ゆっくりな楽章」つまり「緩徐楽章」を意味する名詞機能を想定したい。「小さな緩徐楽章」の意味だ。

マーラーの標準的な緩徐楽章より、小さな編成、短い演奏時間だ。

5番に先行する4つの交響曲の緩徐楽章の演奏時間を比べると、5番が極端に短いわけではない。ハープと弦楽5部という編成の小ささと合わせて「ちいさな緩徐楽章」と位置付けたい。

今一つの解釈は「縮小語尾」を付与することによって、親愛の情を表すことがある。第5交響曲の第4楽章が妻アルマの音楽的肖像であるとする解釈を肯定すれば、縮小語尾によって親愛の情を込めたという解釈も捨てがたい。

2016年2月25日 (木)

アダージェットな音

次女の後輩たちが挑むマーラーのアダージェットを聴く機会に恵まれた。

弦楽5部とハープだけという編成。管楽器はお休み。本来第五交響曲の第4楽章なのだが、これだけを独立して演奏する。

そもそも私が大学4年の冬、就職を前にした最後の定期演奏会のメインプログラムがマーラーの第5交響曲だった。アンコールにその第4楽章を演奏したから、私の大学オケ生活最後に演奏した曲がこのアダージェットだったという話は以前にもしておいた。さらに付け加えるならその演奏会では、亡き妻が1年生でセカンドヴァイオリンを弾いていた。大学オケ時代に共演したのはこの時だけだった。

今、当時の録音を聴いても感動的なアダージェットだ。

そのアダージェットに次女の後輩たちが挑む。5月のスペコンまで練り上げてゆくのだが、このたび聴くことが出来た。

泣きそうだった。なんだか泣けた。中間部ボロボロにされた。

いやあ、むいている。あの子たちのオケにピッタリ。「カバレリアルスティカーナ」間奏曲の上位互換みたいな感じ。弦楽器とハープが弱音の中、ニュアンス1個の出し入れを繰り返す。イタリア奇想曲では、彼女たちの武器になる頼れる木管や、決定力あふれる打楽器たちの力を借りることなく、マーラーの意図を音にせねばならない。管楽器や打楽器のアシストに頼らず、弦楽器の表現力だけが頼り。フレージング、ダイナミクス配置、ボウイング、ヴィブラート、音色の総動員が求められる。

スペコンまであと3ヶ月弱。その間の積み上げを期待していくつか。鍵を握るのはチェロだ。高い音域で行きつ戻りつの旋律の処理。音色。絶対に痩せてはならぬ場所でのメリハリ。

休んでる管楽器。よかった。よかったよ。休み方がよかった。苦楽を共にする弦楽器たちの大見せ場。はたから見ても難解な曲だとわかるのだが、弦楽器の後方に控える出番のない管楽器奏者たちの表情が、本当にきれいだった。心配そうに見つめるでもない。「やってくれるはず」という信頼感がこもった表情。それが演奏の緊張感維持への立派な貢献になっていた。

おそるべし10代のマーラー。

2015年8月31日 (月)

アダージェット

グスタフ・マーラーの第五交響曲は、思い出の曲。大学オケ生活最後に演奏した曲だ。このとき亡き妻は大学オケデビュウで、セカンドヴァイオリンを弾いた。アンコールに第4楽章を演奏した。それが「アダージェット」だ。弦楽器とハープだけで演奏され、マーラー自身の結婚が反映しているとも言われる美しい楽章。

我が家との因縁で申せば、この作品に触れたことが、長女の名づけを決定づけた。中学までは「変な名前」と首をかしげていた長女本人も、今では気に入っている。

さらに因縁が加わる。このほど次女たち高校オケの後輩がこの第4楽章アダージェットに挑むことになった。弦楽器とハープのアンサンブルという意味では「カバレリアルスティカーナ間奏曲」に近いかもしれない。彼女らオケの本領発揮にはうってつけだ。

マーラーの妻はアルマという。1879年8月31日生まれ。つまり今日は誕生日だ。

2014年9月 7日 (日)

プラハ発ウィーン行き

チェコの首都プラハとウィーンを結ぶ路線は、列車の愛称という観点から見て、お宝のヤマになっている。トーマスクック社刊行の「ヨーロッパ列車時刻表2011年春版」から拾い上げてみる。

  • 04時39分発 グスタフ・マーラー号
  • 06時39分発 スメタナ号
  • 08時39分発 フランツ・シューベルト号
  • 10時39分発 アントニン・ドヴォルザーク号
  • 14時39分発 グスタフ・クリムト号
  • 17時39分発 ヨハネス・ブラームス号

どれも所要時間5時間16分でウィーン・ノイシュタット駅に着く。何故かヨハネス・ブラームス号だけがベルリン始発で、ウィーン・プラーターシュテルン駅着になっている上に、所要時間も4時間26分になっている。是が非でもこれに乗りたいところだが、景色を眺めるならシューベルト号かドヴォルザーク号がいいような気がする。

並み居る大作曲家に混じって、14時39分発グスタフ・クリムト号が異彩を放つ。食堂車でビールを注文すると、グスタフ・クリムト号専用のオリジナルコースターがもれなく付いてくるくらいのサービスを期待してしまう。

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