タイトル無し
ハイドンの多楽章器楽ソナタに限定する。交響曲、弦楽四重奏曲、ピアノ三重奏曲、ピアノソナタで全部で280曲ある。
この中で標題付きの作品がいくつかある。交響曲で30曲、弦楽四重奏曲で14曲あるけれど、ピアノ三重奏曲とピアノソナタには見当たらない。
交響曲にしろ弦楽四重奏にしろハイドン自身の命名はない。愛好家が生前または後世になって付与したということだ。数が多いための判別が主な目的で、言い得て妙はあっても。必ずしも曲の本質を表してはいない。そこがロマン派の標題音楽とは違うところだ。ベートーヴェンでさえ現在流布する標題には本人の関与しないものが多く混じる。
作品の優劣とは関係ないが、後世の聴衆への流布という点で差がつく。私だってとっかかりには「標題付き」を選んだ。作曲あるいは初演時のエピソードが標題に反映していることもある。挙句の果てにCDには「標題付き作品全集」なるものも出る始末だ。
判官びいきとでもいうのか、こうなると標題の付与されないジャンルを大切にしたくなる。
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