思わぬ提案
目から鱗。妻の形見のヴァイオリンが弾かれなくなって17年たつ。最近知った工房に持ち込んで点検を頼んだ。
マイスターは、楽器を一目見るなりフランス製とわかるとおっしゃった。f字孔からラベルをのぞき込んでふむふむとなった。1821年ミルクールとある。名のある個人製作ではないもののフランスの工房の作品だとのこと。経年の割には状態は健全に保たれているので、急を要する修理は不要との判断をいただいた。
細かくはいろいろあると付け加えることも忘れない。これをきっかけに誰かがこの楽器を弾くのかそうでないのかで、対応が変わるとのことだ。
もし、すぐ弾くなら、弓の毛替えと弦の交換は不可避。肩当てのパットの部分のスポンジが劣化してボロボロだからこれも代えた方がいい。さらに細かくはアジャスターだ。さび付いてボロボロなのでチューニングがストレスになるはずだなどと事細かだ。
当面弾く予定はないと伝えたところ、「いっそ貴殿が弾いてはいかがか」という想定外のコメントをいただいた。楽器は弾かれてなんぼ。適度に弾くことが最良のメンテだということだ。ヴィオラとヴァイオリンの二刀流を勧められたということだ。
娘たちがヴァイオリンを習っていたころ、その練習に付き合うためにヴァイオリンを弾いたことはある。バッハのニ短調のドッペルの2番ヴァイオリンを弾いたり、ヴィヴァルディのイ短調op3-6に付き合ったり。
言われるまで思いもしなかった。どうしよう。
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