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カテゴリー「319 ビゼー」の5件の記事

2019年10月18日 (金)

カルメンを贈る

未確認ながら大変興味深い情報があった。

1883年の正月に、ブラームスがビゼー作「カルメン」の楽譜をクララに贈ったというものだ。この情報がガセでなかったとすると、2009年10月7日の記事「カルメン」で私が示した見解が崩れさる。ブラームスがカルメンのスコアを見るのが1892年が初めてではないかという見解をのことだ。1883年の段階でクララに楽譜を贈ったのに、ブラームスが目を通していないということはあり得ない。自らのお眼鏡にかなうからクララに贈ったに決まっている。

逆に申せばクララに贈るというのは相当な高評価の表れだと思う。ドヴォルザークの評価では同意しなかったクララだが、ビゼーについては好意的な印象を持ったとされている。

2017年6月22日 (木)

スタートライン

先の日曜日に、千葉駅前コンサートがあった。屋根ありとはいえ屋外だ。おまけに雨模様だというのに、一切のハンデを感じさせぬ41代42代のデビューだった。

カルメンから「前奏曲」「ハバネラ」「ロマの踊り」というラインアップで立ち上がった。3年生が引退したばかり、新世代のスタート、クオリティ的には底だというのに、なんたるカルメン。先のスペシャルコンサート「フィンランディア」の合唱でサプライズを演じた1年生が立派な戦力として加わった。

先のスペシャルコンサートでも手助けいただいた頼もしいアルト歌手も駆け付けてくれてカルメンを歌入りだった。ふっかぶかの「ハバネラ」とノリノリキレキレの「ロマの踊り」。特に「ロマの踊り」のテンポ煽りは驚異的。通りすがりの通行人が熱狂的な聴衆にかわった。

なんたるポテンシャルだろう。

ここからは単なる推測だが、この子らの心の奥に、来春にせまったドイツがすでにあるのではないだろうか。バトンを引き継いだ時点ですでに加速を終えている、優秀なリレー走者のようだ。入部後たった2ヶ月の1年生を含むアンサンブルがこの水準となると、何か特別なモチベーションを感じざるを得ない。すぐに思い当たるのは来春のドイツ公演しかない。

記憶しておくといい。この子らがドイツ公演を終え、スペシャルコンサートのゴールにたどり着いたとき、先般の駅コンの演奏をしみじみと振り返るために。

2009年10月10日 (土)

ビゼーのオペラ

ブラームスとカルメンの関係を調べていて気になる情報に出会った。

ブラームスの遺産目録の中に、「ビゼーのオペラ全作の楽譜8巻」がある。

wikipediaで調べるとビゼーの代表作としての「オペラ」の項目には12個の作品名が記されている。私が知っているのは最初の3つ「カルメン」「真珠取り」「美しきパースの娘」だけだ。

ブラームスの遺産目録の「全作の楽譜」という表現は未完を除く作品だと考えるのが自然だ。wikiの12作には未完のものが3作とピアノスコアだけのものが1作ある。だから完全なものは8作だ。ブラームスの遺産目録の中の「ビゼーのオペラ全作8巻」の「8巻」がこの8作と一致しているのが嬉しい。

どうやらブラームスのビゼー好きは本物のようだ。いっそカテゴリーが立ち上げられる程ネタがあればいいのだが。

2009年10月 8日 (木)

ハバネラ

中米キューバに起源を持つ舞曲で「Habanera」と綴られる。そういえばキューバの首都はハバナだった。やがて船乗りの手によりスペインに伝えられ、そこを起点にブレークする。その独特なリズムが欧州を席捲しスペイン以外の地域では、スペインの舞曲であるという勘違いまで起きた。

申すまでも無く名高いのはビゼーの歌劇「カルメン」に登場するハバネラだ。人呼んで「恋は野の鳥」である。奔放なヒロインのキャラを一瞬で説明する圧倒的な説得力が売り物だ。パリ市民がスペイン情緒を楽しむための小道具でもある。

ここで終わってしまうと「どこがブラームスと関係があるのか」という疑問が生じてしまう。

カルメンの楽譜「ハバネラ」のページ冒頭には「Allegretto quasi Andantino」と書かれている。音楽用語の大御所「Allegro」や「Andante」が、縮小語尾によってモデファイされている上に、解釈が難儀な「quasi」に橋渡しされている。曖昧でつかみ所のない用語キャラがそのまま、どこか移り気なカルメンというキャラにかぶって見える。

「Allegrretto」と「Andantino」の拮抗は、ハバネラだけにとどまらずカルメン全体に露見している。ハイライトに取り上げられるような有名な歌には「Allegretto」や「Andantino」が多い。さらに「アルルの女」第2組曲の中、フルートのソロで名高い「メヌエット」は「Andantino quasi allegretto」だ。どうやらビゼーはこのあたりの微妙な出し入れが好きと見たが、もっと詳しく楽譜を当たらないと断言は出来ない。「ビゼーの辞書」でも書かねばいけない。

私が「ビゼーの辞書」とまで思い詰めるには、訳がある。「Allegretto」と「Andantino」の拮抗ならブラームスにもある。

交響曲第2番の第3楽章冒頭だ。「Allegretto grazioso quasi andantino」と書かれている。「アレグレット・グラツィオーソ」がほとんど「アンダンティーノ」だとおっしゃっている。ブラームス交響曲の第3楽章に特有の曖昧指定だ。

どちらも「Allegretto」と「Andantino」の拮抗を味わう音楽だとひとまず解しておく。

いつにも増して強引。

2009年10月 7日 (水)

カルメン

2008年6月3日の記事「狩の獲物たち」の中で、ブラームス作「禁則違反のリスト」に登場する作曲家を列挙した。この表は、はたしていつまで作り続けられていたのかというのが本日の話題である。

それを探る手掛かりが本日のお題「カルメン」だ。そのリストに現われた作曲家の中で最年少であり唯一ブラームスより年下なのがジョルジョ・ビゼーその人だ。問題の禁則違反はビゼーの代表作「カルメン」の第2幕12曲に現われるらしい。ということはつまりこの表は「カルメン」の初演1875年以降にも作られたことになる。もっというなら1875年10月23日の「カルメン」のウィーン初演以降だという可能性は低くない。

さらにこのほど思わぬところに手掛かりを発見した。例によって音楽之友社刊行の「ブラームス回想録集」第2巻87ページだ。何と1892年10月25日の記事として、その年の夏にブラームスがイシュルで、ビゼーの作品全集のスコアをむさぼり読んでいたと証言されている。ブラームスが「カルメン」で到達したビゼーの巧みさを称賛したと書いてある。もしかすると「カルメン」の禁則違反の発見はこのときではないだろうか。むさぼり読んでいたのはスコアを見るのがこのとき初めてだったからだと解したい。

「カルメン」はタイトルロールがメゾソプラノになっているという点で異色だ。メゾソプラノラブのブラームスが熱狂するのもむべなるかなである。1892年ブラームス59歳だ。いくつになっても探究心旺盛である。

実はドヴォルザークも、不道徳な内容に顔をしかめながらもカルメンの音楽を高く評価していた。

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