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カテゴリー「321 ハイドン」の17件の記事

2023年8月 4日 (金)

タイトル無し

ハイドンの多楽章器楽ソナタに限定する。交響曲、弦楽四重奏曲、ピアノ三重奏曲、ピアノソナタで全部で280曲ある。

この中で標題付きの作品がいくつかある。交響曲で30曲、弦楽四重奏曲で14曲あるけれど、ピアノ三重奏曲とピアノソナタには見当たらない。

交響曲にしろ弦楽四重奏にしろハイドン自身の命名はない。愛好家が生前または後世になって付与したということだ。数が多いための判別が主な目的で、言い得て妙はあっても。必ずしも曲の本質を表してはいない。そこがロマン派の標題音楽とは違うところだ。ベートーヴェンでさえ現在流布する標題には本人の関与しないものが多く混じる。

作品の優劣とは関係ないが、後世の聴衆への流布という点で差がつく。私だってとっかかりには「標題付き」を選んだ。作曲あるいは初演時のエピソードが標題に反映していることもある。挙句の果てにCDには「標題付き作品全集」なるものも出る始末だ。

判官びいきとでもいうのか、こうなると標題の付与されないジャンルを大切にしたくなる。

2023年8月 3日 (木)

改めて短調の比率

またまた話をハイドンの交響曲104曲、弦楽四重奏曲83曲、ピアノ三重奏曲41曲、ピアノソナタ52曲に限定する。つまり器楽用多楽章ソナタということだ。全部で280曲になる。

このうち短調作品がいくつあるかという話だ。ここでいう短調作品の定義は第一楽章冒頭の調性とする。記譜と実際に鳴る冒頭和音のずれは無視する。交響曲は11曲。弦楽四重奏曲は12曲、ピアノ三重奏曲は7曲、ピアノソナタは5曲。全部で35曲だ。率にして12.5%。

感覚として少ないのだが、モーツアルトやバッハでも短調は少ないのでその範囲内。おおむね調号3個以内。フラット4個のヘ短調と、シャープ4個の嬰ハ短調が各1曲ずつだ。

その短調にお気に入りが多い。

交響曲第44番ホ短調「告別」、同45番「悲しみ」

弦楽四重奏曲第74番「騎士」、同76番「五度」

ピアノソナタ第34番、36番。

ピアノ三重奏曲第26番、31番。

たまにあるから印象に残るだけかもしれないが記憶しておきたい。

 

 

2023年8月 2日 (水)

ハイドン風

ブラームスの名曲解説辞典の中、「ハイドンの主題による変奏曲」周辺以外に5度ハイドンへの言及がある。

まずは71ページ。管弦楽のためのセレナーデの解説の中、「セレナーデ」というジャンルの最盛期の表現として「ハイドン、モーツアルトの時代」と言っている。

次は75ページ。管弦楽のためのセレナーデ第1番ニ長調の第一楽章の主題とハイドンのロンドン交響曲のフィナーレとの関連を指摘している。

次の80ページもまた管弦楽のためのセレナーデ第1番。今度はスケルツォがハイドンのロンドン交響曲のフィナーレの主題と関係があると述べている。

それから166ページの冒頭だ。弦楽六重奏曲第1番変ロ長調op18の第4楽章の項。チェロによって奏でられる冒頭主題を指して「ハイドン的」と表現されている。前後の脈絡からしてほめているニュアンス。

次が、218ページ中ほど。弦楽四重奏曲第3番変ロ長調op67の全体の曲想を論じる中に、「後期ベートーヴェンを思わせるように入念に出来ている。しかしそれと同時にハイドン風の快活さももっている」とある。

ハイドンの作風芸風に深く立ち入ったコメントは控えたい。ハイドンの鑑賞経験が積み重なることを待ちたい。これらが作品解説書に現れるということ自体がヒントになっていると感じる。一般に流布するハイドンのイメージを下敷きにすることなしにありえない表現だからだ。

ヒントは「快活」と「ユーモア」か。「ハイドン作品が好ましい快活さを持っている」と思われている証拠だ。「ユーモア」について申せば、ブラームスの弦楽四重奏曲第3番の解説文中、第一楽章について「ユーモラス」という表現が2度現れる。同曲のフィナーレには1回「ユーモア」との記述がある。

ハイドン作品の特色として「快活」「ユーモア」と言われて今のところ違和感がない。

ブラームス自身、自作の解説にハイドンが引用されていることを喜ぶだろう。

2023年8月 1日 (火)

作曲家別名曲解説

音楽の友社刊行のシリーズものだ。手っ取り早く作品の基礎知識を調べたいときに重宝している。ネットで事足りるのだが、紙がないと落ち着かない性分だ

すでに下記を持っていた。

  • ブラームス
  • バッハ
  • ベートヴェン
  • モーツアルト
  • シューベルト
  • ヴィヴァルディ
  • シューマン
  • ドヴォルザーク
  • マーラー

ここにこのほどハイドンが加わった。音源確保に次ぐ情報源というわけだ。買ってわかったのは、交響曲、弦楽四重奏、ピアノソナタ、ピアノ三重奏で、収載漏れが意外に多いということだ。

  • 交響曲 41曲/104
  • 弦楽四重奏曲 43曲/83
  • ピアノソナタ 16曲/52
  • ピアノ三重奏曲 4曲/41

つまり280曲のうち104曲しか名曲認定されていないということだ。標題率が低いピアノソナタやピアノ三重奏でその傾向が強い気がする。よい曲多いのに気の毒。

 

 

2023年7月31日 (月)

ドラティ恐るべし

ジャケットがかわいくて選んだマリナー版が全集でないのがネックとばかりに、たどりついたのがアンタルドラティ版。全33枚組で全曲揃う。

アンタル・ドラティといえばハンガリーの指揮者。シェリングに寄り添ったブラームスのヴァイオリン協奏曲での貢献は記憶されていい。このハイドンもマリナーに劣らぬ気品。オケはフィルハーモニア・フンガリカという。おそらくハンガリーのオケ。当面マリナーとドラティがあれば不自由することはあるまいと深く確信。

ドラティいや、ハンガリー恐るべし。

2023年7月30日 (日)

ジャケット長者

音源確保の一環で、交響曲をどないするかは課題だった。ショップをうろついていて目についたのはネヴィルマリナー版だ。

ジャケットがかわいいの一点。全集でないのを覚悟で全15枚組を購入したがこれが当たり。表題付きが網羅されているうえに、15枚のジャケットそれぞれが標題にふさわしいイラストになっている。

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左側は外箱。ヴァイオリンを弾いているのはハイドン先生だ。右側は「時計」と「告別」だ。かわいいというよりおしゃれ。演奏もすっきりと心地よい。

 

 

2023年7月29日 (土)

時代はめぐる

クラシック音楽への傾倒が中学時代に始まった。最初はベートーヴェンという具合に、私はどうも作曲家を切り口に塊を認識してはまり込む。他に楽器や演奏家を切り口にする人もいるだろう。あるいは「交響曲」「協奏曲」などのジャンルが切り口になるひとも少なくないだろう。

私はなぜか作曲家切り口だ。その波は定期的にくる。

  • 1974年くらい ベートーヴェン
  • 1979年くらい ブラームス
  • 2008年 ドヴォルザーク
  • 2021年 シューベルト
  • 2023年 ハイドン 今ここ

ベートーヴェンやブラームスはいかんせん昔の話でそののめりこみっぷりを記憶していない。バッハは小波がたくさんきたからむしろ例外だ。

このほど新たにハイドンだ。まずは交響曲、弦楽四重奏曲、ピアノソナタ、ピアノ三重奏の4ジャンルに的を絞る。なぜってこれら4つのジャンルはモーツアルト、ベートーヴェン、シューベルト、メンデルスゾーン、シューマンそしてブラームスという具合に華麗な系譜がある。いわゆるウイーン古典派の保守本流だ。ドヴォルザークは惜しい。

その大きな流れの源流にハイドンがいる。

しみじみ。

2023年7月26日 (水)

思案のしどころ

ハイドンの音源確保の話。ピアノソナタはワルター・オルベルツ、ピアノ三重奏はボサールトリオで落ち着いたが、弦楽四重奏はまだ決めきれない。大好きなアルバンベルク四重奏団が全集を入れていない。アマデウス四重奏団にも全集が見当たらない。どうしよう。

「皇帝」以外では「五度」「騎士」あたりの表題付きから恐る恐る分け入っている。

2023年7月25日 (火)

ボサールトリオ

41曲あるハイドンのピアノ三重奏曲の音源確保の話。これも意外にあっさりボサールトリオの9枚組に落ち着いた。モーツアルトの三重奏も彼らのCDを持っているのでなんとなく安心感がある。全集でなければゴールドベルクさんの演奏もあるにはあるけれど、ひとまずここは網羅性を優先した次第。

聴いてみるととてもいい。程よい感じ。ベートーヴェンの7曲よりは退屈しない。なぜかハイドンにはヴァイオリンソナタもチェロソナタも見当たらない埋め合わせとしても最適かと。

2023年7月24日 (月)

オルベルツ一択

音源を押さえるには全集が効果的と申したばかりだ。それっとばかりにピアノソナタをあたる。全32曲のベートーヴェンのピアノソナタには、数え切れないくらいの選択肢があるけれど、ハイドンはスカスカだ。曲数が52もあるせいだけとも思えない。

手に入れたのはワルター・オルベルツだ。カール・ズスケと組んだベートーヴェンのヴァイオリンソナタで感心させられたばかりだった。単に上手なだけではなくピアノ自体がいい感じ。

とりあえずの音源確保のつもりだったが大満足。ドライブや在宅のおともに最適。彼のテクなのかピアノのせいか聴き分けられずにいるが、とてもなじむ。アレグロがモーツアルトと別の意味ながら流れる。時折ある短調のきらめき。フィナーレの散見されるプレストには気品と切れが両立する。

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