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カテゴリー「324 テレマン」の11件の記事

2018年7月21日 (土)

無伴奏ヴァイオリンのためのファンタジー

テレマンが1735年に出版した作品。バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータがあまりにも名高いので陰に隠れがちだ。私とてバッハの方に興味をもった後に、同じバロック時代の無伴奏作品ということで手に取った。

「ファンタジー」とは、「幻想曲」と訳されるが、パルティータや組曲ほどの制約はなく、自由に曲想の赴くままに作曲された12の小品集という気分である。全12曲すべて楽譜にして見開き2ページで事足りる。おしゃれな曲集だ。

<1番変ロ長調>

ラルゴの「プレリュード」にアレグロの「アルマンド」が続くかのように聞こえる。2分の3拍子のグラーフェは、サラバンドとは一線を画する体裁で独創的だ。驚くのはアレグロの冒頭にリピートされることだ。見た感じは序奏付きのアルマンドがトリオを挟むかとも思える。

<2番ト長調>

序奏ラルゴに次いで走り出すアレグロは4小節差で追いかけるカノン風の出だしなのだが、実態はもっと複雑。テンポ的にはコレンテだと直感が働くが、頻発する3連符とリピート記号の不存在が不気味だ。フィナーレは4分の2なのだが、4分音符が必ず3連符で割られるので実質は8分の6と聞こえるせいか思わずジーク認定したくなる。

<3番ヘ短調>

タイトルにははっきりと「へ短調」と記載されているのに、調合はフラット3つになっている。つまり最後のフラットが省略される「ドリアン風」だ。これもまた調性同様に独創的だ。ヴィヴァーチェの2分の2拍子は本当に魅力ある楽章だが、舞曲へのあてはめは難しい。フィナーレはヴィヴァーチェの8分の3拍子で、前半後半各々リピートされるので、ジークかとも思えるが、「♩♪」のリズムが一切登場せずジーク認定は保留する。

<4番ニ長調>

4曲目にして初めて遅い楽章が冒頭に来ず、いきなりのヴィヴァーチェで立ち上がる。舞曲理解からは程遠い。73小節目グラーフェはフランス風序曲かと見まがう。続く8分の6拍子はまばゆいばかりの典型的なジークだ。

<5番イ長調>

アレグロのプレリュードにプレスト2分の2拍子のフーガが続くかのように立ち上がる。フーガを引き裂いてまた冒頭アレグロに回帰する。それにまたフーガが続く。舞曲脳では理解不能だ。嬰へ短調のアンダンテが嬰ハ長調で終わって、フィナーレアレグロは4分の2拍子と8分の6拍子の急速な交代と聞こえるように設計されているものの、記譜上は4分の2で貫かれる。ジークとブーレの複合かとも。

<6番ホ短調>

大好きだ。2分の3拍子の荘重なグラーフェだが、断固サラバンドではなく、プレリュードを志向していると思われる。プレスト冒頭にホ短調の移動ドでジュピター主題「ドレファミ」が全音符で現れる。本当に衝撃的だ。51小節目以降らしくない半音階のオンパレードでぎょっとさせられる。続く楽章には珍しく「シシリアーナ」と明記される。続いてアレグロ4分の2拍子「ミノーレ」は前後半のリピート記号が存在するせいかブーレかと錯覚する。

<7番変ホ長調>

珍しく「ドルチェ」と記されているがおそらくプレリュード扱いで問題あるまい。リピートを伴う快速の3拍子はコレンテを想起させるが、音の跳躍が多く画一的な解釈は禁物だ。サラバンドかとも紛らわしいラルゴに続くプレストは典型的なガヴォットでいい。

<8番ホ長調>

チャーミングな序奏に続く4分の3拍子はボッケリーニのメヌエット張りの印象的なシンコペーションが売り。フィナーレ8分の3拍子はおそらく「メヌエット」だ。

<9番ロ短調>

冒頭いきなり「シシリアーナ」の表示で始まる。続く4分の2拍子アレグロはブーレーで決まり。さらにフィナーレ8分の9拍子アレグロもジークで文句ない。「シシリアーナ」「ブーレー」「ジーク」の舞曲集だ。

<10番ニ長調>

舞曲解釈ではたちまち限界が露呈する。プレストで曲が始まる衝撃を味わいたい。フィナーレ8分の9拍子もジーク認定しにくい。

<11番ヘ長調>

4分の2拍子ウンポコヴィヴァーチェが「Soave」を囲い込む異例の構成。フィナーレ4分の3拍子もコレンテとは言いがたく難解。

<12番イ短調>

うち続く付点のリズムはフランス風序曲を思わせる。続く「8分の6拍子アレグロ」は自然にジーク認定だ。フィナーレもこれまた自然にガヴォット認定されていい。

2018年7月 3日 (火)

心を弾ませ

ドイツ語では「Werde munter,meine Gemuete」という。1642年ヨハン・ショップの旋律だ。夕べの歌として知られている。

  1. バッハ BWV1118
  2. パッヘルベル P498

BWV1118という大きな番号はノイマイスター手稿譜での実在ということだ。パッヘルベルにもあってうれしいなどと言っている場合ではなかった。

「主よ人の望みの喜びよ」として有名なBWV147の第6曲と第10曲は、この「心弾ませ」が下敷きになっていた。4分の4拍子の原曲を8分の9に差し替えているからわかりにくい。感覚としては別旋律だ。

2018年6月12日 (火)

天にまします父よ

オリジナルは「Vater unser im Himmelreich」という。

  1. バッハ BWV636,682,683,760,761,762
  2. ブクステフーデ  Buxwv219
  3. パッヘルベル  P48,475,476
  4. テレマン  TWV31:1

ご覧の通り4名全員の引用がある。それもそのはずの基本中の基本のコラール。プロテスタント必携の5つの教え「教理問答」を丸暗記よりも歌でとばかりに作られた「教理問答賛美歌」の中に入っている。ルター謹製のコラール。

さて、先に記事「8大コラール筆頭」で、「罪びと我を罰したもうな」を、上記4名に加えてブラームスが「別テキスト同旋律」の「心に願うは安き安住」を残していることをもって、筆頭認定した。

この度、8大コラールの序列2位を本作「天にまします父よ」と決定する。

理由は、同コラールはメンデンルスゾーンのオルガンソナタ第6番に現れる。第一楽章が本コラールを主題とする変奏曲、第二楽章が同主題のフーガになっている。

つまりこのコラールはバッハ、ブクステフーデ、パッヘルベル、テレマン、メンデルスゾーンの5者そろい踏みということになる。

2018年6月 4日 (月)

全集に物言い

バッハ、パッヘルベル、ブクステフーデ、それにテレマンもだ。彼らのオルガン作品全集のCDを入手し、ブックレットを開くと愕然とする。

バッハなら最低12枚組、ブクステフーデだと6枚、パッヘルベルは7枚、テレマンはチェンバロ作品込みで5枚だ。

テレマン以外作品の収録がほぼランダムだ。ジャンルごとになっていない。オルガン自由曲とコラール作品がほぼ無秩序に収録されている。作品目録番号順でも、作品のアルファベット順でも作曲順でもない。目当ての曲にたどり着くには時間がかかる。ヴァルヒャの新録音には索引が完備しているのは、そうしたユーザーの声に配慮した結果かもしれない。

ブラームスで「全集」を謳ったCDボックスは、もっと整合性がある。少ない枚数にして価格を抑えるという事情はあるにはあるだろうが、そのためにランダム配列になるくらいならもう一枚増えてもいいから何らかの整合性を付加してほしい。

2018年5月11日 (金)

テレマンの職歴

昨日言及した「聖マリア縛り」で、ブクステフーデの勤務先が「聖マリア教会」ばかりだったと述べた。それがよくある話なのか検証するためにテレマンについてまとめておく。

  1. マクデブルク 1681年出生 バッハより4つ年長だ。
  2. ツェラーフェルト 1694年頃つまり13歳で病気の教師代役で指揮と作曲をしたが、職業とはカウントしにくい。
  3. ライプチヒ 1701年ライプチヒ大学進学。当地のコレギウムムジクムを統率したが、これも職業と言えるか微妙。
  4. ソーラウ(ポーランド) 1704年宮廷楽長。これは職業。
  5. アイゼナハ 1708年宮廷秘書。宮廷礼拝場楽団を統率。ワイマール在勤のバッハと知り合う。同地で結婚したが第一子を授かってまもなく妻と死別。
  6. フランクフルトアムマイン 1712年市音楽監督。パウロ、カタリーナ両教会の教会楽長。
  7. ハンブルク 1721年、ハンブルク市音楽監督兼ヨハネウムカントル。
  8. ハンブルク 1722年、ハンブルク市歌劇場音楽監督。この年ライプチヒトマスカントル就任のオファーを断る。これにより同職位はバッハに。
  9. バイロイト 1726年、宮廷楽長。在ハンブルクのまま勤務。
  10. 1767年ハンブルクにて没。

バッハも縁の深い、アイゼナハやライプチヒと濃いつながりがある。教会とつながりがあるにはあるが、どちらかというと市か宮廷勤務が多い。職務の中に教会の監督が入っている時だけは教会にも関与する形。フランクフルトもハンブルクもだ。「聖マリア縛り」というより「公務員縛り」な感じがする。

2018年2月17日 (土)

8大コラール筆頭

「筆頭」とは、真っ先に記すべき人という意味で「第一人者」を指す。コラダスの分析から、バッハ、ブクステフーデ、パッヘルベル、テレマンの4名が素材として取り上げたコラール8作を8大コラールと認定したが、その8つの間には序列をつけず、原題のアルファベット順に列挙するにとどめた。

本日はその中から最高傑作を選ぶという話題だ。

話は遡る。コラダスは元のコラールのテキストをキーにしていたため、同じ旋律が2種類のテキストを伴っていた場合には2とカウントしていた。テキストのないオルガン作品のデータベースだから「別テキスト同旋律」は1とみなしたい。「別テキスト同旋律」がどれほどあるのか調べるうちにお宝情報に巡り合った。

「8大コラール」で冒頭に掲げた「罪びと我を罰したもうな」(Ach herr,mich armen stunder)の「別テキスト同旋律」作品に「心に願うは安き終わり」(Herzlich tut mich verlngen)があった。あまりの驚きにしばし立ち尽くした。

「心に願うは安き終わり」はブラームスの「オルガンのための11のコラール前奏曲」op122の9番と10番だ。

つまりつまり、バッハ、ブクステフーデ、パッヘルベル、テレマンとブラームスの5人が同じ旋律を採用していることに他ならない。ブラームスがこの事実を知っていたかどうかは不明だが、なんだか本当にうれしい。143曲中たった1曲だ。ブラームスのop122-10は、書籍「ブラームスの辞書」の見開きに手稿譜をデザインしてある特別な位置づけだ。その作品が、ドイツバロックの巨匠たちとブラームスの接点になっていた。

とっておきのワインを一本開けたいくらいの喜びだ。

2018年2月16日 (金)

コラダスの狙い

バッハ、ブクステフーデ、パッヘルベル、テレマンのオルガン作品に取り上げられたコラールを抽出しデータベース化を試みて、これを「コラダス」と名付けた。表向きの理由は、ブラームスの最後の作品「オルガンのための11のコラール前奏曲」op122を心から味わうためだ。バロック音楽の伝統に根差した「オルガンコラール」というジャンルに自ら身を投じたブラームスの意図をより立体的に理解するため、飛び込んだその先の世界について知識を蓄積しようとする狙いだ。

バッハだけを探求の対象としてもいいのだが、複数の作曲家に対象を広げたほうが普遍性が高まると思った。ここまでは表向きの理由だ。

地味な狙いもある。

ブクステフーデ、パッヘルベル、テレマンは日本語で読める書物が極端に少ない。ネットの寄与は高まってはいるものの、まだまだ限定的だ。その一方でバッハにはかなりな情報がある。オルガンコラールの原曲について調べるとき、バッハと共有するコラールならば、バッハ関連書籍の情報が流用可能だ。完全ではないことを承知の上で参考にするには十分の重複がある。

2018年2月15日 (木)

8大コラール

「コラダス」収載の143コラールのうち、バッハ、ブクステフーデ、パッヘルベル、テレマンの4名すべてが素材として採用しているコラールを「8大コラール」と位置付ける。オリジナルタイトルのアルファベット順とする。

①罪びと我を罰したもうな 

 
Ach   Herr, mich armen Sünder

 <BWV742/BuxWV178/P95/TWV31:21>

②アダムの堕落 

 
Durch   Adams Fall ist ganz verderbt

 <BWV637,705/BuxWV183/P103,104,105/TWV31:25>

③天よりみそなわし 

 
Gott der   Vater wohn' uns bei

 <BWV748/BuxWV190/P171,172/TWV31:41>

④キリスト、神のひとり子 

 
Herr   Christ, der einig Gotts Sohn

 <BWV7601,698/BuxWV191,192/P181,182/TWV31:31>

⑤呼びまつるイエスよ 

 
Ich ruf   zu dir, Herr Jesu Christ

 <BWV639/BuxWV190/P45,205,206/TWV31:19>

⑥来ませ聖き御霊 

 
Komm,   heiliger Geist, Herre Gott

 <BWV652/BuxWV190/P199,200/TWV31:5>

⑦天なるみ父よ 

 
天なるみ父よ

 <BWV636,682,683,760,761,762/BuxWV219/P122/TWV31:1>

⑧朝に輝く妙なる星よ 

 
Wie   schön leuchtet der Morgenstern

 <BWV739,763,764/BuxWV223/P501,502/TWV31:37>

以上だ。各々の作曲家の作品目録番号を添えておいた。同一のコラールを用いて、華麗なる4名がどのどのように料理するのか聴き比べが楽しい。

2018年2月13日 (火)

コラダス集計速報

さて、オルガンコラールの原曲となったコラールのデータベース化が一段落した。バッハ、ブクステフーデ、パッヘルベル、テレマンのコラールとの関わりがわかってきた。結果は下記の通りである。母数はバッハ93曲、ブクステフーデ36曲、パッヘルベル95曲、テレマン23曲だ。

  1.   3曲/テレマンだけが採用している。
  2. 33曲/パッヘルベルだけが採用している。
  3.   1曲/パッヘルベルとテレマンが採用している。
  4.   7曲/ブクステフーデだけが採用している。
  5.   0曲/ブクステフーデとテレマンだけが採用している。
  6.   6曲/ブクステフーデとパッヘルベルが採用している。
  7.   0曲/バッハだけが採用していない。
  8. 30曲/バッハだけが採用している。
  9.   3曲/バッハとテレマンが採用している。
  10. 29曲/バッハとパッヘルベルが採用している。
  11.   8曲/ブクステフーデだけが採用していない。
  12.   5曲/バッハとブクステフーデが採用している。
  13.   0曲/パッヘルベルだけが採用していない。
  14. 12曲/テレマンだけが採用していない。
  15.   8曲/全員採用している。

分類番号5、7、および13はゼロだった。量的にバッハとパッヘルベルが均衡し、ブクステフーデとテレマンが均衡していることから見て、予想通りの結果だ。

これから、折に触れてコラールネタを発信する。

2018年2月 6日 (火)

分類の手法

記事「コラダス」で、バッハ、ブクステフーデ、パッヘルベル、テレマンのオルガンコラールの元になったコラールをデータベース化したと書いた。本日はその方法を紹介する。

まずはこの4名をアルファベット順に並べる。結果は下記の通りとなる。

  1. Bach
  2. Buxtehude
  3. Pacchelbel
  4. Telemann

もしそのコラールに4名すべてがオルガンコラールを残していたら、「1111」と略記する。先頭の「1」がバッハを現し、2番目の「1」がブクステフーデを現し、以下パッヘルベル、テレマンと続く。その作曲家が取り上げていない場合は「0」を据える。

もしそのコラールをバッハしか採用していない場合「1000」となる。採用の有無を「1」「0」で現わし、桁数が作曲家を示す。「1」と「0」だけで構成されるこの4桁の数値を2進法の数値とみてこれを10進法に換算する。

  1. 0001 テレマンだけが採用している。
  2. 0010 パッヘルベルだけが採用している。
  3. 0011 パッヘルベルとテレマンが採用している。
  4. 0100 ブクステフーデだけが採用している。
  5. 0101 ブクステフーデとテレマンだけが採用している。
  6. 0110 ブクステフーデとパッヘルベルが採用している。
  7. 0111 バッハだけが採用していない。
  8. 1000 バッハだけが採用している。
  9. 1001 バッハとテレマンが採用している。
  10. 1010 バッハとパッヘルベルが採用している。
  11. 1011 ブクステフーデだけが採用していない。
  12. 1100 バッハとブクステフーデが採用している。
  13. 1101 パッヘルベルだけが採用していない。
  14. 1110 テレマンだけが採用していない。
  15. 1111 全員採用している。

本データベースの抽出条件として、「この4名の少なくとも一人が採用しているコラール」ということなので、「0000」はあり得ない。よって考えられる組み合わせは上記15種類となる。

この手法で143のコラールをひとまず分類する。

結果はおいおい。

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フォト

ブラームスの辞書写真集

  • Img_0012
    はじめての自費出版作品「ブラームスの辞書」の姿を公開します。 カバーも表紙もブラウン基調にしました。 A5判、上製本、400ページの厚みをご覧ください。
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