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カテゴリー「312 チャイコフスキー」の7件の記事

2017年5月 7日 (日)

くるみ割り人形

1882年に初演されたチャイコフスキーのバレエ組曲。「白鳥の湖」と並ぶ定番。ここから作品解説に走る愚は犯すまい。

次女の後輩たちの引退公演となるスペシャルコンサートまで1週間の今日、ゲネプロに臨む。同コンサートの目玉となるのが「くるみ割り人形」だ。本番当日と同じ進行で一日を過ごす大切な日が、チャイコフスキーの誕生日とは吉兆だ。

チャイコフスキーと本ブログの主役ブラームスがともに5月7日生まれだ。あと一週間二人のご加護を特盛で。

スペシャルコンサートまであと7日。

2016年11月 2日 (水)

あてつけ

まずは以下の文章をお読みいただく。

メンデルスゾーンは常に純粋な様式の模範であり続け、際立った音楽的個性の持ち主として一般に認められるだろう。その個性はベートーヴェンのような天才の前では確かに見劣りするだろうが、ドイツの職人的音楽家の群れからは遥かに際立っている。

これがどうやらチャイコフスキーのメンデルスゾーン評らしい。チャイコフスキーはおそらく、この文章でメンデルスゾーンを誉めたいのだ。この発言がいつのものなのか確認中だ。

「ドイツの職人的音楽家の群れ」という言い回しが気になっている。ブラームスを念頭に置いた発言のような気がする。

2015年10月13日 (火)

歌あふれる

一昨日、日本学校合奏コンクール2015千葉県大会が千葉県文化会館で開催された。一年間の部活前半の山場だ。

運命の一日。朝学校に集合して、恒例の結団式。そこで伝統のパーリーダンスに興じリラックスするのがしきたり。緊張の本番を前に目一杯緩む。緩む。そこからは音出しもあるにあるが、もう気持ちのアプローチが優先。

会場に続々とつめかける保護者、OG、その保護者。知った顔が緊張気味。みんなが今日の意味を分かっている。子ども達の努力を知る者としてただただ祈るばかりということ。ただただ「力を出し切ってくれ」と。

そして高校の部。出番は4番目。手持ちは精魂込めた「イタリア奇想曲」。入場の立ち居振る舞いから乙女たちの音楽が始まる。学校名、演奏曲目、指揮者が紹介されてあっという間にタクト一閃。

緊張?そりゃあるにはあるが、それを覆い隠すほどの笑顔。エレガントな笑顔。「これが私たちの音楽です」というオーラ。そりゃあチャイコフスキーだから管楽器たちには難儀なソロが特盛だけれど、優雅に体当たり。チャイコフスキーさんが作品全体にちりばめた「歌」を「いかがでしょう」とばかりに立て続けに調理して見せる。行った事のないイタリアが脳内に充満し始めた。

ソロを奏する仲間を思い遣る弦楽器たちにだって山ほど見せ場。チェロバスのゆらゆら。何度も現れる刺激的なヴァイオリンの連続ダウンボウがG線を噛む音でさえエレガントなのは何故?仲間が作り上げたチャンスにゴールをはずさないフォワードのような打楽器のみんな、ありがとう。

たった9分の持ち時間、コンクールがコンサートに変わった。それが彼女らの音楽。コンクールをコンサートに変え、子どもを大人にし、大人を子どもに戻してくれる。それだけで十分なのに金賞、会長賞、全国大会出場権を見事に獲得してくれた。感極まる保護者やOGだというのに、それでも子どもたちはクール。コンクールには付き物の運に恵まれなかった者たちへの心遣いなのか、あくなき向上心なのか。

そしてその上、ドイツ演奏旅行まであるという至福。ただただ幸せな子どもたち。

2015年7月15日 (水)

お盆のファンタジー20

ブラームスと一緒にやってきたのはチャイコフスキーだった。道中会話が弾んでいたらしく、ノリが共有できている感じだ。挨拶もそこそこにブラームスがチャイコフスキーを紹介してくれた。

チャイコフスキーは右手を差し出しながら「すごい白鳥だちですね」とウィンクをかましてきた。次女の後輩たちのスペコンのことを言っているようだ。強く右手を握り返しながら、「おいでいただいたのですか?」と私が聞き返す。チャイコフスキーの返事を遮るようにブラームスが割って入る。「フルオケでバレエ付のスワンレイクだろ」「オレだけで聴くのはもったいないから誘ったんだ」と。チャイコフスキーは笑いながら「演奏会にご一緒するのは、たしか1889年3月12日ハンブルク以来でしたね」とブラームスに同意を促す。「そうそう、たしか第五交響曲のハンフルク初演の夜だ」とブラームス。

「それにしても」応接に通してビールを促すと、一口で飲み干したチャイコフスキーが切り出す。「すごい熱気だったな」と続ける。私はわざと「何のことですか?」と切り返す。「乙女たちのスワンレイクに乾杯」とブラームスが奇声をあげる。

「高校生のクラブとしては、すごいでしょ」と私。バレリーナも彼女らの先輩だし、同日のソリスト2人も先輩だと付け加えた。「ああ、並みのオケならあのスワンレイクでエンディングだろ」とブラームス。「分厚いブラボーがかかって、そこそこのアンコールが続けば、チケット代2マルクの元はとれるぞ」「俺なら5マルクいや10マルクでもOKだ」と。「無料で聴いたくせによくいうよ」とチャイコフスキーが突っ込む。「乙女たちがすごいのは、あのスワンレイクの後、尻上がりに熱気を増すことだよ。3時間強の盛りだくさんの演奏会をケロリとこなすパワーが素晴らしい」とチャイコフスキーが付け加える。

「乙女たちの青色のベストから見える白いブラウスの袖があるだろ」「弦楽器の子たちがトレモロを刻むとき、白鳥のはばたきに見えるな」とチャイコフスキーが感心したようにつぶやく。「ああ、それに青い制服が湖のようだ」と続ける。

「5月6日がゲネプロだったろ?」とチャイコフスキーが聞いてきた。「その通り」と私が答えると「乙女たちからお誕生日おめでとうの念がたくさん飛んできた」とチャイコフスキーがホクホク顔で続けた。「翌日7日は私ら2人の誕生日だからな」とブラームス。「誕生日イブにお祝いの念を送れば、本番でご加護があると本気で考える子たちなんです」と私。ブラームスはわざと難しい顔をして「あの子らにご加護なんぞ要らんだろ」としたり顔だ。

「それにしてもエンディング前のカバレリは伝統なのか?」とブラームス。「あの手の曲で人を唸らすのは、プロ並みの心構えだろ」とあきれ顔だ。「代が変わりメンバーが入れ替わっても変わらずにプログラムに採用される曲です」と私が説明する。

「ああそれにしてもレプレ」「もう弾く方も聞く方も泣いていたな」「凄いステージだ」などと議論は深夜に及んだ。

昨日帰り際に「DVDができたら10枚送ってくれと私に耳打ちするブラームスだった。

2010年5月 6日 (木)

チャイコフスキーの嘆き

本業と平行して著述活動をしていた作曲家は意外と多い。シューマンやワーグナーがすぐに思い浮かぶ。ブラームスやドヴォルザークは違う。このほどチャイコフスキーの文章を見つけた。ブラームスについての見解が書かれている。その中に垣間見えるチャイコフスキーのブラームス観を以下に列挙する。

<プラスのニュアンス>

  1. 立派で信念に忠実でエネルギッシュ
  2. ドイツではブラームスに対する愛着が大変広がっている
  3. 数多くの権威者、あらゆる音楽協会がブラームスの音楽の助成と保護に尽力中
  4. ほとんどベートーヴェンと同等の扱いを受けている。
  5. スタイルが常に崇高
  6. 大まかな表面上の効果をアテにしない
  7. 妙に新しい楽器の組み合わせで聴衆に不意打ちを食わせない
  8. 全てが意味深長かつ堅実で、明らかに独立独歩

<マイナスのニュアンス>

  1. 旋律的な独創性の欠如
  2. 楽想に特色がない
  3. よくわかる旋律がほとんど提示されない
  4. 和声的、副次的、転調的な付属物で埋め尽くされている

明らかにチャイコフスキーは困惑している。彼の感性に照らせば、ブラームスのドイツでの高い位置づけが不可解なのだ。短い文章の中に称賛と非難が交互に現れる。挙げ句の果てに想像力の欠如を埋め合わせるために、深遠さを装っていると推測し、「何よりも美しさが欠けている」と結ぶ。

様々な立場の読者を意識して公表された文章ならではの、迂回した言い回しに溢れていることに感心する。ハンスリック、ビューロー、カルベック、ガイリンガー等ブラームス党員たちの称賛一辺倒よりもある意味で公平とも感じる。下手をすると苦笑いをしながらブラームスも同意しかねない説得力が宿っている。

もう一度上記のマイナスのニュアンスで挙げられたことをよく読んでみる。チャイコフスキーは、自分はそれらを全て克服済みだという立場だと思われる。同様に克服済みなのがドヴォルザークだとも感じる。チャイコフスキーのこの原文にはドヴォルザークが念頭にあったとは思えないが、さんざん指摘されているドヴォルザークの長所にピタリだ。おそらく指摘事項を多分にブラームスは意識していると思う。自らに不足する要素を併せ持つドヴォルザークへの肩入れがその証拠だ。

チャイコフスキーの誕生日は5月7日だ。本来明日公開したい記事だが、今年ばかりはそうも行かぬ事情がある。

2009年11月26日 (木)

ロシアの歌

まったくもって蟻地獄だ。ドヴォルザーク重唱合唱曲全集を買い求めてからサプライズが止まらない。

3枚組CDの2枚目に不思議な曲群が収められている。「ロシアの歌B603」だ。様々な組み合わせの15の重唱曲である。これが手許のドヴォルザーク作品一覧表に記載されていないのだ。超最近になって新発見された曲かもしれないと思って聴いてみた。

15の中の10番目に曲集の正体を推測するヒントが隠れていた。「カバの木」という曲、どこかで聴いたことがあると思ったら、何とチャイコフスキーの交響曲第4番第4楽章に出現する旋律と同じだった。ロンド形式の第2副主題として登場するロシア民謡「白樺は野に立てリ」そのものだ。

これではっきりした。CDに収録されているのはチェコ語だが、ロシアの歌B603はドヴォルザークの創作ではなく編曲だ。そのつもりでよく調べると、ブルクハウザー番号の一個前B602は、ブラームスのハンガリア舞曲16~21番のドヴォルザークの手による管弦楽版だった。つまりブルクハウザーの600番台はドヴォルザークの編曲が集められていると推定できる。

ブラームスのハンガリア舞曲の編曲は1880年のことだ。だからその次の番号を背負った「ロシアの歌」はそれ以降だと思われる。ドヴォルザークがチャイコフスキーと知り合うのは1888年だが、1876年に書かれたチャイコフスキーの第4交響曲の存在くらいは知っていても不思議ではない。

2009年3月12日 (木)

奇遇

1889年3月12日、チャイコフスキーの交響曲第5番ホ短調のハンブルグ初演があった。作曲者チャイコフスキーもそれに立ち会うためハンブルクに滞在した。その同じホテルにブラームスも宿泊していたという。これだけでも相当の奇遇だ。何せ2人はともに5月7日の生まれだ。

ブラームスは交響曲第4番の演奏のための滞在であった。チャイコフスキーの第5交響曲と同じくこちらもホ短調だ。

ブラームスは、そのことを知ると滞在の予定を延長してチャイコフスキーの交響曲第5番のハンブルク初演を聴いた。ブラームスの感想は「フィナーレ以外は気に入った」であった。どうもこのフィナーレは楽員たちからの受けもよろしくなかったらしい。当のチャイコフスキーでさえ「本当は私も」と言っているくらいだ。

その夜、ブラームスとチャイコフスキーの会食があったという。

今からちょうど120年前の今日である。

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